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2007年2月

2007年2月28日 (水)

“笠子”は頭に棘

Photo_184 “笠子(かさご)”は釣り魚として人気が高い。

体色は棲息する海によって異なり、沿岸ものは黒褐色、深海ものは赤色をしている。

写真・上が沿岸もの。

写真・下が深海もの。

どちらも美味しいが、時期的には沿岸ものが勧められる。淡白な白身で、寒い時期が身が締まってとくに美味しい。Photo_185

骨が固く、頭や鰭が大きめだが、小骨が少ないので身離れが良く食べ易い。

ただ、頭に棘があるので、知らずにいきなり素手 で掴むと怪我をすることがある。魚の棘や骨で怪我をすると想定外の痛みが・・・要注意だ。

メバル科の魚で、体長が20~30センチになる卵胎生魚だ。

北海道から南日本まで広く棲息し、カシラ、アラカブ、カラコなどの地方名で呼ばれることが多い。

丸ごと唐揚げ、塩焼き、煮付けにするのが一般的だが、ちり鍋や汁種にするのも好まれる。182

2007年2月27日 (火)

“菜の花”の蕾を食べる

Photo_186 ♪菜の花畑に入り日薄れ 見渡す山の端 霞深し~~~。

菜の花が平年より早く満開を迎えているようだ。

東京の私鉄駅などで、ホームの後ろや線路沿いに、菜の花をたくさん植えているところがあるが、菜の花に限らず、花が一杯の駅はラッシュ時の喧騒も和むようでいいものだ。

さて、花や蕾を食べる料理はけっこうあるが、春の色と香りが楽しめる菜の花もいろいろな料理に使われる。

花が咲き始めてきたものは綺麗に見えるが、食用には蕾が堅く、葉が黄ばんでいないものを選びたい。

店頭で、萎れて見えても、切り口がしっかりしてさえいれば、水に放しておくとシャキッとする。

茎の固い部分は除いて茹でたら、和え物、炒め物、汁物に使う。Dsc00477

汁の実にする時は、豆腐やハンペンが合う。紅白のアラレハンペンを使うと料亭風かも。

刻んでご飯に混ぜ込んでも春らしい。

天婦羅には生のままで・・・。塩漬けした“菜の花漬け”も風雅なものだ。

ブロッコリーなどもそうだが、蕾を食べる野菜は、野菜自体のもつ活力を食べることだ。

これから育ち咲くエネルギーが満ちている。

そんなミネラル豊富な菜の花、今年は平年より幾分は安めだそうだ。

菜の花と豚肉炒め芥子添え(2人分)196

  1. 茎の固い部分を除いた菜の花(1束)を、熱湯でサッと茹で、笊に上げて冷ます(水に取らなくてもいい)。
  2. 豚肉(80g、細切れでOK)は一口大に切る。
  3. フライパンに油少々を熱し、皮を剥いて千切りにした生姜(1/2片分)と、2を入れ、広げるように強火で炒める(あまりガシャガシャ掻き混ぜない)。
  4. 豚肉に火が通ったら、1を加え、塩一つまみを振り、ザッザッと大きく炒め合わせる。
  5. 菜の花が熱くなったら、酒(大1/2)を回し入れ、手早く全体を混ぜる。
  6. 器に盛ったら、溶き芥子を添える。

2007年2月26日 (月)

優美な“針魚”は腹黒い

Photo_187 “針魚(さより)”は早春の魚、その姿・形・色・・・そのまま春を思わせる爽やかさ、美しさ。

ほっそりして優美な姿、銀色に輝く体の背側は春の空色を映して青緑色。

長い下アゴの先端には、ちょっと紅を注して色っぽい。

まさに魚の美人だ。Dsc00683

が、美人だと油断してはいけない。

姿の優美さに似合わず、針魚の腹の中(内臓)は真っ黒。

しかも、美しい皮は思いのほかコワイ(硬い)ので、必ず剥いで使わなければいけない。

針魚は、立春後の暖かな気候に誘われ、海岸付近に寄ってくる。

産卵が4~5月なので、これから3月一杯が旬だ。

細魚、水針魚、竹魚、針嘴魚・・・などの字が当てられているが、鱵と書くこともある。

惣菜用としては、やや高級だが、淡白で上品な白身の味が好まれ、寿司種、糸造りの刺身、昆布締め、天婦羅、フライ、椀種に使う。 111

料理の修業を積んでくると、椀種に使う時に「さより結び」をするが、これが年季の見せ所で、“桃割れ”“島田”など、日本髪のような結び方で職人技を見せる。

近畿辺りではヤマキリ、茨城辺りではヨドorサイレンボウとも呼ぶそうだ。

体長は約30センチほどだが、これより大きくなると関東ではカンヌキと呼ぶことがある。

2007年2月25日 (日)

“芹”の香り

Photo_188 “芹(せり)”は、独特の香りと歯応えで、古くから愛好家が多い。

春の七草の一つとして知られ、『万葉集』などにも詠まれていることでも、古くから親しまれている野菜だということが分かる。

日本原産の野菜で、平安時代にはすでに栽培が始まっていた。

田の畦などに自生もしているが、近年の市場に見るのは施設栽培されたものだ。

香りが強いが、この香りの成分は精油で、これが食欲を刺激する。

自生の露地物はカロチンやビタミンB1・Cが期待できるが、施設栽培物にはあまり栄養素を期待しないほうがいい。

ただ、どちらも利尿効果があり、常食することで保湿効果があると言われる。

アクが強いので茹でたら水に取ったほうがいいだろう。

香りと歯触りを活かして、お浸し、和え物、汁の実に使う。鍋物の青味としてもいいものだ。

今日は、誰でも出来る和え物・・・手抜きのようだが、一番好きな芹の食べ方なのでご容赦を。

芹の胡麻和え(2~3人分) 205

  1. 芹(1束)は根を取り、洗って熱湯で茹で、冷水に取って冷まし、水気を絞り4~5センチ程度に切る。
  2. 出汁、醤油、味醂を各1:1:1の分量で混ぜ合わせる。
  3. 2の半量を下味として1を和え、10分ほどそのまま置いて、味が馴染んだら汁気を軽く絞る。
  4. 2の残る半量に切り胡麻(10g)を加えて3を和える。

2007年2月24日 (土)

「新酒粕」の季節だ

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3 2_13 関東の今日は一日中強い風が吹き荒れた。

花粉症の症状も、クシャミ・鼻水・涙・痒み・etcのフルキャスト、賑々しくパレード状態。

こんな夜は、体が温まる食事をして、早めに横になろう。

そう思って、酒粕を買って来た。

節分が終わると、日本酒の新酒がいっせいに売り出される。

と言う事は、新しい、柔らかな、香りのいい酒粕が出ていると言うことだ。

体の芯が温まる“粕汁”が美味しい。

新・粕汁(魚介の粕シチュー)(2人分)146

  1. 海老(ブラックタイガーなど・4尾)は殻と背ワタを取って置く。
  2. お湯(1カップ)を沸騰させ、1と帆立貝柱(4個)を茹でて取り出し、茹で汁は捨てない。
  3. カリフラワー(1/4個)は小房に分け、下茹でしておく。
  4. 新酒粕(大2くらい)を1の茹で汁少々で伸ばし、小麦粉(大1&1/2)を振り入れ、溶かし混ぜる。
  5. 1の茹で汁(2カップ)を煮立て、マッシュルーム(スライス缶詰・1/2缶)を缶汁ごと入れて、4を加える。
  6. 全体が滑らかにトロミが出てきたら、2と3を入れ、塩・胡椒で調味。
  7. 器に盛ったら、パセリの微塵切りを散らす。

※出来上がりの熱々にバターを乗せても美味しい。

普通の粕汁

  • 塩鮭でも、塩鰤でもいいが、ブツ切りして熱湯をかけ、汚れを流してから千切りにした野菜(大根、人参、里芋、牛蒡など)と、蒟蒻や油揚げなどを一緒にたっぷりの出汁で煮る。
  • 出汁で溶き伸ばした新酒粕(板粕なら微温湯と酒に浸して柔らかくして同様に)を入れて、味噌で調味する。
  • 煮込むほどに美味しさが出る。
  • 刻み葱、七味唐辛子などを薬味にするとなお旨い。

また、新酒粕は、伸ばして砂糖を加えると“甘酒”になる。

米と麹、原料は同じだが、酒粕で作った甘酒はちょっと大人用の味。

板粕だったら、薄っすらと焼き色が付く程度に香ばしく焼くのも旨い。ちょっとした大人のおやつだ。

その焼いた板粕に黒砂糖など乗せると、「お酒は飲めません」という人にも、「美味しいですね」と好評だった。

2007年2月23日 (金)

東風吹かば・“梅干”三昧

『東風(こち)吹かば 匂いおこせよ 梅の花

         あるじなきとて 春な忘れそ』  

032_2 菅原道真公が大宰府赴任(左遷だったが)の折に、長年大事に愛でた庭の手植えの梅たちに名残りを惜しんで詠んだという。

東風とは、春先に東から西方向に吹く風のこと。

これから赴く大宰府(福岡)からみれば、京の都は東方・・・庭の梅が咲けば、もしや風に乗って、その香が届くかも・・・。

一説によれば、香りどころか、梅の枝が大宰府にワープして根付いた、とまで言われている。

春先、立春から3月始め頃、冬に大陸から吹いていた季節風の勢力が弱まり、移動性高気圧と低気圧とが交互に日本を通過するようになると、東風が多くなる。

春本番の南風ほど暖かくはなく、雨を伴うことも多いが、それでも冬の風よりずっと柔らかく、春の訪れを感じさせるには充分だ。

中国・四国地方でいう「ひばりごち」もこの風だが、いかにも雲雀がさえずっているような長閑な空模様のこと。

同じ風でも、大阪地方では「高野ごち」と言って、生暖かい風が吹き、必ず雨になると言われている。

東風は「こちしけ」と怖れられる反面をもち、時化を呼ぶ風として漁師たちは警戒する。

122 春を呼ぶ東風と言っても、各地で受け止め方はいろいろあるようだ。

さて、梅の料理を・・・と思ったが、花を使う料理は知らない。

梅の花型に人参を切る(捻じ梅)ことは出来るが、これでは・・・ということで、梅干を使った簡単な三品を。

この三品に梅昆布の吸い物でも添えれば、「梅干しコース定食」になるかも。

❤ 1)砂肝の梅肉和え(2人分) 120 砂肝(150g)は、硬い部分を切り落とし、塩茹でする。

  1. 梅干(大2個)は、種を抜き、ボールの中で軽く潰す。
  2. 三つ葉(適宜)は1センチほどに切る。
  3. 2に1を入れ、全体を混ぜ合わせ、3を加えてサッと和える。

※梅干は、なるべく薄味のものがいいようだ。

❤  )春キャベツの梅肉サラダ(2人分)160

  1. キャベツ(2枚)は、芯部を取り、食べ易い大きさに切って、熱湯でサッと茹で、冷水に浸け水気を絞る。
  2. 種を取った梅干(2個)の果肉は細かく千切るり、味醂少々と混ぜておく。
  3. 1を2で和える。

※キャベツの芯は、薄切りにしてキンピラや汁の実に。またそのまま糠味噌に突っ込んでもいい。

❤ 梅紫蘇ご飯 169

  • 種を取った梅干の果肉を細かく千切る。
  • 青紫蘇は千切り(水に晒して固く絞って水気を取る)。
  • 温かいご飯に千切った梅干と、千切りの青紫蘇を混ぜる。

※簡単これだけ!。サッパリして美味しい。

しかも原価は・・・安い。美味しく安い、しかもお洒落!。

♪♪どこかで春が生まれてる。  どこかで芽の出る音がする。

山の三月、東風(こち)吹いて、どこかで春が生まれてる♪♪

春一番、東風、台湾坊主・・・春は強風の季節でもある。

2007年2月22日 (木)

世界中の憧れ【マキシム・ド・パリ】

フランス料理店の頂点として、世界中の憧れを集める【マキシム・ド・パリ】。

本店がパリに開店したのは、1890年代のこと。 097

店名にあるマキシムは、創設者のマキシム・ガイヤールによるものだ。

名物になっているアールヌーボー調の豪華な室内装飾は、1900年の“パリ博覧会”用に作られた。

(左の写真はパリと同仕様の銀座店内、人物を花で隠したのでお見苦しさは失礼)

その装飾が完成してから【マキシム・ド・パリ】は、パリの夜の社交界の中心となり、夜毎に華やかな饗宴が繰り広げられた。

芝居やパーティー帰りの紳士たちが、上等な酒と料理で、プール(メンドリと呼ばれた“遊び女”)たちを相手に、ダンスや大人の恋を楽しむ「夜の遊び場」となった。

小説家のマルセル・プルースト(『失われた時を求めて』の作家)や、プレーボーイで名を馳せたエドワード7世たちが常連だったという。

その頃の雰囲気がオペレッタ『メリーウィドウ(陽気な未亡人)』(フランツ・レハール作曲)や、映画『恋の手ほどき』(ビンセント・ミネリ監督、レスリーキャロン(私の大好きな女優)&モーリス・シュバリ主演)に描かれている。

そうして1900年から、第一次世界大戦(1914年)まで続いた“良き時代=ベル・エポック”のパリを、人々と共に【マキシム・ド・パリ】も謳歌してきた。

そんな【マキシム・ド・パリ】が方針を大転換、1931年には紳士だけでなく、淑女も迎える本格的レストランに変貌した。

名品と言われるワインと超一流の料理で、世界の有名人たちが挙って来店するようになった。

変貌した店は、多くの小説やシャンソン、映画に登場し、その名はいやが上にも有名になっていった。

【マキシム・ド・パリ】を扱った一例には、小説『凱旋門』(レマルク)や『007黄金の銃を持つ男』(フレミング)、映画『さよならをもう一度』(アナトール・リトバーク監督、イングリッド・バーグマン&アンソニー・パーキンス、イヴ・モンタン主演)などがある。

1981年に、経営はあのピエール・カルダンになり、ロワイヤル通りを入って直ぐの左側(コンコルド広場からマドレーヌ寺院に向かう)の店は、世界の名士が食事する頂点とまで言われた。

いまから41年前の1996年に、日本にも銀座の中心部、ソニービルの地下に姉妹店【マキシム・ド・パリ】がオープン。

当時日本でブームになっていたヌーベル・キュイジーヌ(手順を簡略にして、淡白な味を主にした新しい料理法)に対し、伝統的なコクのある本格フランス料理の店を目指した。

パリの本店と同じ店内設計・装飾で作られた【マキシム・ド・パリ】の食材は、大半がフランスから空輸されてくる。Photo_189 101

(左の写真は、何度か行った都度のメニュー(紛失もある)。当日の日付・料理とシェフのサインがある。

右の写真は私が主催したパーティーで(パーティールーム)、バイオリン演奏がシャンソンを奏で続ける。パーティーでなければ先の装飾壁の広間で個別テーブルになる)

私が【マキシム・ド・パリ】で初めてディナーを食べたのは、21年前の「開店20周年記念・スペシャルディナー」だ。Photo_190

その時のシェフはディディア・ガリエン氏。

あまりの素晴らしさに、それからは個人的にも、数度行った。

夫は勿論だが、人生の体験として娘・息子をそれぞれ大学卒業祝いに連れて行った。

その後間もなく、ダニエル・マルタン氏に代わったが、この数年は行く機会が無く、現在のシェフの名は知らない。

因みに、この記念ディナーは3日間だけで、サービス料金として提示したのは破格の¥30000だった(ワインは別料金)。

メインは、テーブル右中ほどの『フランス鴨マグレ シャンベルタンソース フォアグラ添え』。

この料理は天才シェフと言われたエスコフィエが、当時の名女優・サラ・ベルナールのために創作したものだという。

中央の皿は、『舌平目ムースリン オマールクリームソース』。

写真の料理は前以てメディア用に披露されたもので、当日の撮影は禁止(通常の食事も店内撮影は原則禁止)。

つまり、通常は食事に行っても写真は撮れない、ということでメディァ用の写真以外は滅多に公表されません(隠し撮りは?)。

当然ながら、当日は各人用のテーブルで、一品ずつ供された。

こうして全部並べて見ると、スゴイ品数で、かつ一皿のポーションも半端じゃないのだが、美味しさと雰囲気とで綺麗に食べられた。

2007年2月21日 (水)

グルメ取材って美味しい?

Dsc00449_1 私がブログを始めたのは、昨年の今日。一年が過ぎた。

多くの皆様の応援を頂きながら、楽しい日課として続けてこられたことに心から感謝。

いつも、コメントを下さる方たちには、お顔は存知上げなくても、その文面からお人柄や個性、生活まで窺えて、勝手に親しみすら抱いている。

そんな方たちに、お礼の気持ちを込めて日々のご健勝を祈り、長い交流を願っている。

さて、一年前にブログを始めたキッカケは、食に関して、料理の専門家・専門店を取材したノートや写真を何かの形に纏めたかったことだ。

目標はダンボール箱に幾つもある資料を整理して、統一した形にすること・どなたかに読んでいただくこと・・・だった。

この一年に取り上げた食材はかなりの数になるだろう。

休むことなく書いたから、365・・・食材そのものを扱わない日もあったから、それでも、ざっと300くらいの食材を取り上げたと思う。

料理の専門家や専門店の取材では、ほとんどが食事を伴う。

「いいなぁ、一流の店で、一流の料理人の料理。一回くらい代わりたい」と良く言われた。

たしかに、私のふだんの生活では、度々は行けないような店で、何度も食事をした。

しかし、食べることが=仕事なのだ。キツイことの方が多い。

食べる取材のことを書き出す前に、まず、本を作る作業・編集の流れを知ってほしい。

一般的に、本は当月の前月にはもう出版されている。

例えば、新年号は遅くても11月末には出さなければならない。

ということは、10月半ばにまとめ、11月初めには初稿、ゲラ(下刷り)の校正も少なくても2度は終えていなければならない。Dsc03670

原稿の文字校正と写真やイラストの色校正が終わって、それから印刷だ。

執筆者がゲラに目を通す場合は、戻しが決まった日に来ないと、総ての流れが狂う。

編集部独自の取材記事も、締め切り日は同じだから、新年号・つまり正月の記事を10月初めに書くのだ。

早い取材は9月中か、遅くて10月頭になる。まだ秋の気配すら薄い時Dsc03781_1_2期だ。

おせちを特別に用意してもらい、正月の設えをしてもらって、かつ衣装もそれように着て貰う。

取材は、店の客が居なくなる時間帯・・・pm2時~pm4時頃か、または厨房の手が空くpm9時~pm11時頃。

食べる取材だから、当然、私の食事はその時間になる。ふだんの食事時間との調整が難しい。

こんな食事も、都内なら数日に一回でいいのだが、地方取材ではそうはいかない。

限られた(経費の都合で日数が取れない)時間で、数店の取材・・・日に数食食べることになる。

一品料理や、和食はまだ何とか食べられるが、クリスマス用のディナー(フルコース)ともなれば、胃が悲鳴を上げる。

私の性分は『出されたものは残さず頂く』。

子供の頃に料亭を連れ歩いた父が「食べた後が綺麗になっている客は一目置かれる」と、いつも言っていたことが耳に残っている。

残暑の中、神戸・大阪・京都(三都物語の頃)を、一泊二日で7軒のクリスマス・ディナー(フランス料理5軒、イタリア料理2軒)の取材をしたことがある。

一日目は午後からで3軒、翌日は夜までに4軒。

どの店にも「お宅が最初の取材です」って顔で伺う。すでに何軒かでいろいろ食べて来たとはけっして悟られないようにするのも礼儀だと思うからだ。

時季が合わない材料を集め、丁寧に時季らしく考えて作ってくれたシェフの料理説明を聞いていると残すことなど出来ない。

和・洋・中華を問わず、料理人の説明をしっかり聞いて、美味しく頂き、ちゃんと味の表現をする。

丁寧に作られた料理は、丁寧に食べなければ。

私が綺麗に食べるからと、喜んで気に入ってくれて、編集長になってからも取材を指名してくる料理人もいたし・・・。

取材中は、気合いが入っているせいか、何食でも綺麗に美味しく食べられる。

が、そうして食べ過ぎて、ホテルや帰りの新幹線で、気を失うほど気持ち悪くなり、トイレに駆け込んだことも。

こんな大食ばかりしているかと思えば、締め切り前後に編集室に居る時は、締め切りの原稿やゲラなどが山積みになった机で、食事も摂れずにいることも・・・。

かと言って外に食べに行く時間は無く、別室に行くゆとりすら無い・・・何時間食べていないのだろう。

そして、徹夜・半徹夜が幾晩続いているのだろう。

空腹を感じる暇も無く、突然真夜中に空腹が過ぎて眩暈したりする締め切り間際。

結果、私の胃腸は壊れた(心臓も少し痛んだが)。

胃潰瘍と十二指腸潰瘍が各一回・・・これは、薬で宥め続け、いまでも明け方の吐き気は止まない。

S字結腸ポリープは手術で1ヶ月の入院、「夫が秘かに医師に呼ばれたから、“癌”かも知れない」そんな恐怖が続いた。

時間と闘い、病と闘い、いつしか心と闘う自分がいた。身も心もボロボロに壊れた。

結局は編集者を辞めたが、傍で見るほど“食べ歩き取材”は美味しい思いばかりでないのだ。

S字結腸ポリープは、一昨年に再発して再手術、3週間の入院と2カ月の通院になった。

ただ、いまに思えば、二度と行けないような日本の超一流店・有名老舗の料理を食べ、取材で親しくなった料理人に、いろいろと教わったことが、大きな宝になっている。

これからは、ブログの中で、そんな宝の幾つかをご紹介したいと思う(ただ、当時の写真をデジカメで撮り直しているので、お見苦しさはご容赦)。

ローストスペアリヴ(8本分)Dsc03672

そんな一つで、有名中華料理店のシェフに聞いた一品。

  1. 漬け汁<醤油・酒(各1/2カップ)、生姜絞り汁(大2)、甜麺醤(大2)、胡麻油(大1)、下ろしニンニク(1片分)>を作る。
  2. スペアリヴ(8本)を1に2時間ほど漬ける(時々上下を返し、ムラ無く)。
  3. 天板に金網を乗せて、網ごとオーブンを220℃に熱しておく。
  4. 2の汁気を切り、3の網に並べ、約30分焼く。途中で、2~3回、スペアリヴを漬け汁にくぐらせる。
  5. こんがり焼けたら皿に盛り、レモンやクレソンを添える。

※こっそり秘密。面倒な人は、漬け汁を市販の、焼肉のタレ(辛口)を使ってもいい。

今後も、皆様のご支援で、書き続けていけたらと思っている。

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2007年2月20日 (火)

オカヒジキの歯触り

オカヒジキは、本来は春から初夏が旬だが、気候が似ている秋にも出回る。

オカヒジキと浅利の芥子和え(2人分)593

  1. オカヒジキ(150g)はたっぷりの熱湯で、色よく、サッと茹でて、水に取り、水気を絞ってザク切り。醤油(あれば薄口)少々を振りかけて下味を付けておく。
  2. 浅利の剥き身(50g)を、薄い塩水で洗い、水気はキッチンペーパーなどでしっかり取る。
  3. 鍋に下味用の酒(大1)を煮立て、2の浅利を入れて、身がふくらむまで煮て、浅利を取り出し冷ます。
  4. ボウルに練り芥子少々を入れ、味醂(小1)と薄口醤油(大1)を加えて溶きのばす。
  5. 4に、3の浅利と1のオカヒジキを入れて和える。

Photo_192 アカザ科で、原産地はアジア。日本でも海岸の砂地などに自生していて、江戸時代にはすでに食べられていたと記述がある。

山形県では、かなり以前から栽培されていて、県の特産品になっている。

葉と茎を食用にするが、シャリッとした歯触りと、独特の風味が通人好みの野菜。

葉の形が海藻の“ヒジキ”に似ているから、この名が付いた。『陸鹿尾菜』と書いてオカヒジキと読む。

カロチンが豊富で、ビタミンやカルシウム、鉄分、カリウムなどのミネラル分が多い栄養価の高い野菜。食物繊維も多い。

和え物のほか、サラダや天婦羅に。

2007年2月19日 (月)

春は貝“浅蜊”でブイヤベース

Photo_191 春は貝の季節だ。

浅蜊は、いつでも食べられるように思われているが、初夏の繁殖期には中毒することもある。

浅海に棲息し、沢山獲れて、庶民的な値段で。

だから、太古から身近な貝として食べられてきた。とくに秋から春の浅蜊は中毒の心配も無く、美味しい。

剥き身の小鍋仕立ては、淡味に調味した出汁と葱、そこに剥き身を入れるーーー決して煮過ぎない、それがコツ。

『浅蜊は“の”の字で引き揚げる』と言われ、“の”と書くくらいのタイミングで、サッと回して引き上げるくらいで美味しい。

油揚げや葱、豆腐と剥き身を味噌味で煮て、丼のご飯にかける“深川丼”は江戸っ子の味だ。

茸と浅蜊をオリーブ油とニンニク、赤唐辛子で炒めたスープにスパゲッティーを合わせた“パスタ・ボンゴレ”は現代っ子の味。

そして、こんな料理は如何だろう。

カレー風味の和風ブイヤベース(ばら色婆ァバ風095

  1. 浅蜊(180g)を砂出ししておく。
  2. 鍋にサラダ油(大1)を熱し、玉葱(1/2個の微塵切り)とセロリ(25gの微塵切り)、ニンニク(小1片の微塵切り)、トマト(1/2個の皮と種を除いて刻む)を炒める。
  3. 2に、湯(300cc)と固形スープのもと(半個)、ロリエ(1枚)、カレー粉(小1)を加える。
  4. ジャガ芋(1個を1センチ厚さの輪切り)を3に加えて、煮立ったら中火に落として約5分煮る。
  5. 浅蜊を加え、白ワイン(大1)と塩・胡椒少々で調味してアクを取りながら約10分ほど煮る。

浅蜊は、吸い物、浅蜊飯、ヌタ、芥子味噌で食べるのも美味しい。

いずれにしても、新鮮な貝を選び、剥き身は特に新鮮なものを使おう。

2007年2月18日 (日)

グランクリュの「純生ロール」

_214_1 今日の午前中は、久しぶりの強い雨。

息子のところに孫の入学祝を届ける約束だったので、雨の中を出かけた。

どうせ、車で行くのだし、雨のほうが杉花粉の飛散もないだろう・・・と。

私の土産は、定番の【グランクリュ】の“純生ロール”と好みのケーキ。

多摩市落合にあるこの店は、頻繁にTVや雑誌が取り上げる。つまり有名店なのだ。_209

パティシェの石塚伸吾氏の初心、「緑豊かなこの多摩市で、大好きな菓子作りが出来ることに感謝いたします。私の、この気持ちをどうぞご賞味ください」と書かれたパネルが店内の片隅に置いてある。

いかにも誠実そうな氏の写真。

それと同じ顔のパティシェを、たまに工房奥に見かける。

この店の一番人気商品は、何と言っても“純生ロール”(¥840)_212_1だ。

無添加の自然素材だけのロールケーキは日持ちがしない。

あちこちの知人に送りたいと思っても賞味期日が当日限りなので出来ない。

それでも皆に食べて欲しい美味しさ・・・一度、飛行機で青森に行く時に、土産にしたが大騒動だった。

朝一で買いに行き、たっぷり保冷剤を入れて貰って、なお自分の保冷箱に入れ、直ぐリムジンバスで羽田に・・・。

通し時間3時間余、何とか美味しい状態で届けられて、集まった人たちに「あ~、あのよくTVに出るケーキね」と大喜びされた。1_5

食べてみないと分からない、ロールケーキの概念を覆す柔らかさ、シットリ、クリーミー・・・甘すぎず、さらりと品よく・・・。

販売をして3_2いる店頭は、そんなに広いスペースでは無い。 

ウッカリすると車を通り過ぎさせる。ただ、隣に立つ工房は大きい。駐車場もお洒落。

この3つの建物がいい感じに並んでいる。_207

_205_1_204_1 店内の入口傍のテーブルには焼き菓子、周囲の棚にはジャムやコンポート、奥のガラスケースに季節のケーキが、まるで宝石箱のように魅せるPhoto_263。 

ホールケーキでお奨めはその名も“グランクリュ”(¥1680)。コーティングしたチョコの濃厚な味がいい。

バースディや、アニバーサリーなどには相談次第で、パティシェが創作ケーキも作ってくれるそうだ。

季節によって限定のケーキが数種あるのも、時々楽しみに出かけられていい。Photo_264

私が大好きなのは“タルトタタン”(¥420)、リンゴがたっぷりで、甘さと香りがたまらなく贅沢感をくすぐる。

アップルパイもいいが、このケーキは自分では到底作り出せない味があるのだ。_206_1

子供たちが喜ぶのは、一時世間を騒がした《多摩ちゃん》がチョコンと乗った“ティラミス”(¥399)。

この多摩ちゃんと見るのは私の主観で、一説にはネズミという人もいる。

だが、子供たちにはネズミというより多摩ちゃんと言ったほうが納得され、喜ばれる。

どこから食べようかと、孫たちがキャーキャー言うのが愉快。Photo_265

昼は嫁さんが、「幼稚園の母の会で、《築地・田村》の三代目を招いて、料理を教わったから」と、その習ったばかりの料理を披露してくれた。

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2007年2月17日 (土)

短時季の「銀宝」は天婦羅!

Photo_193 「銀宝(ぎんぽ)」という魚をご存知だろうか。

初春のいっ時、桜の花が咲く前のほんの短時季の魚だ。

平たく細長く、一見ドジョウに似た魚で、別名を“カミソリ(剃刀)”とか“ナキリ(菜切り)”と言うのも、この姿形から。

黄褐色の地肌に褐色の斑紋があり、成魚の体長は18センチほど、大きな魚ではない。

背鰭は81本の棘状で、迂闊に握ろうものなら手指が切れる。

北日本の内湾に多く棲むニシキギンポ科の磯魚。

蛇行して泳ぎ、夜行性だ。

時季が本当に短いので、それを外すと「エッ、ウッソ~ォ。美味しくない」と言いたくなるほど味が無くなる。

しかも、たとえ時季でも、生きているうちに調理しないと、これまた不味~い。

なんとも厄介な魚だが、時季に生きたままで調理した「銀宝」は、通を唸らせるいい味だ。

主産地は、東京湾沿岸各地で、まさに“江戸前”。

こんなドジョウのような、アナゴのような魚を、時季に生きたまま調理・・・となれば、それこそ“江戸前天婦羅”をおいて考えられない。

確かに、いろいろ調理してみても、天婦羅に勝る調理法は無いようだ。

「銀宝」自体が、なかなか流通に乗らない上に、それを生きたまま天婦羅にするとなれば、これは一流の専門店に食べに行くしかない。

銀座の老舗天婦羅店【銀座天一】には、通人が「春が来たと実感出来る」という名物時季天婦羅「銀宝」がある(入荷次第だが、当たればラッキー)。Photo_194

味としては、ややモッチリ感がある白身で、キスのような歯触りか。

近年は外洋のものが入荷され、巷の天丼屋などで使われているが、鮮度保持はいいとしても、生きているものを捌いた天婦羅の味とは別格のものだ。

これが“銀宝”として、市場で評価されているのは少し遺憾に思う。

この魚は生きたまま食べて“ナンボ”のもの。活魚でなければ本物の味ではない。

キトキトの「銀宝」、待ちかねるファンが多い、初春の魚だ。

2007年2月16日 (金)

「独活」の香りは春の使者

089_2 山野に自生する独活(うど)が、一番香りが強く、味もいい。

地下の室(むろ)でモヤシのように育てる『東京ウド』は、アクが少なくエグミもないので食べ易いが、その分香りも弱い。

そこで、近年は、山野の自生独活と同じように、自然光に当て、ハウスで育てた『山独活』が人気になっている。

独活はウコギ科の多年草で日本原産と言われ、英名もudo.あの高麗人参と親戚筋で、当然ながら薬用効果もある。

漢字で『土当帰』とも書くくらいだ。邪気を除き、熱を取り、風邪予防にいいとか、手足の痺れを取り、痛風・リュウマチ・神経痛の痛みを軽減するとか言われる。

独活の名の由来は、風は強くないのに独りで動き活きているようだ=独活が一説。

またの説は運動の訛り=ウド、だそうだ。

独活には山独活のほか、白独活と呼ばれる物があり、いわばホワイトアスパラ・黄韮・白葱などと同じ様に、日光に当てず育てた物。

いまでは山独活も栽培物が多い。

新芽季の山独活は30~40センチくらいで可愛いものだが、夏ともなると2メートル余にもなり、こうなると葉も広がり茎は硬くなってとても食用にはならない。

硬いとは言ってもたかが茎では杖にもならず、せいぜいが小動物が身を隠すくらい。

役に立たないと《独活の大木=役立たず》なんて言葉が生まれたくらいだ。

山独活ほどの強い香りはないが、灰汁が少なく万人向きだと栽培されているのが白独活。

東京の特産野菜にもなっている。三鷹や立川あたりが有名だが、地下3~4メートルくらいの深さに横に掘った地下室で作られるが、モヤシ状態なので60~80センチにもなるが柔らかい。

山独活も白独活も食べ方に大差はないが、山独活なら灰汁抜きをする。

皮を剥いたら酢水に晒すと変色しない。

香りの風味と野趣を味わうには生が一番で、シンプルに醤油or味噌orマヨネーズなどでカリッとやりたい。

和え物・汁の実・煮物にするほか、粕漬けは酒肴にバッチGoo!!皮もキンピラにして旨い。

山独活は伸びて茎はもう食べられなくても、先っぽのまだ開き切っていない柔らかな葉を摘んで、天ぷらにすると美味しいらしい。

手足の痺れ、痛風、リュウマチにも効くという話もある。

今夜は、旬の山独活と、走りの鯛・・・出会い物の和風味。

独活と鯛の煮物(4人分)Photo_195

  1. 独活(1本)は、皮を剥き、5センチほどに切って水に晒し、水気を切ったら鍋に水から入れて沸騰したら笊に取り出す。
  2. 鍋に酒(1/2カップ)、醤油(大3)、砂糖と味醂(各大1)と水(1カップ)を入れて火にかけ、沸いてきたら水気を拭いた鯛(4切れ)と、薄切り生姜(1片分)を並べて入れる。
  3. 強めの中火で、再び煮立ってきたら1を加え、10~15分煮る。
  4. 器に盛り、あれば木の芽など添える(絹サヤか柚子でも)。

独活は思ったより多様に使える。

丸剥きして、熱湯に通して冷ましてから、味噌と味醂少々を混ぜた酒粕に漬け込んで1週間ほど置く・・・絶品の酒肴になる。

煮物に使うのもよし、マグロの切り身と葱・独活を一緒に鍋にする“葱マ鍋”もいい味だ。

天婦羅も美味しい。

剥いた独活の皮は捨てずに、キンピラにすればこれもいける(皮を剥く前にタワシでゴシゴシと表面の細かい毛を落とすといい)。

2007年2月15日 (木)

春を告げる「シロウオ」

よく混同している人が多いのだが、シロウオとシラウオはまるで違う魚だ。

シロウオのカレー風味フライ(4人分)Photo_196

  1. シロウオは牛乳に漬けてから、水気を拭き取る。
  2. 衣<強力粉(小5)+オニオンパウダー(小2)+ガーリックパウダー(小1)+カレー粉(小1/2)+カイエンヌペッパー(2つまみ)>を混ぜ、1に塗す。
  3. 180℃の揚げ油で2をカラリと揚げる。
  4. 器にレタスなどを敷き、3を盛り付ける。
  5. トマトケチャップ+マスタードを混ぜたものと、マヨネーズ、櫛切りレモンを添える。

※魚の臭み消しに牛乳を使うと、水とは違って油はねが無い。

さて、シロウオとシラウオの違いだが、シロウオはハゼ科で脂鰭が無く、腹鰭も左右が癒合してお猪口形になっている。

生きているうちでないと生臭みが出るので『踊り食い』が身上。

Photo_197 博多の室見川、陸奥湾の野内川などの“シロウオ踊り食い”は知られた名物だ。

因みに、シラウオはシラウオ科の硬骨魚で、鮭や鱒に近い類だ。

背に脂鰭があり、腹鰭は左右が離れている。

生きたままを『暴れ食い』することもあるが、薄味の汁にして卵とじするのが一般的。

2_14 昔、父が料亭遊びに私を連れ出していたころ、土地の有名料亭が主催する簗の“シラウオ踊り食い”にもお供した。

芸者さんが、黄色い声を上げながら、シラウオを啜るのを横目に、私は一体何杯のお代わりをしたのだろう。

胃が軽い痙攣を起こし、河原の桟敷で七転八倒したと・・・私は記憶に無いが、みんなが長年の笑い話にしていた。Photo_199

物心付いてからの遊び人で、子供ながら料亭の顔だった・・・街を歩いていると芸者さんが声をかけた・・・そんな私には、“踊り食い”の簗が少なくなった昨今が寂しい。

シロウオ(シラウオでもいいが)と豆腐との小鍋仕立てもオツなものだ。

天婦羅、握り寿司の種、『シラウオの筏干し』などは通人好み。

2007年2月14日 (水)

“納豆入りチョコケーキ”って?

花粉症が出た!・・・と思ったら、今日は《春一番》が吹いた。

春だ、本格的な冬を味わう間も無く、すっかり春になっちゃった。

そして、今日は思春期を過ぎた男性や女性にとっては、いろいろと悩み多い“バレンタインディー”だ。

バレンタインディー・・・編集者時代には、商業ベースに乗って、チョコレートをたくさん買い、執筆家や取材先オーナー、シェフたちに配り歩いた時代もあった。

夫や息子が、頂いたチョコレートの数を競ったこともある。

今年は、夫が退職して、去年までのように、女子社員たちから頂いたチョコレートを持ち帰ってくる・・・それを全部いただく私の楽しみも無くなった。

甘いもの(菓子、ケーキ、飴・・・etc)には一切手を付けない夫に、手作りのケーキなんて作っても無駄かと思ったが、ちょっと驚かせてやろうと、数年前に覚えたケーキを再現してみた。

皆さんもビックリなさるだろう【納豆入りチョコレートケーキ】。

エッ!、と思われるだろうが、最近、常磐自動車道・守谷サービスエリアで“チョコ納豆”というのが話題と人気を呼んでいる。

“麦チョコ”の納豆版だが、これって何だか病みつきになる味なのだ。

この人気の“チョコ納豆”が売り出されるより早く、ある納豆メーカーの取材で覚えたのが【納豆入りチョコレートケーキ】だった。

子供たちが家庭を持つ前のことだったから、早速作って「思ったよりニオイが無く美味しい」と。

今日、作ったものは、現在の我が家流で、使用する砂糖はノンカロリーのラカント、しかもかなり量を減らした。

ただし、ご紹介するのは、覚えたレシピ通りの分量なので、実際私たち(夫は、これも「甘い」と一口だけ)が食べたものより甘さが出て、ふつうのケーキ並みだと思う。

納豆入りのチョコレートケーキ(直径18センチ)053

エッ!、と思われたろうが、間違いなく“納豆”を入れるのだ。

  1. オーブンを180℃に設定、温めておく。
  2. チョコレートケーキ<バター(110g)と卵(2個)は室温に戻す。小麦粉(薄力粉・170g)とベーキングパウダー(小2)、ココア(60g)はふるっておく。>
  3. ケーキ型に合わせてクッキングシートを切り、底と側面に当てる。
  4. ボールに、バターと砂糖170gを入れてよく混ぜ、解きほぐした卵を少しずつ混ぜながら加える。
  5. 卵が全部混ざったら、牛乳(大4)を少しずつ加えて混ぜ、2を加えて、切るようにサックリ混ぜる。
  6. 刻んだ胡桃を混ぜ、3に流し込む。
  7. 型を1に入れ、40~45分焼く(竹串をさしてみて、何も付いてこなければOK)。
  8. 粗熱が取れたら、型から外し、網に乗せて冷ます。
  9. チョコレートクリーム=生クリーム(1カップ)を鍋に入れて煮立たせ、刻んだビターチョコレート(100g)を加えて火を止め、よく混ぜる。
  10. 鍋底を氷水に当てて、混ぜながら冷し、ちゃんと冷えてから納豆を加え混ぜる。
  11. 7を厚味を半分に横に切り、10を塗ってはさむ。
  12. 出来れば泡立てた生クリームや胡桃などでデコレートする。

※チョコレートクリームをしっかり冷さないで納豆を加えると、納豆のにおいが強くなり、食べ難いものになる。

納豆に熱を通さなければ、まさかと思える風味のケーキになる。

何事も「百聞は一見にしかず」・・・好奇心と時間のある方はお試しあれ。

2007年2月13日 (火)

“寒鰆”の酒蒸し

一昨日くらいから、ついに《花粉症》の症状が本格的に出てきた。

何たって“花粉症歴30数年のキャリア”だ。転勤で各地を回っている間に、杉ばかりかアカシアや唐松、檜と反応するものが増えた。

《花粉症》で春を知る・・・あまり嬉しくないことだけれど。春になったんだなぁ。Photo_200

“サワラ”は、魚偏に春と書くので、旬は春だと思い込んでいる人が多い。

しかし、瀬戸内海の辺りでは、桜鯛の漁が終わった梅雨入りの頃に鰆漁が本番になり、駿河や伊豆の辺りでは、秋の鰆が旨いと言われる。

東京でも、両国の辺りでは『盆鰆』といって、夏の川開きに付き物の魚だ。

つまりは、早い話、一年中いつでもそれなりに旨い魚だとも言える。

ただ、相模湾の辺りで獲れる“寒鰆”は、通年獲れるなかでも今頃のものが絶品だと評価される。

寒鰆の酒蒸し(4人分) Photo_201 鰆(4切れ)は水気を拭き取り、塩少々を振りかける。

  1. アルミホイルを20センチほどに切って4枚用意、軽く水で濡らしておく。
  2. 2の真ん中に1を一切れ乗せ、木の芽(柚子でもいい)を置く。
  3. 切り身の手前に、薄い輪切りの人参や適宜切った椎茸を並べ、酒少々を振りかけて、アルミホイルをなるべくフワリと閉じて包む。
  4. 湯気が立った蒸し器に、4を並べ、約15分ほど強火のまま蒸す。
  5. 5を銘々の皿に盛り、レモンを添え、好みで醤油を垂らして食べる。

※カロリーも低く美味しい一品だと思う。何となく料理上手に見えるかも(*^_^*)

蒸しものに限らず、寒鰆は身の締りがいいので、「魚すき」や「寄せ鍋」に絶好だ。

サバ科サワラ属に属すカツオの一族で、暖流に乗って動く暖流魚。

この一族の魚としては珍しいことに、紡錘形ではなく、平べったくて細長い。

しかも腹部が狭い形なので『狭腹(さはら)』と呼ばれたのが転訛して“さわら”になったと思われる。

鍋ものに使うほか、鮮度が良ければ刺身にもいい。

照り焼きにしたものは、冷めても他の魚のように硬くならず、行楽用や駅弁用の各種弁当に入れる魚として重宝されている。

2007年2月12日 (月)

“蕗の薹”の苦味が脂肪緩和

ほろ苦き 恋の味なり 蕗の薹  (久女)030

早春の味の代表格、蕗の薹。

雪融けを待ちかねて、土手や庭先に顔を出す蕗の蕾=蕗の薹。

萌黄色のふっくらした愛らしい姿が、春の到来を告げる。

その蕗の薹も、暖冬の影響で、例年より早く芽を出し、開くのもトウが立つのも早いそうだ。

摘みに行く予定のある方、お早目が良さそう。

蕗の薹は、特有のほろ苦さと、すがしい土の香りが身上で、昔から食用・薬用に摘まれてきた。

一般に、早春の野草はアク味が強く、苦味も香りも強烈だが、それは逞しい生命力の証し。

そのアク味や苦味こそが、冬場に蓄えられた体内の塩分や脂肪を和らげ、新しい活力を生み出す源になる。

蕗の薹は蕗の花の蕾で、通常に蕗と言われるのは葉茎だ。

食用には、蕾が開く前のものが美味しい。

刻んで、汁の実や蕗味噌に、丸のまま精進揚げや田楽にする。

私の住む周辺には、蕗の薹が芽を出しそうな場所は無いが、身近に蕗があるところに住んでいたら、探しに行くのも楽しいだろう。

そんなことを思っていたら、昨日の昼、食事に行った近所の天婦羅屋で、蕗の薹が丸のまま揚げられて出た。130

貴重な、一個・・・ほろ苦味が、やけに旨味に感じられた。

また、蕗の薹の幾つかを、烏賊や他の野菜などと共に細かく切って“掻き揚げ”にすれば、少しの蕗の薹も、ボリューム感のある天婦羅になる。

薬用には、干して煎じて飲むと、咳止め効果があるという。

蕗はキク科の多年草で、日本特産野菜だ。

種子がタンポポのように飛び散るので、「吹雪=ふぶき~フキ」になったという説があるが、諸説あって決定は無い。

花言葉は『公平な判断』。

2007年2月11日 (日)

新酒で「雪見酒」は熱々“餡かけ”

027 旅の通人は「寒い季節には、寒いところへ行け」という。

私なんかは、寒い季節には南国に、暑くなったら北国に・・・と安直に思ってしまうが、それではその土地の本当の良さが分からないのだそうだ。

雪深い温泉で、炬燵に入り、窓の外にシンシンと降り積む雪を眺めながらの熱燗・・・肴はといえば、小さな土鍋に地鶏や茸などが・・・。土地のものを素朴に味付けしたお通し。

ひなびた風情で趣があるだろう。

積もったばかりの真っ白な雪をコップに入れて酒を注いだ“雪割り酒”・・・オツなものだろうが、最近の雪は新雪でもコワイ。これは止めておいた方がいいだろう。

とはいえ、今冬は雪国にも雪が無い・・・こんな冬は異常過ぎる。3_1

「トンネルを抜けたら、其処は雪国~」であって欲しい。

温泉に入り、新酒で「雪見酒」といきたいのに・・・。

春は日本酒の新酒解禁日。

ということは、いま新酒が出揃った、日本酒愛飲家たちが待ちかねた季節なのだ。2_13 出来立ての日本酒は絞りたてが、味も香りもフレッシュ、冷して早めに飲みたいところ。

雪国には、日本酒の銘酒が多い。温泉と絞りたての地酒・新酒で「雪見酒」。

気持ちはすっかり、川端康成『雪国』の世界に旅をしている。

雪の郷を思わせる“海老と大根の餡かけ” (4人分)044

  1. 煮汁を用意=水(1&1/2カップ)と塩(小1/2)、酒(大1)。
  2. 大根(15センチ)は皮を剥き、1センチ厚さのイチョウ切りにして、水から茹で、軟らかくなったら笊にあける。
  3. 1に薄切り生姜4~5枚と、2を入れ、さらに殻を剥いた茹で海老(1パック分)を加えて、5~6分煮る。
  4. 深めの器に汁以外の3を盛り付ける。
  5. 残った煮汁は、火にかけなおし、刻んだ大根葉少々を入れ、水溶き片栗粉(片栗粉・水、各小2)でトロミを付ける。
  6. さらに、溶き卵(1個分)を流し入れ、蓋をしてサッと煮て火を止める。
  7. 4の上に、6をトロリとかける。熱々のうちに食べたい。

いかにも温まりそうな惣菜で、ベランダの窓越しに、都会の夜にちらつく雪を見ながら、新酒一杯・・・。

「雪見酒 狭き我が家の 差し向かい」・・・稚拙な句など捻ってみるのも、また楽しいんだろうけれど。

大雪は要らないが、たまには「雪の降る街よ~」とか「雪は降る~」も冬らしいじゃないの。

「雪やコンコン~」って、なんだか開き直りの感じかな?。

2007年2月10日 (土)

虎落笛が鳴る夜は“けんちん汁”

今年の冬は異常なくらいの暖冬で、《札幌雪祭り》も散々だったようだし、《氷像祭り》《カマクラ祭り》《雪だるま祭り》など、各地で雪が無いため中止になる祭りの被害もあるようだ。

Photo_203 津軽・五所川原地方の《地吹雪体験ツアー》は、息も出来ない目も開けられない猛吹雪がウリなのに、雪も風も無いのではどうしようもない。

北国がそんなだもの、東京ばかりか、空っ風で知られる北関東でも、戸外に♪ヒュウゥーと寒々しい風音が響いたことが殆どなかった。

こんな暖冬では「暖かな、いいお日和で・・・」なんて、呑気な挨拶をしている場合ではない。

各地の観光・それに伴う商業・交通・・・野菜や魚の旬も狂っている。

動物の発情期にも影響が懸念され、すべてのサイクルが危うくなりそうなのだ。

冬には、冬らしい寒さ・風・雪や氷・・・自然なのだ。必要なのだ。

このまま春になったら、暑い春に反して寒い夏・・・豪雨・洪水・飢饉。

ただ、まだ期待はしている。急に冷え込んで風が強くなる夜もあるだろう。035_1

“虎落(もがり)笛”・・・楽器としての笛の種類ではない。

冬、風のはげしい時に、竹垣や柵などにあたって通り過ぎる風が♪ヒュウゥ~!と鳴るのが、いかにも笛の音に聞こえることからそう言われる。

そんな冬の風が吹く夜が一晩くらいはあって欲しい。

虎落(もがり)とは、中国奥地で「虎を追い払い、寄せ付けないための竹を連ねた柵」のこと。

それが、何時の間にか、戦さの時などに竹を筋交いに組み合わせ、縄で結んで堅固に作った柵・矢来もこう呼ぶようになった。

さらには、枝が付いたままの竹を並べ物干し用に作ったもの、高所に設けた紺屋(こうや=藍染屋)の干し場・・・そんなものも虎落(もがり)と呼んだ。

現在では、竹垣や柵に拘らず、冬の強い風が電線にぶつかって♪ヒュウゥ~と鳴る場合も“虎落笛”。

障子の破れ目を隙間風が通って♪ヒュウゥ~と鳴る場合も“虎落笛”。

♪ヒュウゥ~と、いかにも寒そうな風の音は全部“虎落笛”と呼ばれている。

もの悲し なにを語るか もがり笛 (今 一空)

虎落笛が鳴らなくたって、夜はあったか「けんちん汁」 045

  1. 大根(5センチ)、人参(小1本)は、皮を剥いて7~8ミリ厚さのイチョウ切り。
  2. 蒟蒻(1/2枚)はスプーンで一口大に千切る。油揚げ(1枚)は細切り。
  3. 豆腐(1丁)は適宜一口大に切る。
  4. 葱(1本)は2センチ長さ、シメジは石付きを取って小房に分ける。
  5. 大きめの鍋に油を熱し、1と2を強火で炒める。
  6. 油が馴染んだら、出汁(5カップ)と塩(小1)を入れ、沸騰したら3を入れて蓋をして、中火で具が軟らかくなるまで煮る。
  7. 4を加えてひと煮、醤油で調味する。
  8. 好みの味に出来たら、水溶き片栗粉(水・片栗粉、各大1)を回し入れてトロミを付ける。
  9. 食べる時には盛った椀に、万能葱の微塵切りや摩り下ろした生姜、柚子、七味などを好みで乗せると味がUP。

立春は過ぎたが、二月は本来風の季節・・・東風(こち)、台湾坊主、春一番・・・。

「春は名のみの風の寒さよ」・・・そんな早春がいい。

2007年2月 9日 (金)

「青柳」と呼んで欲しい“馬鹿貝”

“青柳”は貝柱も舌(脚)も美味しく、人気がある貝だ。

近頃、やや少なくなった『江戸前』資源の一つ。

外洋と内湾の潮が交わる千葉県・富津岬の辺りが主産地だ。

近くに青柳という地名があることからも、ここが昔からの産地だったと思われる。

“青柳”というのは関東での通称で、本名は「馬鹿貝」。

エッ、ウソ~!。馬鹿貝が本名だなんて・・・と思われる方が多いだろうが、ホント。

馬鹿貝は、いつも口(殻)を開けて赤い舌(脚)をダラ~ンと出して、いかにも口許が締まらなく見えるので、其の名が付いた。Photo_204

というのは俗説で、実は潮の干満や砂地の変化に敏感で、すぐに棲息場所を移動するから“場替え貝”と言われ、それが転訛してバカ貝になった説が有力。

また、殻が脆く壊れ易いので“破壊貝”が転訛したという説もある。

馬珂貝とも書くが、店頭では、通称の“青柳”で売られている。

青柳の舌(脚)は、仄かな甘味があり、サッパリとした味と歯応えで刺身や寿司種にすることが多い。

この脚は赤っぽいのが雌、白っぽいのが雄というが、味は同じだ。

サッと霜降りにしてヌタにしても美味。酢の物にもいける。

豆腐と小鍋に仕立てるのも美味しい。

青柳には貝柱が2個あり、大きい方は「大星」、小さい方は「小星」と呼ばれ、どちらも珍重される。

生で美味しいのは勿論だが、椀種や混ぜ込み飯にも美味しい。

ただし、火の通し加減が難しく、火を通しすぎると硬くなり味を損ねる。

人気なのは掻き揚げで、天婦羅職人としては「アラレ(青柳の貝柱)の掻き揚げ」が上手に揚げられて一人前だそうだ。

アラレ(小柱)の柚子胡椒炒めPhoto_205

柚子胡椒は、最近では殆どのスーパーで手に入る、独特の香りと刺激が人気のスパイスだ。

  1. 石突きを落としたシメジ(1/2パック)を一本ずつに分け、小柱(250g)とともにサッと茹でて水気を切っておく。
  2. 中華鍋に鶏がらスープ(固形や顆粒なら溶かしたもの・大3)と塩少々、砂糖(小1/2)、紹興酒(小1/2)、酒(小1)を煮立て、柚子胡椒(小1)を加え、1を入れて混ぜる。
  3. 水溶き片栗粉で薄いトロミをつけ、柚子の皮の細切りとサラダ油少々を加えて軽く混ぜ合わせる。
  4. 器に盛ったら、彩りを添えるが、キウイなどがサッパリして合うようだ。

缶詰のサクランボが残っていたので添えたが、コレは無くてOK。

2007年2月 7日 (水)

「鰊」よ戻れ

Photo_206 鰊(にしん)が獲れなくなったと言われて久しい。

かつては、網元だった父の魚場(小樽では無いが)でも、鰊は捌ききれないほど獲れた。

のっこみの鰊で海が銀色の光を放っていた。

港では、トラックから溢れた鰊が、ウミネコも猫も見向きもせず、タイヤに踏み潰されてスリップ事故を起こすほどだった。

運び込まれた鰊を、まだ小学校に上がったばかりの私まで動員されて、開いて干した。

  • 中骨を取って、尾の部分だけ切り離さず、ロープに掛ける(身欠き)。
  • 三枚に下ろして、塩のキツイ糠に漬ける(糠漬け)。
  • 塩を塗して樽に重ねる(塩漬け)。
  • 刻んで麹と塩で漬ける(切り込み)。

腕まで銀色に染まるかと思われた。思い出すのもイヤな日々が、なんだか懐かしくさえなって・・・。

食べても食べきれないほどの“鰊”は何時の間にか食卓に上がらなくなり、気が付けば「幻」と言われる魚になっていた。

思えば、烏賊もハタハタも、鯖や鰯もみんなそうだった。

ただし、世界的に見れば、鰊の漁獲量は減ってはいないのだ。

鰊のメッカといわれた北海道周辺での漁獲が減少しただけ・・・。

鰊の群れは、それぞれにグループを成し、決まった場所に現れるのだが、グループ間に交渉が無いので、あるグループが減少・激減しても、その場所に他のグループが集まってくることは無い。

ニシン科に属す大洋魚で、体長は約35センチ、漁期は早春(はしり)から春(中期)、晩春(後期)にかかる。

Dsc02546_1 中で脂肪が乗って美味しくなるのは“はしり”の時季・・・つまり、いま。

塩焼き、味噌焼き、フライなどが美味しいが、鮮度のいいものはマリネもいい。

北海道では、ご飯と重ね押しに漬けて《鰊の飯寿司》を作るが、これがなかなかの佳味。

上の写真・枡の中の左が鰊の飯寿司(右は鮭)。

小樽には身欠き鰊の味噌漬けで《群来(くき)》という美味があるが、いかにも昔の名残を偲ばせる銘だと思う。

生の鰊は子持ちなら塩焼きが一番。

卵が未熟だったり、白子のものは、味噌焼きや生姜煮が一般的だが、フライや三枚下ろしでマリネもいい。

正月に数の子は食べても、生鰊は小骨も多く敬遠する向きがあるようだが、神経質になるほど硬い骨ではないし、気になるなら抜きやすいから、脂の乗った割りに淡白な味を食して欲しい。

年中と言っていいほど、身欠き鰊は手に入る。少し炙って味噌を付けて食べるのはシンプルながら酒に合う。

煮るなら、米の研ぎ汁に(有れば少しの灰汁を加え)一日浸して戻した方が柔らかく旨くなる。

昆布巻きや煮付け・・・よく煮込んで、饂飩や蕎麦の上に乗せ熱い汁をかければ、関西名物《鰊蕎麦or鰊饂飩》・・・硬干しより半生に近い“ソフト”というのは焼いて大根おろし、バターソテー、唐揚げにするが、蒲焼風にすると生よりクセが無く万人好みかも。

身欠きに加工したものは、米の研ぎ汁に一昼夜ほど漬けて柔らかくして、昆布巻きや煮物にする。Photo_207

急いで煮物にしたい時は中国茶(ウーロン茶でもプアール茶でも)で一度煮るといい。

昆布巻き、煮付け、蒲焼・・・いずれも、独特のクセを消すには生姜を使うといい。

半生の丸干しも美味しいものだ。

丸干しの鰊は、生や身欠きとは違う、くせの無い旨味がある。Photo_208

この生干しを三枚下ろしにして、煮付けても美味しい。

が、このまま焼いて、レモンと大根おろしをたっぷり添えて、熱々で食べるのが一番美味しいようだ。

鰊の卵、数の子は珍重され、塩付けは正月の“おせち”に欠かせない素材だ。

2007年2月 6日 (火)

風邪には「卵酒」か“チーズスープ”か

あまりの暖冬で、気温変化への油断から、かえって風邪引きが多くなっているそうだ。

うっかり薄着で一日中過ごしたり、そのまま外に出たりするのだろう。

ブルッときて、クシャンとなったら・・・まず“風邪薬”かな?。それとも・・・。

風邪の民間薬としては、各地・各家庭にいろいろな方法が伝承されている。033_1

葱の味噌汁、葱の黒焼き、ミカンの丸焼き、レモン酒・・・際限ないくらいたくさんある。

中で、なんと言っても圧倒的に奨める人が多いのは“卵酒”。

『本朝食鑑』でも「精を益し、気を盛んにして脾胃を整える」と、滋養強壮の薬効を説いている。

酒は「百薬の長」とも言われるように、元々は薬だった。

卵も、いまと違って貴重な栄養源だったから、それらを混ぜて飲むこと自体が、かなり“気”から治った(病は気から・・・)のではないだろうか。

江戸時代後期の『料理物語』には、砂糖ではなく「塩を少々入れる」と書いてあるが、当時の砂糖は高価で手に入りにくかったのだ。

卵酒の作り方は、家庭によって少しずつ違う。

  • (その1) 酒だけを煮立て、砂糖を入れたら火を止める。1分ほど置いて卵黄を入れ、良く攪拌する。
  • (その2) 卵黄に砂糖を混ぜ、湯煎にかけて混ぜ溶かし、酒を少しずつ加えて入れ伸ばしていく。

他にもあるだろうが、それは好みでいいだろう。

分量としては酒200ccに卵黄1個、砂糖は小匙2杯くらいから大匙3杯くらいまで、甘さ加減は好き好き。

全卵を使ってもいいのだが、白身はダマになり易い。

攪拌するには、割り箸を5~6本束にして、手早く混ぜると失敗が少ない。

ところで、下戸の風邪引きには“卵酒”よりお奨め、甘さが苦手な呑ん兵衛にも甘い“卵酒”より効くかも知れないスープは如何?。

ばら色婆ァバ“チーズスープ” (4人分)047

  1. ブールマニエ(クリームシューのルゥ)を作る。小麦粉(大2)とバターを同量(厳密でなくてもOK)用意。常温で軟らかくしたバターをクリーム状に練り、小麦粉を加えてバターと馴染むまで混ぜておく。
  2. チェダーチーズ80gを摩り下ろす。
  3. 鍋に湯(3&1/2カップ)を入れ、固形チキンスープ1個を崩し入れる。
  4. 牛乳(1/4カップ)を3に加え、煮立たせないように弱火で温め、1を千切るように少しずつ加えて良く混ぜ合わせる。
  5. なべの中が充分に馴染んだら、2を少しずつ振り入れ、溶けたら塩・胡椒で調味。
  6. 器に注いだら、好みでクラッカーの砕いたものやクルトンを浮かべてもいい。

3のスープは鶏がらで取ったものを使うと更に美味しい。

いろいろ面倒なことはイヤ、という方は市販のクリームトシチューの素をブールマニエの代わりに使ってもOK。

また、1のブールマニエは多めに作って、アルミホイルにキッチリ包み冷凍しておくと、ホワイトソースなどのルウに使える。使う時は凍ったまま適宜切って・・・。

花粉が飛び始めたというが、“花粉症”には早いようで、ちょっと体調を崩したか風邪っぽく、この歳になって扁桃腺が腫れて微熱。

チーズスープを飲んで早めに寝よう。

2007年2月 5日 (月)

オイルサーデンでパスタを!

『鰯の頭も信心から』という諺がある。

つまらない物でも、それを信じる人には大事なのだ、ということらしい。

昔は節分の夜、門口に魔除けに“豆ガラに鰯の頭を刺したもの(処によってはヒイラギも)”を掛けた家を見かけたものだ。Photo_209

鰯の主流は、ニシン目ニシン科のマイワシ(写真・上)だが、かつて大衆魚=下魚とまで言われた鰯が、最近では漁獲量の減少で高級魚になりつつある。

577_1

ほかに一般的なのはウルメイワシ(写真・下)、カタクチイワシなど。

鰯の語源には、幾通りもの説がある。

※陸揚げすると直ぐに弱る=弱い魚=弱し(よわし)の訛化説。

※稚魚が他の魚の餌になる=小さくて弱い=弱し(よわし)の訛化説。

※身分が低い(卑しい)人が食べた=卑しい魚=卑し(いやし)の訛化説。

いろいろあるが、漢字は前者の説から出来ている。

平安時代、身分が高い人は食べないと言われた“鰯”を日常的に食べて、夫との諍いが絶えず、結局“鰯”が原因で離婚したのが、かの紫式部

江戸時代に質素倹約を奨励・実践して、玄米一椀+糠みそ+目刺し一本の生活をしたのは、なんと春日の局

卑しいといわれようと、鰯は美味しくて栄養のある魚。

DHE・APEなどの講釈が無くても、昔から知的な女性は鰯を食べていたのだ。

痛みやすい魚だから、目刺しやつみれ、蒲鉾に加工されることが多いが、鮮度のいいマイワシは刺身が美味しい。

『イワシコ、七へん洗えば、鯛の味』と言われ、人によっては鯛より美味だとも言う。

塩焼き、フライ、酢の物や酢締め、煮付けもいい。

ウルメイワシの丸干しなどもなかなかの味だ。

カタクチイワシをアンチョビやオイルサーデンに加工する量も増えた。

オイルサーデンの和風パスタ(4人分)067

  1. 鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩(30gほど)を入れて、スパゲッティー(480g)を、袋に表示された時間を目安に茹でる。
  2. その間に浅葱or万能葱(1束)を小口切り。
  3. 茹で時間の1分ほど前に、スパゲッティーを抓んでみて、少し芯が残っている程度でOK。
  4. フライパンにオリーブ油(大1)と、ニンニク微塵切り(小1)、赤唐辛子(1本の種を抜いて半分に折る)を入れて、弱火で香りが出るまで炒める。
  5. オイルサーデン(1缶)の汁気を切って加え、炒め合わせる。
  6. スパゲッティーを入れ、醤油少々を回しかけ、2の半量を加えて、炒めながら混ぜ合わせる。
  7. 6を皿に盛り分け、残りの浅葱を振りかけ、好みで七味唐辛子をかけて食べる。

※スパゲッティーは茹で加減がポイン、固めのアルデンテで。

節分の鰯料理も、こんなパスタなら、若い人たちにも喜ばれる。

2007年2月 4日 (日)

豆は《魔滅(まめ)》

029_1 昨日はあちらこちらで「福は内、鬼は外」の声が聞かれた(実際には、TVでの「各地寺社の豆撒き」取材だが)。

津軽の一地域では、昔、鬼に村を救って貰ったという伝説があり、以来「福は内、鬼も内」と豆撒きをするそうだ。

私の場合は「福はうち、豆もうち」で、撒くより食べる。

この豆撒き、または豆打ちと呼ばれる立春前夜の行事は、元は、散米(さんまい)、うちまきと名づけられた神事儀礼から変形したもの。

儀式が民間に伝播していくうちに、節分祭の豆撒き行事として完成されたと思われる。

日本民族にとっては、米や豆はとりわけ重要な作物=二千年来の“民族食”で、和食の土台・根幹だ。

とくに大豆は「畑の牛肉」とも称され、健康食材として世界中に注目されている。

古代人は豆に《魔滅》《霊芽(まめ)》の文字を当て、魔滅=病魔退散&霊芽=生命力強化の祈りを込めた。

日本で最古の医学書『医心方』(平安中期)には、「鬼毒を治し、病みを止め、むくみをおさめ、胃弱や食中毒を除き、五臓を軽くする」と、大豆の素晴らしさを絶賛している。

除災招福を願う、追儺(ついな)鬼追いの儀式と、散米(さんまい)の神事とがミックスして生まれた“節分祭”。

昨夜は豆撒きのあと、年齢分の豆を食べたろうか。

年齢分の数のまめを食べると「無病息災=まめ」に長生き・・・と言われるが、この年齢になると、硬い大豆をそんなに食べたら、かえって病気になりそうだ。

と言うことで、豆撒き用の“打ち豆”は、炒り豆にしないでおこう。

豆乳味噌汁(4人分)046

  • ジャガ芋(1個)は5ミリ厚さ程度にイチョウ切り、玉葱(1/4個)は1.5センチくらいの角切り。
  • ブロッコリー(約50g)は小房に分け、下茹でしておく。
  • 鍋に出汁(1&1/2カップ)と、ジャガ芋・玉葱を入れ軟らかく煮る。
  • 軟らかくなったらブロッコリーを加え、火を弱めて味噌(大4)を溶かし、豆乳(1&1/2カップ)を入れて煮立つ前に火を止める。

※豆乳は茹でた大豆をミキサーにかけ、布かシノワで濾して作ってもいいが、無調整の豆乳を買った方が手軽。

200ccの豆乳には、およそ150粒の大豆が使われているそうだ。

これで、年齢分の豆どころか、もっとたくさんの豆が摂れる。

2007年2月 3日 (土)

節分は「大晦日」?で豆料理

034 昔は、立春の設定は正月を意識してされたという。

つまり、立春は元旦と通じ合うものだった。

だからいまでも、元旦の挨拶に「新春」とか「迎春」の慶語が使われる。

と言う事は、立春前夜=節分は、大晦日と通じていると言える訳で、いまでも、豆撒きを大晦日に行う神社や仏閣がある。

大晦日に豆を撒くのも、節分に豆を撒くのも、いずれも「災いを払って春を迎える」と言う行事だ。

旧暦は中国から伝わった暦だけに、日本の気候と合わずに生じる“ズレ”がある。

そのズレを調整するために設けられたのが、24節気・72候。

節分とは、その節の分かれ目で、立春、立夏、立秋、立冬の前日は、いずれも“節分”なのだ。

その中で、立春前日の“節分”だけが、いまに伝えられるのも、それが大晦日的要素が強いからに他ならない。

長い冬が終わって、春に移る・・・そんな時期の期待と希望は、立春後に正月を迎えた旧暦時代と変わらず、喜ばしい行事として《節分祭》として受け継がれている。

節分の食と言えば、「恵方巻き」、「鰯」そして「豆」。

恵方巻きは、極めて新しいことで、関西が発祥だと言われるが、いまや全国区になった感がある。

今年の恵方は“北北西”だそうだが、太く巻いた海苔巻きを願い事を念じながら、無言で一息に食べる。

わが夫は、甘いものは例え太巻きの干瓢、椎茸、卵でも食べない。

そこで、七福神にあやかって、海鮮七種(鮪、海老(生甘海老と茹で車海老)、サーモン、イクラ、胡瓜、青紫蘇)の太巻きを作った。Photo_210

昼に食べたので、ついうっかり写真を撮り忘れた。

昔からのことは、鰯と豆。

そこで夜は鰯、青紫蘇と梅肉を挟んだフライに。

そして、豆・・・節分の大豆は明日使うとして、今夜は金時豆を使った、新しい味の煮豆。

ばら色婆ァバ風チリコンカーン(4人分)

豆は浸した水ごと煮る。フツフツと煮立ってきたら、適量の水を足す。049

  1. 弱火で煮て、豆を抓んで指で潰せるほど軟らかくなったら笊にあける。
  2. 玉葱(1/2個)を粗微塵切りして、鍋にサラダ油少々を入れ中火で炒める。
  3. 4がしんなりしてきたら、合挽き肉(100g)を加え、炒め合わせる。
  4. 肉の色が変わったら、小麦粉(大1)を振り入れ、さらに炒めて、ホロッとしたところで火を止める。
  5. 6に、3の豆とトマトジュース(小1缶)、ウスターソース(大1)、チリペッパー(無ければ一味唐辛子)少々、塩(小1/2)、ローリエ1枚を加えて、再び中火にかける。
  6. 煮立ってきたら直ぐに弱火にして、20~30分煮込む。

これで出来上がりだが、辛いのが好きな人はタバスコを振って食べると刺激的。

2007年2月 2日 (金)

時季の「公魚」は揚げるのが一番

公魚(わかさぎ)は、かつてはその体色や模様が、湿地や沼地に棲むアマサギという夏鳥に似ているというので、アマサギと呼ばれ、徳川時代には将軍家の御用魚だった。

そこから公の字が当てられ、公魚と呼ばれるようになった。

揚げ公魚のレモン風味(4人分)Photo_211

  1. 公魚(12尾)は醤油に漬けて味を馴染ませる。
  2. 200℃の揚げ油で、1を表面がパリパリになるまで揚げて油を切る。
  3. 合わせ調味料<醤油(大1)+砂糖(大1&1/2)+酢(大1)+レモン汁適宜>をサッと煮立て火から下ろし、生姜とニンニク(各1片)の千切りと赤唐辛子(1本)を加える。
  4. 揚げたての2を3に漬け、冷めたら皿に盛り、レモン輪切り(半個分)と香菜を添える。

公魚(わかさぎ)には、宍道湖産のような降海型と純淡水型の二種類ある。Photo_212

本来はどちらも海産魚で、鮎や鮭のように淡水で生まれて海に下って育ち、また産卵のために川を遡る魚だった。

それが、いつしか淡水に慣れきり、海に下ることを忘れて湖水に棲み付いてしまったものだ(モノグサな魚)。

冬の風物詩として、凍った湖面に穴を開け、釣り糸を垂れる情景“公魚釣り”がイメージにあるが、本当に美味しいのは氷が緩み出す2~3月。

淡白な身だが、特有の匂いがあるので、揚げ物にした方が美味しい。

天婦羅もいいが、唐揚げにして辛味の利いた南蛮漬けにすると匂いが気にならず好評だ。

少し大きめの公魚なら、木の芽味噌を付けて焼くのも美味しい。

2007年2月 1日 (木)

「イイダコ」も小さな悪魔なの?

春の声を聞くと“イイダコ”が店頭に見られる日が多くなる。

イイダコの煮物Dsc03694_1

  • イイダコは塩で軽く揉むようにして、水洗いする。
  • イイダコを出汁・醤油・酒で煮て、火が通ったら取り出し、その煮汁で下茹でした野菜を煮る。
  • 野菜に味が付いたら、イイダコを戻し、全体にサッと煮る。Dsc03692

日本人は蛸が好き。

放映中のNHK朝ドラマ『芋たこなんきん』で分かるように、特に女性の好物として、江戸時代から挙げられている。

そんな蛸も、西欧ではデビル(悪魔)扱いだ。

同じ軟体動物でも、烏賊以上に嫌われていて、食用なんてとんでもない国が多い。

「蛸の八っさん」などといわれて、日本ではユーモラスな道化師扱いだが、処変われば・・・である。

ただ、軟体動物の中Dsc03694では、蛸や烏賊は高等な方だという。

頭足類とい われるように、頭から足が生えているように見えるが、頭だと思っている部分は実は胴体なのだ。2_15

だから、此処には卵も詰まっている。

今からが旬の“イイダコ”は、マダコが全長60センチ~になるのに、僅か20センチ前後にしかならない小振りな蛸だ。

そんなに小さくたって、しっかり大人なのだから、メスの胴中(アタマと呼ばれる部位)には米粒のような卵がギッシリ詰まっている。 この卵の粒々感が“イイダコ”の命。

イイダコは飯蛸と書くのも卵の粒々がご飯のようだということからだ。

別名、子持ち蛸、石蛸、一口蛸などとも言うが、やはりイイダコ=飯蛸が一番特徴を現しているようだ。

丸ごと醤油で煮る、ゆでた里芋や大根と焚き合わせる。

飯蛸の ひとかたまりや 皿の蓋 (夏目 漱石)

酒肴には持ってこいで、愛好家は多い。

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