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2006年11月

2006年11月30日 (木)

ホクホク“里芋と赤芽芋”

里芋の種類は多い。その原産はインドから東南アジア。

ホッコリ、ネットリの食感が体と心を癒す。

里芋と鶏肉の照り煮Dsc03395

  1. 里芋(7~8個)は皮を剥き、塩少々で擦って、水洗い後水気を切る。
  2. 鶏肉(腿肉1枚)は一口大に切り、酒と醤油少々で揉んで、下味を付けておく。
  3. 鍋に油を敷き、里芋を炒めて、全体に油が回ったら、鶏肉を入れサッと炒め合わせる。
  4. 出し汁(2カップ)を注ぎ、強火で煮立て、コトコトいうくらいの火加減にして、砂糖(大3)と酒(大2)を入れて約5~6分煮る。
  5. 4に、塩(小1&1/2)、醤油と味醂(各大2)を入れて、約15~20分煮込み、汁気が無くなってきたら、火を止め、約3分ほどそのままにして味を染ませる。
  6. 茹でた隠元などの青味を散らす。

里芋は、南方民族が主食にする“タロイモ”の仲間だ。Photo_288

日本には稲より古く、縄文時代に伝えられたという。

種類が多い里芋だが、大別すると親芋用品種と小芋用品種、兼用種になる。

この中で、親芋用品種の代表格が赤芽種で、丸く大型の“赤芽芋”、海老のように曲がって大型の“海老芋”や、大きく長さもある“京芋”などがある。

小芋専用種に比べて、粉質で粘り気が少なく、キメが細かいのでホクホクとして味がいい。

赤芽芋は、特色として水に漬けると煮あがりが硬くなるので、皮を剥いたものを買わず、皮付き・泥付きで買うことを奨める。

調理直前に皮を剥き、サッと洗えば煮あがりも硬くならず、柔らかくふっくらと煮える。

ヌメリが気になるなら、明礬か塩を入れた水で軽く洗うといい。

煮え易い芋なので、ほかの材料が煮えた頃に入れると丁度だろう。Photo_290

京都の老舗『平野屋』などで出す名物料理“芋棒”は、赤芽種の海老芋と乾した棒鱈を一緒に煮込んだもの。

→赤芽芋のつみれ汁潰した芋のほっくリして柔らかい団子は、老人も子供も大好き。

2006年11月29日 (水)

“カリフラワー”は花蕾の集まり

花を食べる野菜で、“花椰菜(はなやさい)”とも言われる。

若い人だけじゃなく、年配者でも気に入る、エスニックな味で温まろう。

カリフラワーと鮭のカレースープ・タイ風 602

  1. カリフラワー(1株)は小房に分けておく。
  2. 香味野菜の葱(1本)は斜め小口切り、生姜(1片)は微塵切り、鷹の爪(2~3本)は小口切りに。
  3. 茹でタケノコ(150gくらい)は薄切り、マッシュルーム(100g・エリンギなどでも)は半割りで、適宜用意。
  4. 生鮭(2切れ)は一口大に切る。
  5. 鍋にサラダ油を熱し、弱火にして、まず2を香りが出るまで炒め、1と3を加えてさらに炒める。
  6. 5に、カレー粉(大1~2)を入れ、軽く炒めて、酒1/4カップと出汁1&1/2カップを注いで、固形チキンスープ1個を入れて煮る。
  7. 煮立ってきたら、鮭を入れて、アクを取りながら5~6分煮る。
  8. 砂糖(大1)、ナンプラー(大2)、塩&胡椒少々で味を調える。
  9. カリフラワーが柔らかく煮えればOK。レモン汁を垂らして食べる。

カリフラワーは、地中海東部原産でアブラナ科。 Dsc01411

野生のキャベツの変種を、イタリアで品種改良し、栽培して出来た。別名“花キャベツ”とも言い、ブロッコリーと同じ仲間だ。

涼しい気候に適し、この時季は都市近郊の露地栽培物が出回る。

ビタミンB1・B2・C、などのビタミン類が豊富で、かつ食物繊維が多いので便通を整え、大腸癌などの予防に効果が期待される。

下茹でする時は、湯に少量の酢か小麦粉を入れると、白く茹で上がる。 癖がない味なので、サラダ、グラタン、クリーム煮、スープなどのほか、酢の物や和え物、炒め物など、和・洋・中華ほか幅広く使える。

生のままで、サラダやピクルスにしても、コリコリした歯応えで楽しめる。

2006年11月28日 (火)

緑黄野菜代表“ホウレン草”

年中店頭にある“ホウレン草”だが、冬場のものは甘味があって美味しい。

夕方になり、急に冷えてきた夜に、簡単でスピーディーな鍋を。

常夜鍋(4人分)604

  1. 豚肉(300~400g)はロースでもモモでも、しゃぶしゃぶ用くらいの薄切りに。
  2. ホウレン草(約2束)は好きな分量を根元をそろえて茹で、水に取り、絞って半分の長さに切っておく。
  3. 生姜1片くらいは薄切りに。
  4. 薬味も、葱や紅葉おろしなど好みで適宜。
  5. 煮汁、これだけは丁寧に。出汁3C、薄口醤油大1、酒1/2C、塩小1/2。
  6. 鍋に、煮汁を7分目程、生姜2~3枚を入れて火にかけ、煮立ったら、具を少しずつ煮ながら薬味で食べる。煮汁や生姜は時々追加を。
  7. 残った煮汁は、アクを取って、煮素麺や饂飩、スイトンもいい。

605 ホウレン草は、菠薐草と書くが、ペルシャ地方原産で、ペルシャの漢名が菠薐だ。

日本では300年ほど前から栽培され、普及している野菜だ。

根元に赤味があるのは東洋種、葉に丸みがあって肉厚なのは西洋種。

近年の主流は、双方の長所を取り入れた交配種だ。

最近、生食用(サラダ用)の柔らかな品種も出回っている。

ビタミンA、B1、B2、のほかCも豊富。鉄分も多いので貧血防止の効果もある。カルシウムも含むのだが、シュウ酸を含有しているので、結合してシュウ酸カルシウムになり、吸収されにくい。

緑黄色野菜だからカロチンも豊富で、栄養価は際立っていい野菜といえる。とくに冬場のものは、色が濃く、それだけ味や栄養も濃いので、冬こその野菜だ。

お浸し、和え物、汁の実、バター炒め、クリーム煮と、幅広く使える。

裏漉ししてポタージュにすると、綺麗な色がお洒落なスープになる

茹でたら、一度水に取りアク抜きを。

2006年11月27日 (月)

顔は怖いが味がいい“オコゼ”

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見た目は厳つい“オコゼ”は、美味しい魚で今が時季。Photo_291

単に“オコゼ”と言うのは、一般的に食用にしているオニオコゼのことだ。

メバルやカサゴの類と同じ仲間だが、顔つきは恐ろしいくらいゴツク、背鰭は硬くて強く、お世辞にも容姿がいいとは言えない。

顔付きが怖いからと、漢字では“虎魚”と書く。いかにも「オ~、こわ!」。

だが、そんな器量の悪さからは想像も付かない美味しいさで、とくに唐揚げや椀種にすると味わい絶品。丸ごとの揚げ魚として珍重されている。

南日本沿岸の、浅い海底に棲み、体長は20センチくらい。棲む場所によって体色が異なる。

どちらかと言えば、海底にジッとしていてあまり動かず、従って漁獲し難いそうだ。

年中出回ってはいるが、その量は少なく、殆どは料亭に出回るばかり。

東京では、夏が旬だと言われているが、西日本や南日本では、冬が旬で美味しいとされる。

いい出汁が出るので、吸い物、スープ、赤だし汁、ちり鍋などにしても美味しいが、何と言っても唐揚げが好まれている。

刺身もいい味、ヒラメに負けない旨さだ。

2006年11月26日 (日)

“タクアン”は日本の文化?

漬物はその国の顔・文化。

世界中、各国に独自の漬物がある。北欧のザワークラウト、南欧のピクルス、中国のザーサイ、韓国のキムチなど代表的なものの他、各地・各家庭に自慢の漬物がある。

日本にも、いろいろな漬物があり、冬に向かうこの時季、かつては何処の家でも、漬物などの保存食の準備に追われたものだった。

白菜を天日に当てたり、大根を竿に掛けて乾したり、大きな桶を準備したり・・・。

近年では、年中スーパーなどで、浅漬けから古漬け、梅干もタクアンも売られている。

しかも、最近の若い所帯では、マリネやサラダは食べても、漬物は食べないと言うらしい。

さらに、同じ漬物でも、ピクルスやキムチの方が、タクアンより人気だという。

長い間、日本の食卓で頑張ってきた“タクアン”も立場が無い。

有名な沢庵和尚も墓の下で、さぞ嘆いていることだろう。

沢庵和尚の名は知っていても、実はその墓には行ったことが無い。

行ったこともないくせに、“タクアン”を語るのは申し訳ないが、実は昨日、かつて私が書いた本を捜していて、ビッチリ数列・数段の蔵書の中から、妹尾河童氏の書かれた『タクアンかじり歩き』(朝日新聞社・1983年第1刷)が出てきた。

埃だらけの本を拭き、捲りだしたら、つい読み始め、自分の本のことなど忘れてしまった。

その中に、沢庵和尚の墓は、品川区北品川の『東海寺』にあると書いてあった。

妹尾河童氏といえば、独特の鳥瞰図イラストで知られる芸術家。

この本の中には、写真は一点も無く、氏のイラストとユニークな視点の文章で、全国の沢庵を取り上げている。

先ず初ページが、沢庵和尚の紹介、いかにも、漬物の重石のような墓だ。

沢庵和尚は、大徳寺の住職だった時に、幕府の行政に抗議して、1929年出羽の国(山形県上山)に追放された。

その地で、農民たちに、塩と米糠を使った野菜の貯蔵の一つとして、大根も漬けた。

4年後に許され、徳川三代将軍家光公の重用を得て、品川に東海寺を開山。

ここでも、和尚はタクアンを漬けていたが、ある日、将軍が寺に来て、これを食べて気に入り、「とくに名が無い?、ならば今後は『沢庵漬け』と呼ぶべし、良いか」の一言で、大根を塩と糠で漬けた漬物の名は“タクアン”に決定。

で、本家本元の東海寺でも、“タクアン”と呼んでいるかと言うと、「禅師の名を、呼び捨てにしては失礼、に依って“百本”と」だそうだ。因みに百本は、乾したり漬けたりするときに一桶に入れる単位だったらしい。

“タクアン”が沢庵和尚の名から付いた、という由縁話の方がもっともらしいのだが、『貯え漬け(たくわえずけ)』が訛って“タクアン”になったと言う説もある。

“タクアン”は江戸期から、盛んに漬けられるようになったのは、それまでは玄米食で、糠が出なかったのだ。

江戸時代になり、戦争もなくなり、稲作が盛んになって、水車での搗き米が発達。玄米より炊きやすくて美味しい“搗き米”は、庶民の間に普及した。

ただ、白米を食べるようになって、糠とともにビタミンB1が搗き落とされ、日本人には脚気が多くなった。

米を搗くと糠が出る。糠漬けは、単に塩だけで漬けた漬物より美味しいので、“タクアン”も普及、その漬けた糠から大根にビタミンB1が移行。

当時は栄養のことなど知られてはいなかっただろうが、白米に糠漬けで、失ったビタミンB1を僅かながら補う・・・。

長期貯蔵が出来、切れば握り飯と一緒に携行出来ると、“タクアン”は日本人の生活必需品になった。

日本中、各地・各家庭に自慢の“タクアン”があった。日本の文化だった。

秋田で囲炉裏の上に吊るした“燻りガッコ”、鹿児島の“山川漬け”は糠を使っていないがタクアンと言われる。 各地で生まれた独特の“タクアン”の風味を思い出している。

漬物はその国の顔・文化だと、妹尾河童氏も書いていた。

2006年11月25日 (土)

“大根”が安い、活用しよう

大根が安い。青々と見事な葉が付いて100円程度で並んでいる。栄養豊富な葉付き大根 を無駄なく使い切ろう。

根でピザ Dsc03666

  1. 大根は皮を剥き、1~2ミリの厚さに輪きり。
  2. ミックスベジタブルは、凍ったままで熱湯を回しかけ、解凍して水気を切る。
  3. ハム(ベーコンでも)は細い短冊切り。
  4. アルミ箔にサラダ油を薄く塗り、1を広げて並べる。
  5. 市販のピザソースを全体に塗って、2 & 3、そしてピザ用チーズを散らす。
  6. 200℃のオーブンで約14~15分焼くのが目安。チーズが溶けて、綺麗な焼き色が付いたらOK。(オーブントースターでも出来る)

安上がりで、ヘルシーで、老若男女を問わず食べてもらえるピザだ。ワインに合う!。Dsc03397

さて、今日は、いまが旬の大根の話。

当たり役に恵まれない役者を『大根役者』だとか、太めの足を『大根足』だとか、“大根”は素晴らしい野菜なのに、どうやらその価値が認識されていないようだ。

日本人と大根との付き合いは古く、各地に大根に纏わる伝承話や祭事が残っている。

大根の古名は「淤富泥(おほね)」、大きい根の意だ。

正月・七草に使われる“スズシロ”が大根のことだというのは知られている。

また“鏡草”という別名もあった。これは、大根が神供に用いられた名残でもある。

古代では、白いものは貴重で尊ばれた。

現代では、紙でも布でも白いものは身の回りにいくらでもある。純白だって用意に手に入る(純白を人の心に求めるのは難しいが・・・)。

しかし、古代では、雲・花・雪などの自然以外に、白いものは手に入り難かったのだ。まして純白は。

白が純潔・高潔のしるしと、重視されていた時代だから、大根の白さは神に供えるものとしても最適だったのだ。

関東では、美濃早生に代わり、練馬大根系の尻細、理想、秋詰まりが出回っているが、11月末になると都大根が、12月中旬には三浦大根が出てくる。

練馬系の大根は、煮物に適し、三浦系の大根は漬物に適した品種だ。

中部地方には、宮重大根系の総太、白首、青首などがあり、関西地方には白上がり京大根、和歌山大根、横門大根などの他、聖護院大根もある。

また、一般的には冬の大根は総じて甘味が出るのだが、ピリッとした辛味が増す小振りの鏡大根(別名・辛味大根)は、下ろして天婦羅やちり鍋、麺類の薬味にすると美味しさを引き立てる。

いまでは、年中店頭にあるため、あまり有り難味を感じない野菜になっているが、大根が無ければ美味しさ半減・魅力半減の料理は多い。

大根おろしや刺身のツマばかりか、蛸を煮る前の下拵えや、牡蠣の汚れ落としなど裏方としての役割も素晴らしい。タクアンの無い食事は「寂しい」って言うひとだって大勢いる。

脇役ばかりか、風呂吹き大根、鰤大根、船場汁、おでんなど、主役や準主役だってバッチリ。

葉付きで買ったら、葉は刻んで油炒め、塩揉みして菜飯にも。大根の皮のキンピラだって歯応えが良く美味しい。

大根には、消化を助けるジアスターゼも豊富。

捨てるところが無く、ヘルシーな大根。

もっと尊敬されていい野菜なのだ、見直そう。大根と牛筋・昆布・角コンの煮物は、我が家の定番。

牛筋や昆布などの出汁が出るものと、大根は抜群の相性だ。いい出汁を吸った大根が美味しい。

大根のシャリシャリ煮132_1

  1. 大根と人参は、太さによって公孫樹切りか半月切りにする。
  2. 油揚げは短冊きりして、笊に並べ、熱湯を回しかけて脂抜き。
  3. 鍋に出汁と、薄口醤油・味醂を各少々入れて、人参と油揚げを煮る。
  4. 人参に火が通ったら、大根を加えて、歯応えが残る程度にサッと煮る。
  5. 器に盛ったら、好みで一味唐辛子を振って食べる。

2006年11月24日 (金)

寒さ到来を告げる“白菜”

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白菜が安い。しかも美味しい時季なので、たっぷり使おう。

白菜の牛乳煮(奶油白菜ナァユーパイツァイ606 豚肉(バラでOK)200gは一口大に切って、1カップの湯で茹でる。

  1. 白菜6枚は1枚ずつ剥がし、縦半分に切り、さらに5センチほどのそぎ切り。
  2. 中華鍋(フライパン)に油とバターを熱し、白菜の茎部から先に塩少々で炒める。
  3. 葉部も加え、塩を少し足し、酒を振り掛け、全体に油が回ったら、1を煮汁ごと入れて、胡椒を振り、少し煮る。
  4. 白菜の茎部が柔らかくなったら、牛乳1カップを入れ、水溶き片栗粉でトロミを付ける。

寒くなってくるこの時期、市場では大根と白菜の並べられるスペースが広くなる。

白菜など、半割りや1/4割で売られていたものが、一個売りどころか、2個、4個と結束されて店頭に山積みされるようになる。 Dsc03345

漬物用にということだが、冬に向かう風物詩といったところだ。

今年はとくに白菜と大根が出来過ぎて、産地では出荷調整のため潰しているそうだ。勿体無い・・・。

明治初年に日本に入ってきたとされるが、明治28年に『東京博物館』に中国からの出品で展示されて以後、注目され、愛知県で改良を重ねて普及した。

冷涼な気候を好み、寒さに強い・・・良く「霜に当たると、風味が増す」と言われるが、それはあくまで季節を符号させた言葉で、実際に霜に当たった葉はやはり傷む。

甘味があって、くせが無く、どんな味付けにも応用性があるので、歴史が浅いのに主要野菜の上位にランクされている。

淡白なので、油との相性も良く、炒め物には最適だ。

外側の葉は、炒め物、蒸し物、巻物に。

中ほどの葉は、浅漬けや煮物。内側の葉や、芯の柔らかな部分は刻んで生のままサラダや和え物にしてもいい。

2006年11月23日 (木)

“ジャガ芋”のような人間がいい

初夏に出る新ジャガ芋も美味しいが、根菜が本当に美味しいのは晩秋。

ほっくりしたジャガ芋料理は、心が休まり温まる。

ジャガ芋と鶏肉の蒸し物 (香菇蒸鶏)608

  1. 鶏肉400gは小さめのブツ切りにし、塩を振り、混ぜて約3時間ほど置く。
  2. ジャガ芋2個の皮を剥き、1センチの厚さに切って、水に晒し水気を切る。
  3. 水で戻した干し椎茸4~5枚と、生姜1片は千切りに。
  4. 調味料を合わせる(塩・小1/3、酒と胡麻油は各大1、胡椒少々)。
  5. 深めの皿に、2のジャガ芋を並べ、上に1の鶏肉を広げて、3を散らす。
  6. 全体に4の合わせ調味料を振りかけて、充分に蒸気が立った蒸し器に入れて、強火のまま約20分蒸す。

ボリュームの割りに低カロリー、栄養的にもお奨めの一品。

ジャガ芋の優しいホクホクした質感は、個性を強調しすぎず、ほかのいろいろな素材と相性がいい。

癖が無いのに、ジャガ芋を抜くとつまらなくなる料理はたくさんある。存在感のある名脇役といったところか。

ジャガ芋が嫌いで食べられないという人は、まず滅多にいないだろう。Dsc03391_1

味わいや質感だけじゃなく、あのコロンと丸っこい形も愛嬌があって親しめる。

誰にも嫌われず、親しまれ、優しく温かい味わいがある・・・結婚するならそんな人がいい。

札幌在勤中に、広大なジャガ芋畑を何度か見に行った。夏には真っ白な花で埋め尽くされてそれは美しい風景。

その花が落ちて葉や茎が枯れる頃には、畑にトラクターが入り収穫が始まる。トラクターが掘り起こした真っ黒な土の中から、コロコロと肥えたジャガ芋が現れる。とても壮観な光景。

肉類や魚介類、野菜類のほか、乳製品とも相性のいいジャガ芋だが、その優しく穏やかなホッコリ個性を味わうなら、手をかけない“ふかし芋”がいい。

ただ、熱々のうちこそ美味しい“ふかし芋”も、ふかし過ぎて冷えてしまえば、これは不味い。

ふかし過ぎたら、温かいうちに潰して“マッシュポテト”にしよう。こうしてサラダやコロッケにしておけば冷めても美味しい。

が、マッシュしないで冷えた“ふかし芋”・・・面白いことに、これが潰すと“餅”になるのだ。

私のナケナシの科学知識によると、ジャガ芋の主成分である澱粉質が、ふかして一度α化されホクホクしたのに、冷えてβ化して粘りが出た・・・こんなことだろうか。

この潰して粘りが出た“冷えふかし芋”に、少し片栗粉を足して丸め、油で揚げたり、フライパンで焼いたりすると、想定外の味になる。

ハンバーグのような形に焼いて、醤油タレや味噌タレ、胡麻タレで食べるのはちょっと隠しておきたい味。

薩摩芋より10年も早く、ジャカルタから伝来していたのに、西日本では育ち難かったことや、薩摩芋のような甘味が無いことで、普及が遅れた。

ジャガ芋には、春に植え付ける“春作”と、夏に植え付ける“秋作”がある。

春作の代表は男爵やメークイン&紅丸と、近頃人気の北アカリ。秋作は、農林1号・出島・タチバナなどになる。

新ジャガ芋は、長崎や鹿児島などで、春から初夏にかけて採れる小型の芋で、主に“出島”が中心だ。

最近では、沖縄の新物が1月ころから出始め、北海道のハウス物が追いかける。

秋に収穫されるジャガ芋は、澱粉含有量が多くホクホクした味が愛されるが、元々の原産地は南アメリカ・ペルーとボリビアに跨るアンデス山地。

高地・低温・荒地などの悪条件でも育つ『お助け芋』として、飢饉対策に奨励された。

寒冷地に強い上に寒冷地ほど澱粉の含有率が多くなり、北海道には打って付けの作物だった。

17世紀頃(約380年前)にオランダ船によりジャカルタ(ジャガタラ)経由で、長崎に持ち込まれたので、ジャガタラ芋が詰まってジャガ芋になった。

16世紀に伝わったヨーロッパでは、当初は芋より花が愛され、とくにマリーアントワネットはコサージュやブーケにして喜んだと言う。

それは、さておき日本では、明治40年頃に、函館在住の川田龍吉男爵がアメリカから取り寄せた“アイリッシュ・コブラ(恐ろしげな品種名だこと)”が広まり『男爵』と呼ばれた。

間もなくイギリスから“メークイン”が入り、この2品種が長いこと中心を占めた。

ジャガ芋にとっては、不当な扱いも受けたのに、どんな土地・気候にもしっかり根を張って堅実に育ったジャガ芋の心根・・・その形や味のように丸っこく穏やか。

人間なら、ジャガ芋のようでありたいし、そんな人と付き合いたいものだ。

2006年11月21日 (火)

川魚の長“鯉”は潔い

そろそろ『寒鯉』が美味しくなる。

一般的な店ではなかなか手に入らないが、デパートなどで册切りをたまに見る。川魚専門店なら頼んでおけば大抵は買えるし、ついでに料理に合わせて下拵えも頼める。

鯉の洗い614_1

  1. 刺身用の册(上身)を薄切り、氷を入れた冷水で身を締める。
  2. 山葵醤油や酢味噌で食べる(紅葉下ろしを添えて、ポン酢で食べるのもいい)。

『海魚の王』は“鯛”。そして『川魚の長』は“鯉”と言われる。

鯉は、海が遠い、山郷では祝儀に使われる尊ばれる川魚だ。Photo_292 神事の儀式の供え物としても欠かせず、『鯉ばかりこそ、御前にても切らるるものなれば、やんごとなき魚なれ・・・』と兼好法師も誉めて書いている。

いとも潔い魚で、俎上に乗せられると、観念したがごとくビクともしない。

日本料理の伝承を守る旧家、四条家の儀式では、身を清め白装束を纏った料理人が、神前で、注連縄&御幣に囲まれた俎上の鯉を、刀で捌く。

一度、見せていただいたが、生きて運ばれ活き活きしていたはずが、確かに“俎上の鯉”はビクともしなかった。

鯉を尊ぶのは、中国も然り。

中国を貫流する黄河の源は、崑侖山脈の奥にあり、そこから積石山を経て竜門の至るという。

その辺りは、激流と滝が続き、普通の魚はとても先に進めない。

鯉のみが竜門を突破し、やがて竜になる・・・と、名高い『登竜門伝説』が生まれ、これにあやかって、日本では出世を願う“鯉のぼり”になった。

鯉は“洗い”が上品だが、丸ごと筒切りにして味噌仕立てにする“鯉こく”や、醤油で甘辛く煮付けた“甘露煮”なども人気がある。

かなり昔だが、生前の父は、行きつけの料亭が、冬に向かってする恒例の“池さらい”に私を連れて行った。

物凄い数の鯉を、大きな池から小さな池に移すのだが、職人たちに混じって、私も泥んこになり鯉を捕まえた。

その鯉は数日清水に入れておくので、前以て上げておいた鯉が供されたのだろうが、当時は自分が捕まえた鯉を食べているのだと信じていた。

鯉といえば<佐久>が有名だが、かつて、穴場の千葉県東金の『遠藤養鰻場』に、丸ごと食べさせて貰おうと出かけた。

最近は、鰻養殖が主になっているが、もともと川魚が専門だから、見事な鯉を料理してくれた。

脂の乗った鯉の腹の辺りを、厚く筒切りした“甘露煮”は、直径が20センチはある。卵巣がはじけて溢れ出さんばかり。あまりの美味しさにぺロリと片付けた。

“洗い”も、こりこりした歯触りで美味。“鯉こく”もいい出汁でいけた。

さて、この辺で止めておけば良かったのだが、調子に乗って、「食べてみてくださいよ」と言われるままに“鰻重”に手を付けたのは失敗。

どんなに旨い鰻でも、あの大きな“甘露煮”などが詰まった腹に収まるわけが無い。

申し訳なかったが、途中で箸を置く羽目になり、謝って包んで貰った。

これから『寒鯉』が美味しくなる。山郷に鯉料理を求めて出かけてみようかなぁ。

2006年11月18日 (土)

ヌーボーワイン一番乗り

Photo_293 11月第三木曜日は、フランスはボジョレーのヌーボー(新酒)解禁日。

午前0時をもって、成田空港のゲートから、ヌーボーを積んだ輸送車が一斉に街に向かう。

バブル全盛、世の中“グルメ”のブームに浮かれていた頃は、世界各地同時に売り出されるヌーボーを、日本で真っ先に味わおうと、未明のレストランでは、前夜から大勢の客が、その到着を待って大騒ぎだった。

都心なら、早い店では、荷が成田を出て2~3時間後には到着する。

ヌーボーが店のドアを入ると、待ち構えていた客たちは、全員総立ちで、拍手、口笛、クラッカーを鳴らし・・・やおら、改まり、厳かに“乾杯”だ。 と、まぁ、一部の店ではあったが、こんな一大イベントを繰り広げた。

もっと、すごいのは、成田のゲート傍に、仮設店舗(許可を得たテント)を設営、“ヌーボー一番乗りの会”を催した。

ワインの新酒でこんなに盛り上がるのなら、日本酒だって“解禁日”をキッチリ決めてイベントをしたら、もう少し日本酒人気に拍車がかかるのじゃないか?、と提案したことがあったが、「日本酒じゃダメなんだよ」という。

お洒落じゃないのだそうだ・・・おしゃれ=グルメじゃないんだって。

たしかに、あの当時は“国民総グルメ”の時代、でも、日本人が思っている“グルメ”ってなんだろう。

ワインにしても、各国のものが揃っていて、簡単に買える。

数十万円、数百万円という高級なものが売れる。

本当に、味の違いが分かって買う人ばかりなら、日本にはソムリエになれる人材が大勢いるのだが。

私は、せいぜい辛口か甘口かの区別と、渋味の程度が分かればいいと思っている。

パーティーでは、オーナー(主催者)が、ワインを選び、ティスティングして全員に奨める。それで、皆がグラスを口に運ぶが、いろいろな企画でオーナーを務めてこれたのは、ソムリエがそっとアドバイスしてくれたからで、いつも「困った時のプロ頼み」でやってきたが、素人はそれでいいと思っている。

これからますます美味しくなる生牡蠣にも「絶対シャブリだね」なんて、通人は言うが、「甲州産の辛口白をキリッと冷したのもイイゾ!」って、内心反発したりする。Photo_294

ワイナリーや、ビンテージに拘ってワイン選びをするよりは、自分の舌に合うのが一番。

長い歴史で、ワインが生活に溶け込んでいて、その風味に親しみ馴染んできた西欧諸国ならまだしも、ワインの歴史が浅い日本で、日本酒のことは何にも知らないのに、知ったかぶりの“ワイン通”が多いのは何かへ~ン。

「グルメするって、ファッションなの」と友人が言ったが、日本酒に拘ると“オジンくさい”けれど、ワインならお洒落な感じがするって・・・分かるけれど、やはり何かヘ~ン。

話題性のある食品や飲み物を、人より先に体験し、噂の店に行列して並ぶ・・・「私、こんなの、しょっちゅう食べてるわ」という顔をしているのがグルメなんだって。

こんなこと、いまさら言っている私でも、バブル期には“国民総グルメ”を煽っていたかと思い、反省したり、今後の指針にしたり・・・。

食材が豊かな街で、各国の美味・珍味が手軽に食べられることは、たしかに幸せののだろうけれど、いろいろな方のブログを拝見するようになって--------本当に豊かな食=本物のグルメって何だろう。

近頃、とても気になっている。

2006年11月17日 (金)

ワインのラベルを読む

今夜は昨日解禁された、フランス・ボジョレーヌーボーに因んだ話を。Photo_295

11月の第三木曜日は、ボジョレーヌーボー(ボジョレー地方のワイン新酒)の解禁日。

古いものほど珍重されるワインだが、ボジョレーなどの一部の品種では、新酒の方が喜ばれるものもある。

爽やかな果汁の芳香と味を残した新酒は、国産の場合は、11月初め頃から出回る。

ワインには、赤と白・そしてロゼがあるが、黒葡萄の皮を付けたまま発酵させたのが“赤”、皮を取って作ったのが“白”(白葡萄で作るのもあるが)なので、赤は皮のタンニンが滲み出し渋味が出るし、白は淡白で丸みのある味になる。

さて、一般的には、赤は肉料理、白は魚料理にと言われるが、あまり気にせず好みで選んで楽しむのがBEST。

とは言っても、レストランなどでは、料理に合ったワインを選ぶのも、シェフへのエチケット。馴れないと、料理に合うワイン選びも難しいのだ。

そんな難しいことは、プロにお任せ!!。

フランス料理の場合、ワインを選んでくれるのはSommelier(ソムリエ)だが、一流と言われる店なら、決して客が戸惑うほど高価なワインは奨めない。

ワインリストで、おおよその値段の見当を付け「これくらいのあたりで選んで・・・」と告げればいいのだ。

ということで、選んで貰ったワインのラベルを読んでみよう。

ラベルは別名を“エチケット”と言う。ワインのラベルを読むことはワインに対するエチケットでもあるのだ。

ワインには、大量生産のテーブルワインと、いろいろな規制がある高級ワインがあるが、エチケット(ラベル)明記は高級ワインの証明。

❤フランスワインの場合

フランスワインの主流はボルドーとブルゴーニュの二大産地銘柄。

ラベルを読むより、手っ取り早い識別は、瓶(ボトル)の特徴。ボルドーは瓶に肩があり、ブルゴーニュの瓶はなで肩。

味の特徴は、おおまかには、赤の場合、ボルドーは渋味がある熟成の遅い品種を混ぜるので陰影が出るが、ブルゴーニュは単一品種で作るのですっきりストレート。

白に関してはブルゴーニュの方が、品揃えがある。

ワインの銘柄は、登録されている原産地名で、原産地統制呼称(アペラシオン・コントロール=AOC)と言う。

このAOCには細かな格付けがあり、地方名~地区名~村名と、地域が限定されるほど上級品質。

Dsc03451 しかも、この村名は勝手に付けてはならず、優良葡萄産地と認定された特定の村だけが、ラベル表記を許可される。

その他の村は単に地区名だけ。さらにはAOCから外れた地区で作られると地方名だけしか表記出来ない。

滅多にお眼にかからないが、中に畑名まで表記されたラベルがあるが、これはワインの最上級品。

基本的には、左図のような順で表記されていることが多い。

地区名のところにVillage(ヴィラージュ)と書いてある銘柄は、村名AOCと地区名AOCとの中間に位置付けされるもの。

シャトー名は、どんなに大きく表記されていても、これは法が認めた登録商標ではない。

産地や銘柄のほかにも、葡萄の品種で選んでもいい。

○ミュスカデ=ロワール地方のフレッシュな辛口白ワインが主要品種。AOC名でもある。

○シャルドネ=ブルゴーニュ地方の辛口白ワイン、およびカリフォルニアワインの主要品種。

○リースリング=ドイツワインの辛口白の代表品種。フランス・アルザス地方の白も。

○ピノ・ノワール=ブルゴーニュのコート・ドール地区の赤ワイン。シャンペンの主要品種。

○ガメイ=ボジョレー地区の軽く爽やかな赤ワイン。

❤イタリアワインの場合

イタリアは世界最大のワイン生産国なのだが、ほとんどが国内消費されていた上、輸出用もバルクワイン(フランスやドイツで、安物に混入用)だったので、海外で評価されることが無かった。

近年、その優秀さが認められてきたが、品種や産地、生産者など銘柄に統一性が無く、格付けもはっきりしない。

ただ、一流店なら定評あるいいものを選んで仕入れるので、好みを言ってみよう。

❤ドイツワインの場合

ドイツには、赤のいいものは少ないが、白にはいいものが多い。一般的には値段が上がるほど、甘味が増すようだ。

ドイツワインのラベル表示には、法で規制された三つの要点がある。

  1. Tafelwein(ターフェルヴァイン)=テーブルワイン。Mosel(モーゼル)、Rhein(ライン)、Main(マイン)、Neckar(ネッカー)、Oberrhein(オーバーライン)の五地方である。
  2. QbA(クヴァリテーツヴァイン・べシュティムテン・アンバウゲ)=1の地方がさらに区域限定されたもの。検査され合格のロット番号が明記される高級品。
  3. QmP(クヴァリテーツヴァイン・ミット・プレディカート)=称号付きの最高級品。貴腐ワインと呼ばれ、樹に生ったまま完熟乾燥させた葡萄で作ったもの。

❤スペインワインの場合

代表的なのはSherry(シェリー)酒。これは強化ワインのこと・・・つまり、年々の酒をブレンドしながら熟成させていくアルコール度の高いワイン。食前酒にする。

スペインワインは、品質に安定性がなかったが、改善が進み、リオハ州辺りのものは良質だ。

長くなったが、少しでもワイン選びの参考になれば幸甚。

2006年11月11日 (土)

葉は民間薬、茎は食用“石蕗”

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Dsc03350 キャラブキの佃煮は年中あるが、生のキャラブキは時季外れ。

ただ、散歩していると、塀際や石垣に“ツワブキ”の黄色い花が咲いているのを見る。

このツワブキの茎が、キャラブキの佃煮になる、

花はツワブキ、茎はキャラブキなのか?。なんだか狐に抓まれたような・・・。

しかも、ツワブキとは漢字で“石蕗”と書く。Photo_296

“石蕗(つわぶき)”・・・なんで石なんだろうと調べた。

葉が艶やかで、茎が蕗に似ているから<艶蕗>ツヤブキ、それが訛ってツワブキになったという説。

葉が蕗より厚いから<厚葉蕗>アツバブキ、その訛りだという説。

諸説あったが、ツワブキの名の由来に関するせつばかりで、石の字が当てられた事情はよく分からない。

菊科の多年草で、自生は本州中部以南の海岸付近に多く見られる。

花期は10~12月、黄色の頭花を円錐花序に咲かせる。

多肉質の葉は、若芽の時期には茶色の綿毛で覆われている。

葉は火で炙り、腫れ物の吸出し用に患部に貼ったり、青汁が出るほど揉んで打撲傷に貼ったりするほか、絞り汁や煮出し汁は、魚の中毒に効くと言われて、いろいろな民間療法に使われる。

丈夫で、育成が早く簡単なことと、常緑の葉は艶があって、その上に花も可愛らしいと、園芸にも人気がある。

鉢植えにされて外国にも輸出されて、これも人気が高くなっている。

海岸付近に自生するので“磯蕗”、海岸付近でも砂地よりは崖地に多いので“山蕗”などの別称がある。

花言葉は「愛よ、蘇れ」-----愛が冷えたと感じている人、鉢植えでも買ってみる?。

効果があるかどうかの責は負わないが。

2006年11月10日 (金)

江戸美人を作った“薩摩芋”

Dsc02444 「イモ姉ちゃん」だとか「あいつはイモだ」とか、田舎くさいとかダサイイメージに使われることが多い“イモ”。

それも大抵は薩摩芋に関連させて言っているが、とんでもないことだ。

イモ類は素晴らしい健康食材で、とくに薩摩芋はもっと見直されていいのだ。誉め言葉ことふさわしい。

現代人の課題の一つ・大腸癌の予防には、食物繊維を摂取して便通を整え、腸内を綺麗にしておくことが必須。

健康の基本は、快食・快眠・快便・・・お腹がすっきりしていないと快食は無理だし、お腹パンパンでは快眠も得られない。

お腹すっきりはまた、美人の条件でもある。“イモ姉ちゃん”なら快腸で美人になるはず・・・“イモ姉ちゃん”は誉め言葉であるべきなのだ。Photo_297

江戸時代に、娘たちに人気だったのは、『芋・蛸・南京(ドラマのタイトルではない、本当にある諺)』で、とくに中でも“栗より旨い十三里(焼き芋)”だ。

お菓子が大好きなパリジェンヌならぬ、焼き芋が大好きな江戸娘たち。

焼き芋が好きなら、便通も良く、当然ながら肌にブツブツなど出来ず、柳腰でスマート・・・評判の美人が続々と現れた。

当時、市販された『娘評判記』に名声をとどろかした“明和三美人”。

  • 谷中・笠森稲荷神社の境内にあった茶屋『鍵屋』の娘・お仙。
  • 浅草・奥山の楊枝見世『柳屋』の娘・お藤。
  • 浅草・大和茶屋『蔦屋』のおよし。

中でも、評判は断然お仙で、通称・笠森お仙と呼ばれ、大田南畝(おおた なんば)の書『半日閑話』に「美なりとて、皆人見に行く」と絶賛されている。

茶屋の中にはいかがわしい店もあったらしいが、お仙の茶屋は、神社の社務所兼用の茶店で、彼女は黒繻子の襟をかけた着物に裸足で塗り下駄、化粧っ気の無い清楚な姿。

肌は真っ白で艶々、男たちは老いも若きも、お仙見たさに茶を飲み、団子を注文したと言う。

今で言えば、人気アイドルの筆頭だったわけだが、彼女は人気に驕ることも無く、スキャンダル一つ無かった。

取り巻く男客たちには見向きもせず、幕府お庭番支配役の倉知政之助と結婚。多くのファンをがっかりさせた。

因みに、お仙は『鍵屋』の実娘ではなく、五兵衛という農家の娘という説があり、そこから薩摩芋が届いていたのかも・・・。

日比谷門近く・桜田の御用屋敷に住み、夫婦仲良く、男児7人・女児3人の子宝に恵まれて、内助の功をよく果たし、79歳の長命で天寿を全う。

夫が先立ってから、21年の間は孫たちと元気に過ごしたと言われるが、当時としては、すこぶる元気なお婆さんだった彼女の楽しみは、お茶を飲むことだったそうだ。

冬のお茶うけは、きっと薩摩芋。

薩摩芋は肥る・と敬遠するのは誤解。間食として美味しいからと食べ過ぎるから肥るので、薩摩芋じゃなくても、何だって食べ過ぎれば肥る。

おかずの一品、または主食代わりに食べる分には、同じ量ならご飯よりはヘルシー。

お仙のように・・・とまではいかなくても、お腹すっきりで肌も綺麗、その上健康長寿なら『イモ姉ちゃん』大いに結構。

私も『イモ婆ちゃん』で頑張るぞ!。

2006年11月 9日 (木)

“お酉様”と焼き芋?

11月の酉の日には、各地の大鳥神社(大鷲神社・鷲神社)に、“酉の市”がたち「お酉様」と呼ばれて善男善女が、家内安全・家業繁栄を祈願した帰りに、並ぶ市で熊手や近郷の産物などを買って帰る。

大鳥神社の本社は堺市にあるが、東京は末社が多い。

中で足立区の鷲神社が本酉とか大酉と呼ばれて有名だ。

何処のお酉様も賑わうが、昔は吉原を控えた台東区の鷲神社が、一番札を貰う人々が前夜から詰め掛けて大混雑だった・・・と、樋口一葉の『たけくらべ』にある。

この酉の日が、11月中に3度ある年は火事が多いと言い伝えられているが、とくに根拠は無い。

今年は今日9日と、21日の2回。3の酉は無い。迷信だと思いながらも、少しホッとして・・・。

さて、江戸時代の酉の市で、縁起物の熊手を凌ぐほど売れたのが“芋頭”。仕事でトップ(頭)に出世出来るようにというゲン担ぎだった。

農家が境内で売る作物は、時節柄、根菜が多かDsc02444_1 ったが、薩摩芋も良く売れたという。

薩摩芋は、救荒作物として、享保20年(1735)に薩摩藩から種芋を譲り受けて、小石川植物園に植え付けされた。

その栽培を幕府に建議したのが後に“甘藷先生”と呼ばれた青木昆陽(文蔵)。昆陽は江戸橋辺りの魚問屋の主人だったが、伊藤東涯に学問を学び、救荒作物としての薩摩芋に目を付け、『藩薯考』を書いた。

時の将軍・吉宗の作付け奨励で、急速に普及した薩摩芋を、江戸では当初は蒸して食されていたが、間もなく本郷に焼いて売る店が現れ、栗に近い味だと“八里半”と書いた行灯を掲げていた。

しかし、「栗より旨いぞ」と言い出す者がいて、“栗(九里)より(四里)旨い十三里”と数合わせのような行灯を掲げる店が小石川に出現。

焼き芋の登場で、薩摩芋の消費量は一気に増大した。

Photo_298 その消費を賄う出荷が、江戸から約十三里の川越だったこと、その川越は徳川家との所縁が深い幕府庇護の城下町だったことなどから、焼き芋=十三里は江戸庶民に定着した。

さて、話を少し戻そう。

薩摩芋は甘藷と呼ばれて、庶民に愛されたが、その功労者・甘藷先生こと昆陽は、晩年に目黒の大鳥神社・南裏に隠居所を建てて住み、敷地の一角に生前自ら『甘藷先生墓』と刻んだ碑を用意。

大鳥神社の酉の市に売られる近在農家の薩摩芋や、人気抜群の焼き芋に眼を細めていたのではなかろうか。

詩人・尾崎喜八がこんな詩を読んでいる。

『昆陽先生の碑前にて』

あぁ 甘藷先生。

平明で豪快なあなたの夢想が、

たうたう私達の国土へ薩摩芋をはびこらせてしまった。

あなたの深謀遠慮を知らない女共も、

あの霊妙なあぢはひは夢寐にも忘れまい。

ヴィタミンとか、カロリーとか、

それもいいだろう、贅沢の利くうちは。

だが、いざとなると、

私のやうに貧乏で活きのいい芸術家は、

いよいよあなたの恩恵をかうむって、

秋の金無垢の芋ばかり食っても豪快な詩を書くのです。

甘藷先生こと昆陽は、薩摩芋の健康効果か享年72歳と、当時としてはすこぶる長命だった。

酉の市がたつ頃は、焼き芋の美味しい季節。セッセと食べて快腸で快調に長生き!!。

薩摩芋は天婦羅も美味しい。

2006年11月 8日 (水)

無くてはならぬ脇役“葱”

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今日は葱の話だが、まずお奨めの一品。

☆葱の豚肉巻き南蛮漬け611

  • 醤油と酢と酒で漬けタレを作っておく。
  • 葱を豚肉で巻いて片栗粉を薄く塗して、フライパンに胡麻油を熱して焼く。
  • 中まで熱が通ったら、熱いうちにタレに浸け、味が浸みたらOK。

材料も少なく、手間も簡単で美味しいのでお試しを・・・大人向きには鷹の爪のピリ辛を加えるとなお美味しい。葱は臭=気(き)が強いと言うので、昔は敢えて別の字を当て“紀”と書いた時代もあった。Dsc03346

それはまだ一文字草と言われていた頃。

やがて栽培技術が進んで、白根の部分が賞味されるようになり、“紀”の上に“根”が付き、“根紀~ネギ”に・・・。

ただ、正確には白い部分は根ではなく、“葉鞘(ようしょう)”、つまり葉の一部なのだが。

夏場は、麺類の薬味などとしての消費が主で、それも仲間の浅葱や分葱、万能葱と呼ばれる細葱が市場を占めているが、冬に向かい、鍋物が恋しくなる頃から長葱の消費は大幅に伸びてくる。

とくに、白くて太い“下仁田葱”などを鍋物に用いた味は逸品で、冬の風物詩と言える。

葱は別名を“根深(ねぶか)”と言うくらい、白い部分を長く作る。Photo_299

これは、関東ローム層を利用して、土を深く掘り下げ、日光に当てないように葱を埋めて軟白に作るのだ。

地上に出て日光に当たった緑の部分は硬く、とくに美味しい物ではないが、埋もれていた白い部分は甘味があって、煮るほどに美味しさが出る。

これと、比較されるのが、京都辺りで栽培される“九条葱”で、緑の部分が柔らかで美味しい。

葱は風予防に効くといわれ、生葱の白い部分には体を温める作用があるらしい。

カルシウム、鉄分、カロチン、ビタミンCなどが豊富で栄養価の高い野菜だ。

通常は、もっぱら脇役として、主役を引き立てる立場だが、時には串焼き、風呂吹き風、葱サラダなどで、主役の座を与えてやろう。

2006年11月 7日 (火)

“青首(鴨)”には葱より芹

渡り鳥の代表格、鴨は11月になると大群を成してシベリアから日本へ渡ってくる。

その種類は何と30余種もあるそうだ。

中で、食用として珍重されるのは“真鴨(まがも)”。

形も大きくて、赤味を帯びた肉の味は抜群に旨い。

頸部が美しい青緑色をしている(オス)ところから、「青首」と俗称されている。

通常、料理店などで使用するのは“合鴨”と呼ばれる、真鴨のオスと家鴨(あひる)のメスを掛け合わせた雑種だ。Dsc03358_1

野生の鴨はなかなか入手困難だからだが、一部の専門店では時季を限って予約で提供していることもある。

かつて編集者だった頃は、季節に2~3度は野生鴨を食べる機会があった。

滋賀の『大黒屋』、岐阜の『すぎ山』などの老舗では、緊張したのか、味の記憶は残念ながら薄いが、千葉・旭の『才兵衛』での記憶はいまだに鮮やかだ。

当時の私は、結腸にポリープがあると言われ、医者から「刺激物、脂っこい物、アルコールは厳禁。あまり動き回ってもダメ」と厳命されていたが、野生鴨の誘惑には勝てず、誘われるままに、出かけたのだった。

合鴨(間鴨)は、いろいろな料理で体験しているが、野生鴨を食べるチャンスなんて滅多にあることでは無い。Photo

千葉の入船町(南行徳)に『かも苑』という店がある。

すぐ傍は皇室の鴨場・・・国内外のVIPに供される独特の味付けの“鴨すき焼き”が有名だ。

合鴨も、両国の老舗『鳥安』は、独特の焼き鍋で、なかなかの味わいではあるが、野生鴨の風味とは少し違う。

野生鴨の、赤味の強い肉は地鶏に近い歯応えではあるが、全てのジビエに共通の、“血”の濃さをかすかに感じる原始的・本能的風味。

「これはオスです」と、店主が言ったが、となれば、まさに“青首”。

小鴨丸蒸し、鴨飯と出してもらったが、残念ながら当てにしていた“ツクネ”は無かった。

これは、内臓や頭を雀と共に叩いてツクネにして煮たものだが、雀が獲れないので作れないと言われた。

そんな野生鴨も、予約してもなかなか食べる機会に恵まれない。

最近ではほとんど“合鴨”ばかり。 Photo_301

それでも運良く、デパートなどの食肉売り場で、野生鴨の《抱き身(胸肉)》に出会うことがあり、そんな時は値段に目を瞑って買ってしまう。

簡単で間違いなく美味しいのは、鉄板で焼いて、大根おろしと生醤油で食べる・・・絶品だ。

勿論、鴨は、鍋にして良し、麺類に使って良し、加賀料理の冶部煮もバッチリ。

ソテー、燻製なども捨てがたい。Photo_300

さて、鍋なら合鴨で充分美味しく食べられるが、『鴨が葱背負ってくる』なんて諺にあるから、当然に葱は鴨と相性がいい訳だが、実は、鴨の幾分しつこいくらいの味には芹の方が合うのだ。

鴨の脂が味をくどくするのを、芹が和らげてくれるようで、葱より美味しい・・・と、私は自信を持って奨める。

2006年11月 6日 (月)

美味しさ周年“天然真鯛”

いつも、青森から美味しい物を送ってくれる、大親友といえる知人は、ご主人が「超」が付くほどの太公望。Photo_302

今回は、釣り上げたばかりの“真鯛”を送ってくれた。

釣り好きが、釣り上げたのだから、当然ながら天然物。しかもメス(腹にまだ小さいが眞子を抱えていた)。

体長約55センチの大物だ。メールのよると、50センチクラスが3匹釣れたそうだ。

小物は隣近所に配り、大物の一番大きなのを送ってくれたらしい。

❤鯛茶漬けJ子風(鯛を送ってくれた奥様のレシピ)Photo_303

  1. 白胡麻を摺り、醤油と少量の麺つゆを加えたタレを作る。
  2. 刺身用に切った鯛を1~2晩ほど漬け置く。
  3. お茶漬けもいいが、万能葱を巻くと酒肴に良く合う。

    さて他には、どんな料理で食べて、「美味しかった」と報告しようか。

見事な鯛は、なまじ弄くるより、定番料理が一番かと決めた。

まずは皮を湯引きした刺身“鹿の子”。 上身の昆布締め。

硬い頭骨を真っ二つに割って“兜煮”。

小さな真子(卵)を抱えていたので、兜とともに煮付ける。

骨やアラは酒蒸して削ぎ取った身は、炊き込み飯にしよう。

ついでに鱗は素揚げして、塩をパラッと振りチップに。いいツマミになる。

これで、大きな鯛を丸ごと一匹、無駄なく料理。

瀬戸内海では、春・産卵期の鯛(俗に“桜鯛”という)が珍重されるが、裏日本や北日本では水温の関係で、春の漁期が遅れて、味が落ちた産卵後になるため、かえって味を取り戻した秋の鯛が美味しいのだ。

鯛の身は、癖が無く淡白な上、小骨が少なく食べ易い、中毒の心配が殆ど無い・・・と、万人向きだという。

それにしても、日本人は鯛が好きで、祝い事には欠かせない魚だ。

この鯛も、ご主人が夫の退職を祝って鯛を送ろうと、仕事と天候の兼ね合いをつけて、釣りに行ったそうだ。

しかも、秋に美味しい日本海の天然鯛。ありがたく頂いた。 613

記念に、『鯛の中にあるタイ』(カマの胸鰭の付け根の骨)を取っておいた。

やがて飴色になるまで、頭が離れずカチンコチンになれば、いいことがあると言い伝えがある。

2006年11月 4日 (土)

寿司の薀蓄・その2“寿司種”

Dsc02523_1 寿司を語ると、話が長くなり、一度や二度では書ききれない。

昨日に続いて、今日も寿司に因んだ話。

寿司を食べる時は、先ず卵焼き(ギョク)・・・なんて粋がった半可通はイヤミなだけ。

好きなネタを、綺麗な食べ方で、最後にニッコリ「ごちそうさま」。それだけで充分、それが上客なのだ。

☆さて、寿司の基本知識・(1)は、山葵と生姜の効用。

どちらも殺菌作用があることは知られているが、酢と併用することで、例えチフス菌やコレラ菌でも10~24時間で死滅、赤痢菌なら1時間ほどで死滅すると言うから、山葵の効いた寿司を生姜(ガリ)と一緒に食べるのは意味があるのだ。

殺菌は、衛生管理の行き届いた最近の寿司屋では、そんなに気にしなくてもいいが、酢・山葵・生姜(ガリ)は魚の生臭みも消すし、口中をサッパリさせて食を進める。

☆基本知識・(2)、寿司の人気一番は鮪、その部位。

人気の鮪も、部位を知って注文しよう。

  • 赤味=主に背身、脂肪分が少ない。ズケが美味しい。
  • 中トロ=腹部や皮下の脂肪分の多いところ。
  • 大トロ=内臓を包む、腹部で一番脂肪の多い部位。
  • 中おち=骨の間の身。旨味がある。
  • 血合いぎし=血合いに接する部分で、通には珍重される。

☆握り寿司の種はこんなに多い。 118

  • アジ=最近は酢締めより、生で使うのが人気。下ろし生姜や刻み葱をのせる。
  • アナゴ=薄味に煮付け、仕上げにツメ(醤油を煮詰めたもの)を刷く。429_1
  • アカガイ=春が旬。舌状部分(足)を使うが、紐の 握りや軍艦巻き、海苔巻きも美味しい。
  • アワビ=晩春から夏が旬。肝の軍艦巻きはオツな通人の味。
  • アオヤギ=舌状部分(足)を握りや軍艦巻きに。小柱(星)の軍艦巻きもいい。
  • イカ=生で使うほか、ヤリイカは煮て酢飯をつめても美味。足は425_2別に茹でて“ゲソ”として使う。
  • イクラ=軍艦巻きが主。人気は定着。
  • ウニ=軍艦巻きにする。
  • カジキ=薄い朱色の身。奥深い上品な味わいで、固定ファンが多い。
  • カツオ=皮をとって生で使うのが一般的だが、皮付きを焼いてタタキのように使うのも人気がある。
  • カレイ=淡白さが好評。ヒラメのように“エンガワ”も珍重される。427_2
  • カンパチ=ブリの仲間だが、アジに似た体形で、脂があるのにクセが無い。
  • カニ=季節や店によっては生でも握るが、ほとんどは茹でた脚肉を使う。解し身は軍艦巻きにする。 433_2
  • クルマエビ=生きているものの殻(皮)を剥いて握ると、醤油に漬けた時に肉がピクピクするので“おどり”と言う。大半の店は茹でて使っている。
  • コハダ=酢魚の基本と言われる。春の短期間だけ出る“シンコ”と呼ばれる幼魚は 珍重される。
  • コモチコンブ=ニシンがコンブの葉部に卵を産みつけたもの。殆どはアラスカ産。
  • 111_2サバ=ホンサバを酢締めで使う。塩加減・締め加減に職人の腕が問われる。
  • サヨリ=春一番の通好みの魚。酢魚が一般的だが、鮮度が良ければ生を希望する人が増えている。
  • シマアジ=マアジより脂肪に富む。カンパチに似た味の高級魚。
  • シャコ=夏には腹に子を抱えて美味しさが増す。茹でて殻剥きして並べてある。
  • シラウオ=ふつうは茹でて使うが、極めて鮮度が良ければ生が美Photo_305味しい。
  • タイラギ=貝柱が大きく、歯ざわりがいい。貝柱だけ使う。
  • タコ=通常は茹でて使う。煮タコも美味、生もオツ。吸盤だけもいける。
  • マツブ=最近人気が出てきたコリコリ感のある貝。
  • トリガイ=貝類では寿司種の定番品。噛むほど味が出る。114
  • ハマチ=ブリの若魚で、ブリより定番になっている。
  • ハマグリ=煮貝にして使う。近年はなかなか置いている店 が無い。
  • ヒラマサ=夏が旬。ブリの仲間の大型魚。ブリよりクセが無い。
  • ヒラメ=人によってはタイより品がいいと好まれる白身魚。ヒレの基部・エンガワが珍重されるが、一見客ではなかなか出して貰えない。
  • ホッキガイ=一般的には舌状部分を茹でてあるが、生のものは色は灰色だが甘くて歯応えがいい。
  • ホタテガイ=甘味のある貝柱を使うが、紐もいい味だ。
  • マダイ=白身魚の代表格。とくに春が美味しい。生もいいが昆布締めが絶品。
  • ミルガイ=白ミルが使われることが多い。コリッとしている割にネットリ感も。

☆ちょっと変わった寿司種は話の種。Photo_306116

  • サクラエビ=静岡名産、生か釜揚げを軍艦にする。
  • シロエビ=北陸の味。超ミニサイズなので茹でて軍艦巻きに。
  • マテガイ=春が旬。茹でた剥き身を軽く焼き、握りにする。
  • カキ=鮮度のいいものは、握りでも軍艦巻きでもウマイ。
  • シラコ=別名・菊子 or 雲子と呼ばれるマダラのシラコを、サッと湯通しして軍艦巻きにする。モミジ下ろしや刻んだ浅葱をのせて。
  • ノリ=川海苔、岩海苔などを、出汁と薄口醤油・酢で調味して軍艦巻きに。風味が身上の粋な一品。
  • ナス=焼いて握りにする。トロリと独特の口当たりで佳品。
  • ワサビ=微塵切り(下ろしても)を巻き寿司にする。“涙巻き”と呼ぶ話題作りの一品。

上記の寿司種は、すべて私が食べてみての感想で、万人に通じるものではないとお断りしておく。

☆いくつかの余談

  • 寿司屋のお茶を“アガリ”と思い込むのは間違い。食べ始める前に出るお茶は『デバナ』、食べ終わりに出るのが『アガリ』。
  • 会計をして貰うのに、「親父さん、オアイソ」は間違い。愛想するのは店側で、客が愛想を振っても意味無し。

旨い寿司屋で、旨い寿司を・・・と思いながらも、このところ、回転寿司に行くことが多くなった。

最近の回転寿司は、ネタの種類も多く、鮮度もいい。結構美味しい米を使っているし、何より、余計な気を使わず食べられるのがいいのだ。

しかし、カウンター越に、親父との微妙な駆け引きで注文し、食するのも、馴染みの寿司屋ならでは・・・で、今夜は久々に、出かけてみた。

2006年11月 3日 (金)

寿司の薀蓄・その1『魚の漢字名』

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Dsc02523_2 今日は『文化の日』、というわけではないが、ちょっと文化的な話を。

日本人の殆どが「好き」と言う“寿司”。 これは、日本文化の一つだ。

いまでは、このように寿司と書くのが一般的だが、明治時代以前までは、“寿志”とか“寿之”などとも書いた。

寿司は、元は熟れずしが発祥で“鮓”だったが、押しすしや箱すしが登場、やがて生の魚の握りすしも始まり、“鮨”“寿司”と曖昧になってきた。

さて、よく寿司屋の湯飲み茶碗などに、魚へんの漢字がズラリと並んでいるのを見るが、全部読めないと言う人が結構多い。

もっとも、あの漢字は殆どが当て字で、当用漢字にあるものが無い(鯨はあるが、これは魚ヘンでも魚ではないから除外)と言ってもいいから、読めなくていいのだが、ちょっと知ったかぶりしたい方のために。

  • 鮎(あゆ)=押し鮨が主。最近は握りも見かける。
  • 鯵(あじ)=光り物、真鯵は生か酢締め。縞鯵は生(高級魚)。Photo_307 Photo_308
  • 鮸(いしもち)=ニベとも言う。唐揚げや煮魚用。
  • 鰯(いわし)=鰮と書くことも。Photo_309 Photo_310
  • 鯎(うぐい)=皮を剥ぎ、小骨を抜いて使う。
  • 鰻(うなぎ)=生で使うことは無く、白焼きかタレ焼きで使用。
  • 鱓(うつぼ)=地方によっては、祝い事に欠かせない。
  • 鱛(えそ)=すし種よりは、蒲鉾に使う。
  • 鱏(えい)=淡白で、刺身で食べることも出来る。鱝と書くことも。
  • 鰕(えび)=通常は虫偏の蝦と書く。
  • 鮋(かさご)
  • 魳(かます)=水気が多いので、干物向き。Photo_311 Photo_313
  • 鰍(かじか)=この字は、シイラのこともある。
  • 鰈(かれい)=寿司には主に石カレイを使う。淡白な白身。
  • 鯷(かたくちいわし)=刺身よりは目刺しに。
  • 鰹(かつお)=最近はとくに寿司種として人気だ。
  • 鱲(からすみ)=鯔(ぼら)の卵巣。塩漬けして形を整えPhoto_314干した珍味。Photo_316 
  • 鱚(きす)=寿司よりは天婦羅向き。
  • 鮗(このしろ)=鰶とも書く。幼魚はシンコ、若魚はコハダ。寿司種にはコハダが一般的。光り物の代表格で酢締めで使う。
  • 鯒(こち)=鱃と書くこともある。天婦羅が美味しい。
  • 鯉(こい)=寿司種にはしないが、洗いを酢味噌などで食べる。
  • 鮭(さけ)=紅トロなどと呼ばれて人気が出ている。
  • 鮫(さめ)=刺身にはせず、付け焼きかフライで。
  • 鯖(さば)=鮮度が良ければ生もいいが、酢締めが一般的。
  • 鯯(さっぱ)=いわゆるママカリ。酢締めで使う。
  • 鰆(さわら)=寒鰆は、脂が乗って刺身でもいける。
  • 鱵(さより)=透明感が爽やかな、春の味覚。 Photo_317 Photo_318
  • 鱪(しいら)=字が表すとおり夏の大型魚。身は淡白。
  • 鱸(すずき)=洗いが美味だが、寿司種にしてもいい。
  • 鯳(すけとうたら)=刺身には向かず、鍋や蒲鉾用。
  • 魛(たちうお)=魚形から名も字も出来た。鮮度第一、脂肪に富む。
  • 鯛(たい)=海魚のキングと言われる。何と言っても真鯛が一番、皮付きで熱湯をかけた“鹿の子”もオツな味。酢締めや昆布締めも美味。
  • 鯽(たなご)=鰱とも、鱮とも書く。煮魚向き。
  • 鱈(たら)=真鱈の昆布締めは佳味だ。
  • 鱘(ちょうざめ)=親は使わないが、卵(キャビァ)が珍重される。
  • 鰌(どじょう)=寿司種にはしない。鍋用、蒲焼も。
  • 鰩(とびうお)=刺身も出来なくはないが、すり身や塩焼きに。
  • 鯰(なまず)=寿司種には不向き。鍋やフライ、付け焼きに。
  • 鰊(にしん)=鯡とも書く。飯寿司にする。Photo_320 Photo_321
  • 鯫(にごい)
  • 鮠(はや)=ハエとも言い、鰷とも書く。
  • 鰣(はす)=鯉科の魚。滋賀県の名物になっている。
  • 鰰(はたはた)=鱩とも書く。飯寿司にする。
  • 鱧(はも)=小骨を切り、主に箱寿司にする。関西の夏に欠かせない魚。
  • 鰉(ひがい)=琵琶湖名物、煮付けや塩焼きに。
  • 鮃(ひらめ)=寿司種の高級品。ヒレの付け根“エンガワ”は珍重される。
  • 鰒(ふぐ)=高級品だが人気がある。
  • 鮒(ふな)=熟れ寿司にする。
  • 鱶(ふか)=身より、乾したヒレが珍重される。
  • 鰤(ぶり)=寿司種には、若いハマチが使われることが多いが、鰤の刺身も美味しく高級品。
  • 鯔(ぼら)=冬が旬だが、あまり寿司種にはしない。
  • 鯧(まなかつお)=鮮度第一。付け焼きが美味しい。魴とも書く。Photo_322 Photo_323
  • 鮪(まぐろ)=寿司種で人気No,1。
  • 鱒(ます)=押し鮨に使う。
  • 鰘(むろあじ)=寿司種にするよりは干物用。
  • 鯥(むつ)=淡白な白身。腹子や白子が格別美味。
  • 鰙(わかさぎ)=フライ・天婦羅や佃煮向き。
  • 鮟鱇(あんこう)=淡白な白身で鍋物に。
  • 魴鮄(ほうぼう)=淡白な白身。鍋物や煮魚にすることのほうが多い。
  • 鮑(あわび)=魚では無く貝なのに何故か魚ヘン。高級寿司種。Photo_324 Photo_325

ほかにも、一般的に市場では見ない魚も書き出すと際限が無い。

どうしてもPCで作字が出来ず、残念だったのが、魚偏に花(魚花)と書く“ホッケ”、そして魚偏に荒(魚荒)の“アラ”。

こんど寿司屋に行って、茶碗や壁掛けで、魚偏の漢字を見たら、ダ~ッと読み上げ、自慢してみて。

2006年11月 2日 (木)

昆布が上等なら“昆布締め”もいい味

日本人の好Dsc03272きな刺身を、少し手間をかけてワンランク上の一品に。

❤青背魚の昆布締め575_1

  1. 鯵や秋刀魚、鰯などの青背魚を昆布締めにする時は、生姜の薄切りを挟むと生臭みも消えて食べ易い。
  2. 3枚おろしにして、皮を剥ぎ、腹骨を削いで、小骨を抜いた魚を、濡れ布巾で拭いた昆布に並べ、生姜を乗せ、上に昆布を重ねる。
  3. 2昼夜ほど圧しをして寝かせると、昆布の味・香り・粘りが移って、青背の魚も味がUPする。
  4. 山葵醤油、生姜醤油など好みで良いが、ポン酢や大根おろしも美味しい。

この秋、折角上等な“羅臼昆布”を手に入れたので、『昆布締め』を作ってみた。 590_3

子供の頃は、父が、白身の魚・帆立貝柱・海老・烏賊・・・いろんな魚介を幅広の昆布に並べ、押しをして1~2昼夜置いてから、酒肴にしていた。

その昆布締め魚介を口に運んだ時の、何とも嬉しそうな父の顔を見て、私の中で昆布締め魚介は、ふつうに刺身で食べるより高級なもの・・・というイメージが出来上がった。476

白身魚、海老、貝柱、烏賊など、いろいろと昆布で締めてみると、普段の刺し身とは違った美味しさが分かる。

キッチンペーパーに、ラップを広げ、昆布を置き、魚介を並べ、昆布を乗せ・・・幾種類か作る時や、多めに作る時はこの繰り返し・・・ラップを被せ、タッパーなどで重しを作り、数日置く。

昆布締めは、大根と胡瓜の混ぜ下ろしを添えて、レモン汁と醤油で食べても美味しい。

2006年11月 1日 (水)

戦の因にまでなった“牡蠣”

日頃は、歳のわりにはガンバッテいる方かな?、と思ってはいても、鏡に写った首筋の皺や、髪にチラホラ見え隠れする白いものは、現実を突きつけてくる。

旬に入った“牡蠣”で、少し若返りを図らなければ・・・。

☆焼き牡蠣と牡蠣のベーコン巻き焼きPhoto_326 Photo_328

いまから、どんどん美味しい時季になる牡蠣。

“牡蠣”は、あの『グリコ・キャラメル』の名コピー「一粒で300メートル」の原点なのだ。

牡蠣の主栄養素は、グリコーゲンやコハク酸、アミノ酸の一種・グリシン。

グリコの創業者が牡蠣から抽出したグリコーゲンをキャラメルに加えて、『グリコ』と命名、疲労回復・体力増強を、あの名コピーとランニングする男性キャラとで、広くアピール。

海のミルクとも言われる完全食品“牡蠣”は、そのグリコーゲンをたっぷり含む。

ほかには、ビタミンA・B・Cも豊富で、牡蠣を100g食すと、一日に必要な蛋白質の2/3、カルシウムの1/3、リンは全量、鉄分やヨードは4倍も摂取出来る。

さらには、中高年には欠かせないタウリン、生活習慣病予防や視力向上を助ける。

こんなに優秀な食品だから、各国で古くから愛されている。

ヨーロッパでは、牡蠣を求めて戦が起きたとまで言われているのだ。Dsc03354

シーザーも、ナポレオンも、大の牡蠣好きだったと言われているから、彼らの侵攻が、後世で「牡蠣を求めて故」との一説を生んだのも頷ける。

シーザーやナポレオンが、牡蠣好きなら、彼らの愛人・クレオパトラやジョセフィーヌも、牡蠣を食したに違いない。

美しく若さを保った美女は、牡蠣を食べなくっちゃ!!!

日本でも、牡蠣は縄文時代から食され、貝塚から牡蠣殻が沢山出土している。

奈良時代に、天女のような美人と言われた、允恭(いんぎょう)天皇の后の妹・衣通姫(そとおりひめ)は、伊予の国(愛媛県)に流された恋人を想って、

夏草の あいねの浜の 蠣貝に 足踏ますな あかして通れ

と、『古事記』に詠っている。

自分は行ったこともない伊予の国が、牡蠣の生息地で、岩場に牡蠣殻が張り付いていることを、宮廷に居ながらにして精通しているほど、すでに牡蠣は献上され、貴族に好まれ食べられていた。

平安時代には、貴族は牡蠣の産地にまでこだわり、伊勢の国(三重県)から王朝に献上させたと文献『延喜式』(927年)に記載がある。

牡蠣には、レモン汁の酸味が良く合う。

柑橘類のビタミンCやクエン酸は、牡蠣の味を引き立てるだけでなく、栄養の利用効率を高める。素晴らしく理想的な組み合わせだ。

カキフライと殻付き牡蠣のパセリパン粉焼き617

クレオパトラやジョセフィーヌは、レモン汁だったと思うが、古代日本でレモンはまだ無かったはずだから、衣通姫たちは柚子か橘(たちばな)の実を絞ったのだろう。

ローマでは2000年も前にすでに養殖が始まったが、日本では江戸時代の元禄期(1673~1680年)になって、広島湾で養殖を開始。

洋の東西を問わず、タミナ自慢の男性、若さと美貌自慢の女性たちには、牡蠣は必須食品だ。

勿論、その自慢は他称・自称を問わないし、願望であってもいとわない。

ところで、東京都内で食べられる牡蠣の中では、志摩の“的矢牡蠣”が一番安心して美味しく食べられるのだが、私の思い出の中では、どうしても忘れられない牡蠣があるのだ。

それは、ヨーロッパでは最高の味と評されるブロン種ーーーでは無く、北海道はサロマ湖の天然牡蠣。

自然環境も厳しいだけに、殻も小さく、身は小指半分ほどの物だったが、その味の濃さや香りの豊かさは絶品だった。

厚岸や知床の牡蠣も美味しいが、サロマ湖の牡蠣は現地に暮らす人でもなかなか食べられないと言う。それだけに、一度きりの思い出の味は、憧れに近いものとなって、記憶にこびりついて離れないのかもしれない。

牡蠣を食べ、肌に張りと艶が戻り、ショボショボしていた目がハッキリ見えて・・・あぁ、思うだけでも嬉しくなっちゃう。

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