“蝦蛄=ガサエビ”
蝦蛄は、英名では蟷螂海老(カマキリエビ)というが、奥羽地方ではガサエビという。
確かに、餌を捉える手は、ノコギリのようにギザがあり、カマキリの手にも似ているが、夜の海底をガザゴソと捕餌に動き回る姿は、そのままガサエビだ。
ゴールデンウィークが花見に当たる青森では、先月17日に紹介した“トゲクリガ二”とこの“ガサエビ”が宴席のメインになる。
写真は昨年、青森・駅前の新鮮市場で撮ったもの。
どちらの名前も、それなりに体形や生態を表している。
形は少しはエビに似ている、ザリガニにも似ている?。
そりゃぁそうだ、口脚目に属す甲殻類だからエビやカニと親戚筋に当たる。
それなのに、お世辞にも容姿端麗と言われることが無い。それどころか「気味悪~い」「怖~い」と、不当な扱いを受けている。
茹でて殻を剥かれて、寿司種にされていると、結構人気があるのに、生だと「これが蝦蛄~ッ、いやだぁ」なんて、そりゃ無いよ。カワイソウ。
体長は15~20センチ、沿岸の浅瀬の泥砂に棲息、夜行性で、主に小魚、小海老、貝類などを捕食するが、手当たり次第に何でも餌にする悪食家だ。
ただ、悪食は旨いの通りで、味はいい。五月の産卵前のメスは、首から尾にかけての腹側にオレンジ色の卵が一本バ~ンと入っている。
この固い棒状の卵は“カツブシ”と呼ばれ、コリコリした歯応えと特有の甘味で珍重される。
蝦蛄は痛みが早いので、ほとんどはボイルされ、殻を剥いた状態で店頭に出る。
山葵醤油で食べたり、酢の物にしたり、煮浸しも美味しい。
今日のは、残念ながらカツブシ(卵)は抱えていなかったが、身は仄かな甘さがあった。
天婦羅にも使うし、イタリア風のドレッシングで食べたり、パスタに使うのもお奨めだ。
ただ、本当にお奨めは『具足煮』で、殻付きのまま醤油で甘辛く煮たものは、魯山人も好物だったそうだ。
シンプルな塩茹でや、小振りのものは丸ごと味噌汁もいい。
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