桜・鯛・海老=日本人の基本?
春が来た、気温が十度以上になり、桜の開花が南から北へ約二ヶ月かけて北上する間、日本人の大半が桜前線と共に一喜一憂する。桜は日本の国花、日の丸と同じ。
桜は薔薇科で、品種は300種にも及ぶ。薔薇科だけに、可憐に見えるものもあるが、優美で華やかな物が多い。
桜は古代から日本にあり、万葉集などにも謳われている。5000年もの間、日本人に愛された桜。桓武天皇の頃には“左近の桜”として尊ばれ、いまの雛飾りに伝えられている。
それだけに、桜の文字を冠詞に頂く名詞は数多い。桜餅・桜漬け・桜貝・桜鯛・桜海老・・・etc・・・。
しかも、桜と付くものは、日本人の殆どは、餅も、海老も、鯛も好き。
とくに、鯛は慶弔、吉事など、生活全般に登場する。
そのせいか、“鯛”と名の付く魚は100種以上もある。
ただし、一般的に名の知れた“鯛”で、本当に“鯛”を名乗る資格があるのは、真鯛・血鯛(花鯛)・黄鯛(連子鯛)・鱗子鯛・印度鯛(台湾鯛)くらいのもので、他はみんな『あやかり鯛』なのだ。
日本人は真鯛への愛着度はピカイチで、めでタイ日にはデ-ンと尾頭付きを奮発するのが、心意気ってなもんで・・・。
この真鯛の旬は春。
桜の季節、産卵期を迎える鯛は、深場から浅瀬に乗り込んで来る鯛(=乗っ込み鯛)は、冬の間に蟹や海老・鰯を腹一杯食べて身が充実、脂が乗り、婚姻色の桜色に染まって『桜鯛』と尊重され、珍重される。
文献として『古事記』の「海幸彦・山幸彦」のくだり・・・『万葉集』の「浦島太郎」のくだりなどに、春の鯛釣りの様が書かれている。
広島県辺りでは、桜の開花期に吹く柔らかな南風を「桜まじ」と言い、瀬戸内沿岸漁民にとって、鯛漁の好機を知らせる喜びの風だ。
鯛が、結納や結婚式などの目出度い儀式に欠かせないのは、鯛それの美しい形だけでなく、真鯛の夫婦は契りが堅く一婦一夫を守ると言う説(漁師の証言で、一匹掛かるとカップルのもう一匹も掛かる)に、あやかりタイらしい。
昔は、産卵で浅瀬に向かう鯛が重なり合い、まるで海面に島が出来たように見えたそうで、その現象を《魚島》と言った。また、広島県の野地沖辺りでは、深場から浅瀬に向かう鯛が、急な潮流の変化で浮き袋の調整が効かなくなり、海面に浮き上がる《浮き鯛》が見られた。
伝説では、古代に神功皇后が九州への出兵から大和への帰還途中、この野地沖を通過中に航海の無事と急ぎを祈念し、酒を撒いたら、無数の鯛が海面に浮き上がり船の航行を助けたと言う。これは、酒のご利益では無く、浮き袋が狂った《浮き鯛》の現象だったのだろう。
ともあれ、神功皇后は航海の神様として、大阪・住吉神社に詣で鯛を奉納、さらに神戸・生田神社では鯛のすり身を焼いた物(蒲鉾の原型と言われる)を奉納している。
助けられた・・・と、思っていただろう鯛、いかに神功皇后でも、この旬の旨い鯛をたべたに違いない。だから、すり身もあり・・・だ。さぞ旨かったろうと推測する。
長くなるので、話は何度かに分けよう。明日は日本人の常識=欧米人の非常識《鯛(魚)の目玉》について。興味のある方はご一読を。また、ご体験をお寄せ頂ければ幸甚。



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