“薩摩芋”は栗より旨い十三里
今日は、薩摩芋の話です。 江戸っ子が女子を揶揄して「オナゴの好きなものは、芋・蛸・南京・蒟蒻・芝居・・・」と。
この程度の囃し言葉なら、セクハラと目くじらを立てるのは大人気ない。
たしかに、現代女性だって、薩摩芋やカボチャ、蛸や蒟蒻、そして映画やライヴなど大好き。
とくに薩摩芋の、新芋が出る頃になると、そろそろ焼き芋屋の呼び声が懐かしくなってくる。
薩摩芋は、昼顔科の蔓性多年草、南メキシコから中央アメリカが原産と言われる。
日本には、江戸時代に、中国から琉球(いまの沖縄)を経て、薩摩(いまの鹿児島県)に渡来した。
だから、一般には薩摩芋と呼ばれているが、鹿児島では“唐芋(からいも)”で通る。
痩せた土地でも良く育ち、米より収穫が安定して、満腹感がある・・・と言うので、『救荒作物』として広まった。
天明の大飢饉や、太平洋戦争の時にも、薩摩芋に助けられた人は多い。
澱粉が主成分だが、ビタミンB1・Cも多く、カロチンや繊維質が豊富だから、肥るからと敬遠するのは誤解。
同じ量を食べるのなら、米飯より低カロリーなのだ。
しかも、薩摩芋のビタミンCは、熱にも強く、とくに電子レンジで加熱すれば、殆ど損なわれることは無い。
ふかし芋、焼き芋のほか、キントンや大学芋、ケーキやスイートポテトなどのおやつから、精進揚げ、スープ、煮物と幅広く使える。
昔ながらの、茹でて干した“干し芋”も、懐かしい味で、いまでも人気があるらしい。
因みに薩摩芋のことを『栗より旨い十三里』と言うのは、江戸に入ってくる薩摩芋は、殆どが川越の産だった。
小江戸と言われる川越は、江戸から約九里、“九里(先の地)+四里(より来た)=十三里”と、栗より美味しいことを洒落て言ったのだ。
- 薩摩芋(大1本)は洗って、皮付きのまま、1センチ程度の輪切りにし、水に晒す。
- 1の水気を切って、鍋に入れ、固形スープ(1/2個)、ナツメグと胡椒少々を振り、ローリエ(1枚)を乗せ、牛乳(1カップ)を注いで、中火にかける。
- 蓋をして、焦がさないように、鍋を軽く揺すりながら約15分、芋が柔らかになるまで煮る。
薩摩芋が「こんな洋風の味に」と驚くこと請け合い。
塩分も糖分も使っていない上、クリーミー・・・ヘルシーなお菓子の代用に。
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