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2007年1月14日 (日)

津軽の女正月は「けの汁」

かつて、青森在勤中に、寒い日に心身とも温まれる「けの汁」と言う料理を教わった。

「けの汁」と言うのは“粥の汁”が訛ったものらしい。

“粥の汁”というくらいだから、粥状のものか・・・食べた感じはそうでもないが、一見は野菜粥に見えなくも無い。

津軽郷土料理「けの汁」2_17

簡単に言えば、具沢山の味噌汁と思えばいい。

  1. 大きめの鍋に、油少々で豆腐を崩しながら炒めて(炒り豆腐)、水を注ぎ入れ、煮え難い材料から順次刻んで入れていく。
  2. 大根(大1本)、人参(大1本)、牛蒡(細ければ2本・太ければ1本でも)を、細かく5ミリ角くらいに刻んで入れる。
  3. 蒟蒻(1枚)、油揚げ(2枚)も同じように細かい角切りに。
  4. 野菜が柔らかくなったら、蕗の水煮(7~8本)、ゼンマイの水煮(大きめ1袋)も5~7ミリ長さに切って入れる。
  5. 弱火にかけながら、合わせ味噌400g(保存のため多め)を溶き、高野豆腐(3枚)と焼いた昆布(5×20センチくらい)を、揉み砕いて入れる。

※好みでは、豆(大豆や金時豆)を入れてもいい。地域によっては呉(大豆を擂ったもの)を入れて煮込む家庭もある。Photo_232

基本的には、此処までが下拵え。

  • 食べる時は、同量程度の出汁(水でも)で薄め、好みの薬味(七味や柚子、擂り胡麻など)で食べる。
  • 保存は一回分くらいをチャック式密封袋に入れ、空気を抜いて冷凍室に。

昔は冷凍設備が無かったので、味噌を多くして保存性を高めたのだろうが、現代なら直ぐに冷凍し、レンジで戻して食べられる。

そこで、味噌の量は薄めることを考えず、最初から普通の味噌汁程度に減らしてもいいだろう。実際、薄味に煮た方が、素材の味が活きて美味しいようだ。

この「けの汁」は、作る時には、ひたすら刻む手間が掛かるが、毎日火を通して、数日は日持ちがするので、昔の嫁さんは暇を見つけては野菜を刻んで「けの汁」を作り、あとに時間を作ったのだ。

つまり、正月は来客や親戚の集まりで、本家の嫁ともなれば座る間も無く立ち働いたことだろう。

そして、やっと正月が一段落して、実家に里帰りしたくても、義父母や夫、小姑たちの食事が・・・。

そんな時のために「けの汁」を作り置けば、数日は手抜きが出来、留守も出来たらしい。

津軽の「けの汁」は、小正月(女正月)の料理と言われているが、嫁たちの苦肉のアイデァ料理だったかも知れない。

正月の忙しさ、慌しさも一段落して、実家に息抜きに行く・・・「けの汁」を用意してるから、留守中の食事はそれで間に合わせて・・・と、嫁が精一杯の気持ち。1

野菜がたっぷりで、栄養的にもいい上に、細かく“粥”状になっているから、高齢者にも幼児にも食べ易い。小分けに保存した「けの汁」は、餅を入れても変化が出るし、卵でとじた雑炊にすればもっと栄養が完璧になる。

見た目の美しさは無いけれど、優しさと暖かさを感じさせる「けの汁」。

“粥の汁”の訛りと言うが、“健(康)の汁”と言ってもいい、一品「けの汁」は手間をかけても、充分に元が取れる(暇も戻る)。

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