土用には“鱸(すずき)”
釣りあげし 鱸(すずき)の巨口 玉や吐く 蕪村
とくに土用の鱸は珍重される。
(写真は図鑑より)
鱸の釣りは豪快そのもので、大きくて鋭いエラ蓋を膨らませて、左右に体を大揺すりしながら逃げようとするそうだ。
水面で身を揺する様を、釣り人は“鱸のエラ洗い”という。
鱸は味もいいが、姿も風格があり、夏を代表する魚と言われる。
『比喩尽(ひゆづくし)』に「鱸は夏魚なり、殊に土用に食えば灸の代わりすといへり」とある。
「土用の鱸は画に描いて嘗(な)めても薬になる」の諺まであるのだ。
北海道から沖縄まで、広く内湾や沿岸の浅瀬に棲息している。
大きな口で、細い鱗、剃刀のような鋭いエラ、背部は鉛色だが腹部は真っ白。
成長によって習性も棲息場所も、名前も変わる“出世魚”だ。
一般的には、生後間もない5センチくらいのは“フッコ”または“ヒカリゴ”、1歳で10センチくらいのは“コッパ”か“デキ”、2歳で25センチくらいになると“セイゴ”または“セエゴ”。
35センチくらいのも“フッコ”と呼ばれるが、それから4歳で“スズキ”になる。
スズキだと50センチ以上だが、さらに老大魚で1メートルを超えるものは“ハラブト(腹太)”とか“オオタロオ”になる。
セイゴやフッコの時期には川に入ることもあるが、鱸になってからは川には入らない。
東京湾のいわゆる江戸前ものが有名だが、浜名湖や宍道湖などの汽水界で獲れるのも味がいいと言われる。
スズキの名は、『日本釈名』には「その身白くて、“すすぎ”たるように清げなる魚なり~」と。
また、『大言海』には「真直ぐ直進して泳ぐから、進く進くの意、“進き”になる」とあり、どちらもその名の由来である。
『本朝食鑑』では「黒い色を盧(ろ)という、この魚は白き生地に黒い章が付いているので、魚偏に盧と書いて“鱸”となった」と、漢字の由来がある。
名の由来にもあるように、身はすすぎ洗いしたように真っ白で、身質は鯛に似ている。
柔らかく淡白、クセがなくあっさり味で、新鮮なら、刺し身、洗い、昆布締め、膾、寿司種がいい。
冷水で締めた洗いを、梅肉醤油で食べるのは“通”の食べ方といわれる。
銀盤に 露ちるあらひ 鱸かな 笠堂
一般には切り身で売られているので、ムニエル、塩焼き、奉書焼き、煮付けなどにする。
椀種としても珍重される。
秋口になり、“落ち鱸”と呼ばれる頃のものは、塩焼きにスダチかレモンの汁をかけて食べるのが一番。
プロバンス風・・・なんていうとカッコいいが、つまりはトマトなどの野菜を沢山使ったもの。
- スズキ(2切れ)は、キッチンペーパーで水気を拭き取り、塩・胡椒を振っておく。
- 玉葱(1/2個)、ピーマン(1個)、セロリ(1/2本)は総て1cm角切りにして、セロリの葉は細かく刻む。
- 完熟トマト(1個)は、皮を湯剥きして、1cm強角くらいにザク切りする。
- 鍋にローリエ(1枚)と水(2カップ)を入れて沸騰させ、2を加えて一煮、1を並べ入れて中火で煮る。
- 4がフツフツしてきたら、3を加え、バジル(生でも乾燥でも)を適量入れて、蓋をして10分煮る。
- 魚に火が通っているのを確認したら、塩・胡椒で調味して、ヘラなどで魚の身を崩さないようすくい上げて、皿に移す。
- 鍋の野菜と汁をたっぷりかける。
※鱸じゃなくても、鱈や平目、鰈などの白身魚に応用できる。
《ば~ばの食べ物事典》を作りました。ご参考になれば幸甚。





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