ホヤの味噌漬け
先日、青森の老舗料亭【O屋】の女将が、今年は《ネブタ祭り》に行けなかった私達を気にかけ、陸奥湾の帆立を箱に一杯送ってくれた。
その中に、帆立養殖の副産物(帆立の筏にくっ付いて育つ)とも言える、ホヤもたくさん入っていた。
剥いていないホヤを見たことがある方、これは「根が生えているからイソギンチャク?コリッとした身の質感は貝?それとも・・・」と、首をかしげたのでは?。
形にしても《海のパイナップル》はいいとして、《しもやけに爛れた拳》なんて表現されると食べる気が失せる。
ランプの火屋に似ているからホヤと言う説が一般的。
分類上では原索動物尾索綱海鞘目に属すので海鞘(ホヤ)と書く識者もいるが・・・。
日本各地の海で漁れるが、好んで食用にするのは宮城県から北への三陸海岸一帯と青森県・北海道東部の人たち。
というのも、この海域のホヤが肉厚・良質で抜きん出て旨いからだ。
ヨーロッパでもマルセイユあたりの海鮮レストランでは見かけることがある。
割り裂いた皮から身を引き出し、牡蠣のようにレモン汁を絞りかけ、大胆にスルッと口にッ滑り込ませる。
ホヤには牡蠣の2倍ものグリコーゲンがあるそうで、その上エキス分の大半はアミノ酸。
ということは、疲労回復・体力UP・・・これを酒肴に呑むと二日酔い防止の効果もあるらしい。
ただ、栄養的には良いことずくめのだが、好きな人には填まるほど旨いと思うホヤも、嫌いとなれば食べた人まで許せないとなる。
さわやかな磯の風味が強く個性的な匂いが、熱愛し虜になる人と、顔を背ける人との両極端に分ける。
硬い外套(皮)の上部に包丁を刺し、切り口に指を突っ込んで身を引き出す。
鮮やかなやや赤みを帯びた黄色のプックリ厚みのあるのがいい。
一般的には、水物、酢の物で食べるが、干物や味噌漬け、塩辛にもする。
- 殻から出して、2~3割りにしたホヤを、味噌と酒を同量に合わせ溶いた中に漬ける。
- 3日~5日で取り出し、味噌を拭きとってサッと焼く。
生の時より匂いが弱まり、やや甘味のある濃厚な味で、ホヤが苦手な人でも食べやすくなる。
いまから、これで一杯遣るが、飲む前から呑み過ぎそうな気配が・・・。
《ば~ばの食べ物事典》を作りました。ご参考になれば幸甚。
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