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2006年9月20日 (水)

金銀瑠璃硨磲瑪瑙琥珀葡萄哉

Dsc02439 タイトルは、日本の葡萄が素晴らしいと、宝石に喩えて詠んだ東洋城の俳句。

『きんぎんるりしゃこめのうこはくぶどうかな』・・・さて、五・七・五か?。

仮名を一文字も使っていない漢詩調の句として知られている。

意は『翠玉色の葡萄の粒が、陽光に映えて煌く様は、自然が造形した七宝の美のごとし』とでも。

因みに、七宝とは、金・銀・瑠璃・硨磲(シャコ貝)・瑪瑙・琥珀・珊瑚のこと。

東洋城は、スラッと六宝目の琥珀まで詠んで、七つ目の珊瑚を葡萄に変えたと思われる。葡萄は、ハウスの普及で、季節を問わず、地域を問わず栽培されているが、十五夜前後が一番の旬だろう。

主産地は、山梨・長野・山形・岡山・大阪・福岡・・・そして北海道。とくに山梨(甲州葡萄)は出荷量からもトップ。

その甲州葡萄は、在来種が基になっていて、源頼朝が文治二年(1186)に、山梨県八代郡祝村に入会山中、路傍に蔓性植物の実を見つけ、自園に持ち帰り移し植えたのが始めとか。

『古事記』にも、エビカズラとの記述があるが、これらは野葡萄の一種で、山に生える山葡萄のことだろう。

日本にも自生の葡萄はあったのだ。

これと、中国から伝来した葡萄を掛け合わせ、改良して、江戸時代には甲州葡萄の土台が出来た。

その後、デラウエァ、マスカット、キャンベル、ベーリーA、巨峰と、次々にアメリカ系やヨーロッパ系の品種が取り入れられ、改良が加えられ、数多くの新品種が産まれた。

人気のある葡萄だが、ミカンやリンゴの生産量に比べてはかなり少ない。

ヨーロッパなどのように果物のトップにならないのは、酒の原料としての使用が少ないからだと思われる。

葡萄には、果糖やブドウ糖が多く、疲労回復に効果抜群。

干すと鉄分が多くなって、貧血予防になる。

葡萄を書いた文学は数多いが、有島武郎の児童文学『一房の葡萄』は、切ないまでの少年の哀愁を書いた美しい作品。

主人公の少年は級友の舶来(外国製)絵の具を盗む。

恥ずかしさと後悔で泣く少年の膝の上に、担任女教師は、黙ってもぎたての葡萄を一房置く。

「真っ白な掌に、紫色の葡萄の粒が重なって乗っていた、その美しさ」を少年はいつまでも忘れず、はっきり覚えている。

「秋になると、いつでも葡萄の房は紫色に色付いて、美しく粉をふきますけれども、それを受けた大理石のような白い美しい手は、どこにも見つかりません」

紫色の甲州葡萄の色を“モーヴ色”と説明している農学書がある。モーヴ色=婦人の机上にある紫水晶の色・・・だそうだ。

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