冷し中華&冷しラーメン
私は、“冷し中華”が年中あってもいいと思っている。
例えば、私の好きな冷やし中華が、何故冬場に店のメニューから消えるのか?。考え続けて数十年。
夏でも熱いラーメンはあるのに、冷やし中華は秋から先は姿を消す。一年中あったらイケないのか?。まず、文句を付ける前に、冷し中華の歴史を辿ろう。
日本の麺のルーツを手繰ると、中国に至る・・・そんなことは、誰でも知ってる。
が、敢えて基本から辿ろう。中国も南は主に米文化で、北が小麦文化なのだ。
中国は華北に“饂飩”そっくりの麺がある。
ここで捏ねられる『ドゥ』は、とてつもなく腰が強く、これを伸ばして細く切り、味噌タレをかけて食す。いわばジャージャー麺と言うところか。
この華北の麺が、モンゴルや日本に伝えられた。
日本には南北朝時代に、『禅』と共に点心が伝えられた。その多くの点心の中に“饂飩・素麺”があった。
これが鎌倉時代になり各地に広まり、それまでは“蕎麦掻き”風にして食べていたであろう蕎麦も、捏ねて、伸して、細く切って食すようになったと思われる。
この饂飩が、何処でどうしてラーメンに・・・。実は、小麦粉を塩水で捏ねたものが“饂飩”、カンスイを加えて捏ねると“ラーメン”と呼んでいるのだが、中国で言うラーメンは、私たちがイメージするものとは違う。
日本では、饂飩とラーメンは、たんに捏ねる時に何を加えたかだけの差ではない。
使う汁(スープ)がまるで別物。
しかも、ラーメンと呼ぶのは、通常熱いスープをかけて食べる麺で、冷したり焼いたりすると何故か“中華そば”になる。
私は、ラーメンも焼きそばも好きだが、冷し中華は中毒かと思うほど毎日でも食べられる。
ラーメンのスープのように、店が命がけで味を競っているような、芸術的な冷し中華は滅多に無いが、それにしても、秋から春までは殆どの店からメニューが消える。
そうなると、夏を待ちきれない私は、自分でタレを作って冬でも食べている。
東京・神田の『北京飯店』が、冷し中華を考案したと言われるが定かではない。ただ、いろんな具を三角錐に並べた独特な盛り付けは、この店の料理長が「富士山を模った」と言っていたので、冷し中華は日本で作られたと思えるのだ。
元は甘酢醤油か胡麻味噌のタレが殆どだったが、このタレも年々変化。
大別して、醤油系(柚子風味・青紫蘇風味・梅風味・生姜風味など)と、味噌系(胡麻味噌・ニンニク味噌・唐辛子味噌・葱味噌など)があるが、最近は、刻みナッツ入りや引き割り納豆入り、マヨネーズ入りと工夫している。
オリーブ油でイタリアン風にした冷し中華?も案外美味しい。
具も、ハムや焼き豚、蒸し鶏、魚介、魚卵、野菜や海藻、春雨・・・と、使える物は限が無い。キムチを乗せるのも美味しい。
はなから、日本のラーメン自体が国籍不明の一品。だったら、どんな試みもOKだろう。
新しい味を、自分で発見する楽しみも大きい。
************そして、方や*******************
冷し中華・ではない。つけ麺でもない。あくまで冷しラーメン。
山形が発祥と言われる。
米沢牛の本場だから、牛骨のスープ・・・は基本なのだが、本当の出汁は、鶏ガラと豚骨だという。
それに、牛のスープ味を加え、牛の焼肉をトッピングすれば、何となく様になるのではないかと考えた。
肉類のスープは熱いからこそで、冷えると脂が白い塊で邪魔・・・味を損なう。
冷えて固まる脂を取ってしまえば、もしや・・・。
で、黒豚の腿肉塊を煮込むに当たり、まず下茹でした湯を取っておいた。
それを灰汁抜きして、冷蔵庫に入れ、白く固まった脂だけを取る。
そのスープに中華風味を付け(生麺中華のタレを加えて、一度煮立て、隠し味に一滴の酢)再度冷蔵庫に・・・浮いた脂を掬い、少し濃い目の味でラーメン汁を作って置く。
あとは麺を茹で、冷水で締めて、スープを注ぐ。氷も多めにいれ、好みの具をトッピング。
これは、結構いける。
本場では、胡麻味噌や辛子味噌など工夫しているそうだが、これもいかにも美味しそう。
早いうちに、本当の“冷しラーメン”の味を確認するために、山形に食べに出かけなければなるまい。
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