菊花と春菊、えのき茸の煮浸し
春の桜と並び、秋を代表する花が菊。 中国原産で、奈良時代に日本に持ち込まれた。
平安時代でも、菊はまだ珍しい花で、貴族社会では延命長寿の薬草とされ、重陽の節句(旧暦9/9)には、酒に浮かべて飲み干した。
華やかな花は、太陽にも喩えられ、『日章』と呼ばれ、高貴な花=百草の王とされた。
皇室のご紋章となっていて、明治2年8月24日以後は、一般人が家紋や商標に使うことを禁止。皇室ご紋章の菊は十六葉八重表菊。
菊の花の観賞が一般的になったのは、鎌倉時代頃からで、江戸時代には品種改良が盛んになり、菊人形や展示会などで、菊の美しさを競い合うようになった。
そうなると、花の丹精に夢中になるあまり、仕事を忘れる愛好者が続出。
『菊作りは、罪作り』と言う諺まで出来た。
どの菊も、一応は食べられるが、食用として改良され栽培されたものは、“甘菊”と呼ばれるだけに、苦味がなく花弁も厚く、香りがいい。
青森産の阿房宮(八重黄菊)、山形や新潟産の延命菊(淡紫菊)&モッテノホカなどが有名だ。
生の他、蒸して平にして干した“菊のり”にして出回る。
菊の葉は天婦羅に。花はお浸し、酢の物、天婦羅、和え物、汁の実、菊飯や菊粥などにする。
花を焼酎に漬けた薬酒は、眩暈、頭痛に効果があるそうだ。
香りのいい風雅な食材。
黄菊花(3輪)は薄い塩水に5分ほど浸け、振り洗いしてから花弁を摘み、酢を少量加えた湯で5秒ほど茹でる(笊に入れて茹でると、引き上げる時に便利)。
- 春菊(1束)は、軸を除いた葉を、たっぷりの熱湯で茹でて冷水に取り、冷めたら水気を絞ってザク切りする。
- えのき茸(1袋)は、石突きを切り落とし、長さを3等分に切ってほぐす。
- 鍋に出汁(100cc)、薄口醤油と味醂(各大2/3)を入れて温め、3を加えて一煮立ちさせ、火を止める。
- 4が冷めたら、1と2を加えて味を馴染ませる。
- 器には汁ごと盛って、酢橘(適宜)を搾って食べる。
※黄菊花は買ったら1パックを茹でてしまい、使う分を取り分けたら、冷凍保存しておく。
《ば~ばの食べ物事典》を作りました。ご参考になれば幸甚。
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