胡麻たっぷり豚肉揚げ
ゴマはインド、もしくはエジプト、あるいはアフリカが原産と言われ、はっきりしていない。
というのも、その歴史があまりに古いかららしい。
日本には中国西域の胡国を経由して伝わった・・・だから胡がつく。
あまり栽培に適地を選ばない上、手間もかからない植物だ。
乾燥には強いが、多雨が苦手で生育が遅れる。
暖かな地方なら、5~6月頃に種を蒔き、9月頃には収穫できる。
莢の中の種子を、洗って乾燥させ食用にする。
種皮の色で、黒ゴマ、白ゴマ、茶ゴマ(金ゴマ)に分けているが、栄養的な違いは無い。
洗って乾燥したものは“洗いゴマ”と呼ばれるが、この状態では種皮も固く、香りもよくないので、通常は煎って“煎りゴマ”にして使う。
さらに料理に拠っては、煎りゴマを切りゴマや擂りゴマにして用いる。
種子の含油率が50%以あるので、ゴマのままで使われる量より、搾って油に加工されることが多い。
ゴマの脂質にはオレイン酸、リノール酸が豊富。
蛋白質も豊富で、リグナンというポリフェノールも含まれる。
とにかく栄養的にはすぐれた食品だが、「胡麻を擂る」とか「胡麻擂り野郎」などのように、いい意味ではない言葉にも使われる。
「胡麻擂り」の意味は、都合次第で誰にでも迎合し、へつらって自分の利益を計る・・・なぜ、すぐれた食品にこんな言葉が生まれたのか。
『大言海』で大槻文彦先生が「擂鉢で胡麻を擂ると、胡麻が四方(周囲)に付くところから、あちこちに付いて、人毎にへつらう者をいう」と説いている。
また、『国語研究』で金田一京助先生は「ゴマ(護摩)する、すなわち護摩を修する意から、語源が忘れられて、胡麻磨(す)ると考え合わされた」との説を記している。
いずれにせよ、そのままの形では不消化なゴマは、“擂りゴマ”にして摂るのが一番いい。
「胡麻擂り」はいただけないが、“擂りゴマ”はおおいにいただこう。
☆ちょこっと薀蓄=京都・JR山陰線に胡麻という名の駅があるそうだ。
- 豚もも肉(とんかつ用・2枚)は、2cm幅の棒状に切っておく。
- ボウルに醤油(大1)、生姜(1/2片)のおろし汁、塩(一つまみ)、ゴマ油と胡椒(各少々)混ぜ合わせ、1を煎れて下味を付ける。
- シシトウ(1/2パック)は適宜爪楊枝に刺す。
- 2に片栗粉(大2)を加えて混ぜ、さらに肉の1本ずつの表面に白ゴマをビッシリまぶし付け、手でギュッと握るようにゴマを落ち着かせ、170℃の油に静かに入れていく。
- 油に入れた肉は、しばらく弄らずに、白ゴマの衣がしっかりしたら、返しながらカラリと香ばしくいい色が着くまで揚げる。
- 3はそのまま素揚げして、5に添える。
※ビールがスゴク美味しく感じる、困っちゃう一品なのだ。
《ば~ばの食べ物事典》を作りました。ご参考になれば幸甚。
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