山菜「ミズ」のくせになる味
また、親友J子さんが旅先・十和田から旬の味覚を届けてくれた。
山菜の“ミズ”、しかも美味しい赤ミズだ。
ミズ(ミズナとも言う)は、深山渓谷の沢の両側に密集して生えている山菜だ。
ウワバミ(大きな蛇)の出そうな奥深い渓谷に生えるから、“ウワバミソウ”と言われる。
5月下旬から6月が、柔らかくていいと言うが、秋田・青森では6月から7月上旬が美味しい。
特に西日本の“ヒメウワバミソウ”に比べて、北日本の“ウワバミソウ=ミズ”は大型で柔らかく、品質的に数段いい。
高くて深い山で、沢沿いの水が滴り落ちる崖下、ジメジメして日の当たらない場所。
そんな所が好適地だ。
とくに、北日本の茎根元が赤く太い赤ミズは、粘りが強く柔らかで、一番好まれている。
この赤ミズに、“ヤマトキホユリ(別名・青ミズ)”が良く似ていて、混生しているので紛らわしい。
区別は、赤ミズは初夏に淡黄色の花を付け、茎が赤っぽいが、青ミズは夏から秋に淡緑色の花を付ける。
ミズは、横に地下茎を伸ばし、其処から地上に50cmほどの茎を出す多年草だ。
葉は食べずに、地上に出た茎を食用にする。
瑞々しいから“水=ミズ”と呼ばれるだけに、シャキシャキとした歯触りで、噛むと粘りを感じる独特の食感。
この食感を生かして、山菜なのに《ナメロウ》や《タタキ》が好まれる。
薄皮を剥き、サッと湯通して、鮮やかなグリーンになったところを冷水に取る。
保存はこのまま密閉容器に入れ、水を換えながら数日保たせる。
後は、水気を切って油炒め、煮物、お浸し、和え物、潰してトロロ風・・・などにするが、ミズの風味がくせになって、夏の北東北を訪ねる人も多いと聞く。
9月過ぎると、茎の葉の付け根に、赤黒い小さなムカゴのようなコブ状の実が付く。
これは現地では“ミズのコブ”と呼ばれ、サッと茹でて塩昆布で和えたり、汁の実にしたり、また油炒めやお浸しなどに使われる珍味だそうだ。
- 炒める場合は生から炒めるのがいいが、保存中のものでも美味しくできる。
- 調味は、醤油でも塩・胡椒でも好みで。
- サッと茹でたミズ(500g)をビニール袋に入れ、擂粉木などで潰す。
- さらに、俎板に移して、味噌(大2~3)を加えて、包丁で混ぜながら切っていく。
- 山椒の葉(2~3枚)を刻んで混ぜる。
※最近では、都会の八百屋(スーパーではなく)でも、たまにミズを仕入れている店がある。
もし、ミズを見かけたら、ぜひ一度その味を確かめてほしい。
《ば~ばの食べ物事典》を作りました。ご参考になれば幸甚。
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