“茄子(なす)”で豪華?料理
『親の意見とナスビの花は、千に一つの無駄も無い』と言われる茄子。
英語では“エッグ・プラント”という。
つまり“卵菜”たしかに卵のような形だ。
最近では、白色や黄色、緑色などの表皮の茄子も出ているが、一般的には紫色、いわゆる“茄子紺”と言われる表皮に馴染み深い。
もっとも、紫色と言うのも、野菜の色としては珍しいのだが・・・。
茄子の原産地はインドだが、日本にはかなり古い時代に、中国経由で入ってきた。
しかも、その調理法は外国の影響を受けず、日本的に確立されて発展。
茄子は無機質もビタミン類も期待される栄養素は少ない。が、特有の風味が日本人の嗜好に合ったようだ。
大きな特徴は、加熱するとアクが甘味に変わること。
煮茄子、焼き茄子、汁の実・・・さらに、油との相性がいいので、炒め物や天婦羅、揚げ浸しなど多彩に使える。
茄子のシギ焼き風
本来のシギ焼きは、茄子を繰り抜きシギの肉を詰めて、壷焼き風に焼いたもの。
渡り鳥のシギは捕獲出来なくなり、シギ肉を詰めずに焼くようになって名前だけが残った。
- 二つ割りにした茄子に串を刺し、切り口に胡麻油を刷いて、焦がさないように焙り焼き、切り口に練り味噌を塗ってサッと焼き、粉山椒を振って食べる。ちょっとした小料理店の一品のようだ。
- 上の練り味噌にシシトウ微塵切りを加えると、さらに旨い肴になる。
- 中をくりぬいた茄子に、鶏の挽肉を詰めて壷焼きにした“シギ焼き風”はご馳走。
- 細切りした茄子に味噌少々を塗り、紫蘇で巻いて焼く。
お奨めは茄子カ焼き(茄子の貝焼き)
- 茄子は皮を剥き、削ぎ切りにして水に浸けておく。
- 鮭缶(帆立缶でも)を汁ごと小鍋にあけ、水を少し足して醤油で調味。
- 煮えてきたら、茄子を少しづつ入れ、煮ながら食べる。
貝を小鍋に使ったので、貝焼き・・・が、訛って“カ焼き”になったと思われるが、思いっきり汗が出て、食べた後が爽快。暑い日こそ暑気払いにどうぞ。
今日は、夫の誕生日。
甘いものには一切興味が無い夫に、ケーキ代わりに、好物の茄子を使って一見豪華な一品を。
- 洗ってヘタを取った茄子(6個)は、縦に5mm厚さに切って、180℃の油で揚げる。
- フライパンにバター(大2)を溶かし、中火で玉葱(1/4個)の薄切りと、ニンニク(1片)の微塵切りを炒める。
- 玉葱が透き通ったら、牛挽肉(100g)を加え、火が通ったら缶詰のミートソース(200g入り1缶)を加え混ぜる。
径20cmくらいの耐熱容器の内側に、薄くバターを塗りつけ、底に1の茄子を敷き詰め、周囲にも縁に被せるように茄子を並べる。
- 4に、3を入れて、平に均し、容器の縁からはみ出している茄子を、中心に向けて一枚ずつ折りこむように被せていく。
- 中心の少し空いた箇所に、溶けるチーズ(50g)を乗せ、250℃に熱して置いたオーブンで6分ほど焼く。
- 浅葱の小口切りを少し用意し、焼き上がりに散らせて、卓上で切り分ける。
まるで“茄子のケーキ”のようだ。(Happy Birthday to mylover)
南フランス風にラタトゥーュ、ギリシャ風にムサカ、イタリア風にトマトソースグラタン・・・と、工夫して、これからますます美味しくなる茄子を、家族で(嫁・姑関係なく)食べよう。
平安中期の宮中法令集『延喜式』にも、すでに茄子の漬物が記されている。
塩漬け、糠漬け、味噌漬け、芥子漬け、柴漬け・・・色よく漬けるには、水溶きの焼き明礬で色止めを。
普通の茄子や小茄子も美味しいが、漬物には水茄子が絶品だ。
《ば~ばの食べ物事典》を作りました。ご参考になれば幸甚。
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