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初鰹で和風カルパッチョ

目に青葉、山不如帰、初鰹』(元禄時代の俳人、山口素堂の句)・・・生の鰹が美味しい季節になった。Photo_111

早いものでは3月末頃から店頭に並んでいたが、この時期の生鰹を“初鰹”だと思っている人もいるようだ、が、それはブーッ!。

厳密には、旧暦の四月朔日(1日)、つまり今日から一週間以内に、関東沖で獲れたものだけを“初鰹”と呼ぶのだ。

そして、この“初鰹”は江戸時代には、とてつもない高級魚だった。

「女房を質においても---」と、江戸っ子たちは目の色を変えてもてはやしたが、その値段はベラボウで、『俎板に、小判一枚、初鰹』(其角)、『初鰹、銭と芥子で、二度泪(なみだ)』・・・小判一枚なら米が約450kg、いい着物が1枚や2枚は買えたという。

「初鰹を食わなきゃ男がすたる」って言う見栄っ張り亭主は、やっと買った鰹を『井戸端で、見せびらかして、刺身をし』と長屋中に見せ付ける。

「そんな金が有るくらいなら」って女房はムッとする。『その値では、袷が、新しくできる』と小言も、一度では治まらない。

初鰹、女房に、小一年いわれ』となるのだ。

初鰹の一週間を我慢すれば、『初鰹、俄かに安く、なる魚』と、一気に安値になるのだが・・・人より早く食べたい江戸っ子の性はしょうがなく、川柳だけで一冊本が出来そうだ。

怒り心頭で『意地づくで、女房鰹をなめもせず』の、女房の仏頂面に、『その面で、芥子を掻けと亭主言い』なんて古川柳がたくさんある。

怒りに任せて掻く芥子は良く効いた・・・初鰹の刺身には芥子だったのだ。

それにしても、江戸っ子が異常なまでに初鰹に狂喜したのには訳がある。

北大路魯山人はその著『料理天国』の《いなせな初鰹》に、「冬から春にかけて、シビ鮪に飽き果てた江戸人、酒の肴に不向きな鮪で辛抱してきてであろう江戸人、肉のいたみやすいメジ鮪に飽き果てた江戸人・・・が、眼に生新な青葉を見て爽快となり、何がなと望むところへ、サッと外題を取り換え、いなせな縞の衣を付けた軽快な味の持ち主、初鰹君が打って出たからたまらない。何はおいても、となったのではなかろうか」と書いている。

当時の江戸前は、冬から春先は魚不足で、刺身大好きな江戸っ子は、たいして美味しいと言えないシビマグロやメジマグロで我慢している。

そんな我慢にも飽きた頃、藍縞の衣装で身を包んだ、シャキっと粋でイナセな姿で颯爽と登場するのが“初鰹”。

待ってました~!!、旨い刺身で旨い酒。

まして頃は新緑の風薫る季節。バッチグーッのタイミングだ。

池波正太郎の『梅安料理ごよみ』の《鰹の刺身と鰹飯》には「「梅安さん、まず刺身にしようね?」「むろんだ」「それから夜になって、こいつ(鰹)の肩の肉を掻き取り、細かにして、鰹飯にしよう」「それはいいなぁ。よく湯がいて、よく冷まして、布巾に包んで、丁寧に揉み解さなくてはいけない」「分かってるとも」「薬味は葱だ」「飯にかける汁は濃目がいいね」」と書いてあり、高価な鰹、美味しい鰹を刺身にしたあとの、粗や骨から梳いた身も無駄なく使ったことが分かる。

Photo_160 この鰹飯は、炊き込みではなく、粗や骨から梳いた身を、丁寧に解してご飯に乗せ、濃い目の出汁醤油で、葱を薬味にお茶漬け風に食べたのではないだろうか。

(写真は、粗ではないが、鰹身の漬け丼)

鰹はサバ科の回遊魚で、常に黒潮の水温が20℃くらいの深海上層部を群游している。

だから鹿児島では初春、四国沖で春、関東近海は初夏、三陸は夏・・・その頃が海岸近くに接近しているわけだ。

そして、北海道南方辺りからは、遠い沖合いの中層を南下し始め、再び南の海に向かって群游していく(戻り鰹)。

つまり、土佐沖では、まだ脂が乗っていないから、鰹節にはピッタリ・・・薬味たっぷりのタタキで食べると美味しいのもその訳だ。

それが、関東沖だと脂が乗って、鰹節には向かないが、刺身ならこんな旨い魚は無いとなる。

鰹の和風カルパッチョ2_7

  • 大葉と新玉葱の薄切りを皿に敷き、鰹の刺身を並べて、万能葱の小口切り、茗荷千切り、ニンニク薄切りなどを散らす。
  • オリーブ油に醤油と酢を加え、芥子を溶いて回しかける。

※鰹や野菜を切るだけ(刺身に切った鰹ならもっと簡単)で豪華に見える。

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コメント

こんばんは^^。
初鰹って旬の時期の獲れたてカツオかと思ってましたが
期限は一週間の貴重なお魚だったんですね。
鰹飯、薬味がたっぷりでおいしそうですね^^。
地元近くの伊勢神宮の辺りでは「てこね寿司」という
カツオを漬けにしたものを酢飯にのせるお料理が昔から有名です。
新鮮なカツオはお刺身もトロ~っとしておいしいですし
生節なんかもそのままでも、ダシとして使っても
本当においしいですよね。食べたくなってきました~(>_<)
残念ながらこちらでは新鮮なものは少ないです。

それから新茶の保存方法ありがとうございました!
封を切ったモノは冷凍庫から出して早めに飲みきるようにします。

投稿 あんのしん | 2007年5月17日 (木) 21時35分

あんのしん様
鰹の「てこね寿司」、漁師料理ですね。
それを真似て、少し漬けた身を酢飯に乗せた丼にしてみました。

鰹は、脂の乗った腹身の片方は刺身・片方は照り焼きで食べ、背身の片方は漬け丼で食べ、もう片方は蒸してなまり節に・・・粗から削いだ身は鰹飯、丸ごとでも残すところがないですね。

ただ、高いから丸ごと買えませんが・・・。

投稿 ば~ば | 2007年5月17日 (木) 21時47分

我が家は主人がカツオがすきなのですが、
私はやっぱりマグロ派ですね。
でも、この時期スーパーでよく出てるので
ついかってしまいます。
私は薬味が大好きなので、
食べてるようなものです。
でも、みょうがものせたら、おいしそうですね。

投稿 koo | 2007年5月18日 (金) 07時54分

薬味パーティーなカルパッチョですね☆
パプリカまで・・・!
kooさんの「薬味を食べるために食べる料理」って言うのも頷けます。
これほど薬味がなんでもコイ!なものってなかなかない・・・!?
(少なくとも庶民がスーパーで手に入れられるものでは、かしら・・・)
ば~ばさんに先日17日からが初鰹と聞いて以来、
ずっと17日を待っていました。
早く買いに行きたいな・・・ってやっぱり我が家のエンゲル係数上がったらば~ばさんの・・・(笑)。
川柳の数々も楽しく拝見させて頂きました(^ー^)

投稿 ダブチ | 2007年5月18日 (金) 08時11分

今日はまるでイキのいい講談を聞いているみたいで
ばーば様、のってましたねー^^

江戸っ子の心意気が乗り移ったようですね!

ほんとにカツオって、どうしようもなくおりこうさん
なサカナですねー。

投稿 なぎさ | 2007年5月18日 (金) 10時21分

koo様
どんな薬味でも合う魚って、鰹を置いてはそうはありませんね。
よく言えば、適合性が・・・悪く言えば八方美人?。

薬味のいろいろをたっぷり使って、オリーブ油ならイタリアンに、胡麻油や豆板醤なら中華風に、唐辛子とナンプラーでエスニックにも。

投稿 ば~ば | 2007年5月18日 (金) 10時51分

初鰹ってホントにホントに希少で通しか知らない食べ物なんですね!
いやぁ、昨日から一週間以内に関東沖で捕れた鰹が初鰹だということを、初めて聞きました。
う~ん、一度食べてみた~い。思わず唸ってしまいました。
先日友人から「鰹ってたたきにするのは、寄生虫を落とすためなんだよ」と聞いたのです。逆に言えば、寄生虫が宿るほど超美味しいものなんですねぇ、鰹。
今日お魚屋さん覗いてみようかなぁ・・・(*^。^*)

投稿 みえり | 2007年5月18日 (金) 11時12分

ダブチ様
エンゲル係数・・・自慢じゃないけれど(ほかに自慢できるものが無いから、エンゲル係数の高さくらい自慢しちゃおうかな)我が家はスゴイですよ。

でも、その代わり、子育て中から今でも、家族は健康=医療費が低いです。

投稿 ば~ば | 2007年5月18日 (金) 11時12分

みえり様
生の刺身用は、幾らでも出ていますが、正統《初鰹》を名乗れるのは少し。
でも、この時季、獲れた海域や日にちを無視して、多くが《初鰹》を名乗っています。

ま、美味しければいいとしましょ。

投稿 ば~ば | 2007年5月18日 (金) 11時17分

なぎさ様
逸話や、川柳・俳句など、取り上げたい事柄がいっぱいあると燃えちゃいます。

テンション高すぎました~ぁ?。

でも、たまには面白いでしょ。

投稿 ば~ば | 2007年5月18日 (金) 11時24分

カツオ・・美味しいですよね~
マグロ家も先日、のっけ盛で食べました~

昔は、戻りより、初鰹の方が価値があったんですね~
今は逆ですが・・・

ぽちっと!

投稿 マグロ君 | 2007年5月18日 (金) 11時32分

鰹はたくさん港の揚がった日と少ない日で値段が雲泥の差、時々中くらいのが1000~1500円前後の超お買い得!、、、でも最近は家族が少なくなったので一本買うこともなかなか出来なくなりました。
やはりタタキにお刺身、カルパチオ、三重のてこね寿司もおいしいね。アラ焼の炊き込みご飯も棄てたものじゃない。
初鰹、、最近は一年中売ってるね。やはり季節感って大切ですね。
野菜もそうだけど、、、

投稿 ナベショー | 2007年5月18日 (金) 12時07分

マグロ君様
たった一週間の《正統・初鰹》に、一喜一憂。
年に一度の大盤振る舞いは、見栄っ張りな江戸っ子らしいでしょう。

でも、ちょっと外して、安くて美味しい鰹を、何度も存分に食べたいですねぇ。

投稿 ばら色婆ァバ | 2007年5月18日 (金) 12時59分

ナベショー様
一週間の間に、関東沖で獲れたものだけが《本物・初鰹》。
そうなると、なんと偽称・詐称が多いことかと思いますね。

でも、これは鰹だけの問題じゃないんです。

ま、美味しきゃいいんだから、“初”なんて付けなくてもいいのに。

投稿 ばら色婆ァバ | 2007年5月18日 (金) 13時04分

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