ジャガ芋とコンビーフの重ね焼き
ジャガ芋はほとんどの家庭の常備野菜だと思う。
初夏に出る新ジャガ芋も美味しいが、根菜が本当に美味しいのは晩秋。
ほっくりしたジャガ芋料理は、心が休まり温まる。
ボリュームの割りに低カロリー、栄養的にもお奨めの一品。
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ジャガ芋の優しいホクホクした質感は、個性を強調しすぎず、ほかのいろいろな素材と相性がいい。
癖が無いのに、ジャガ芋を抜くとつまらなくなる料理はたくさんある。存在感のある名脇役といったところか。
ジャガ芋が嫌いで食べられないという人は、まず滅多にいないだろう。
味わいや質感だけじゃなく、あのコロンと丸っこい形も愛嬌があって親しめる。
薩摩芋より10年も早く、ジャカルタから伝来していたのに、西日本では育ち難かったことや、薩摩芋のような甘味が無いことで、普及が遅れた。
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ジャガ芋には、春に植え付ける“春作”と、夏に植え付ける“秋作”がある。
春作の代表は男爵やメークイン&紅丸と、近頃人気の北アカリ。秋作は、農林1号・出島・タチバナなどになる。
新ジャガ芋は、長崎や鹿児島などで、春から初夏にかけて採れる小型の芋で、主に“出島”が中心だ。
最近では、沖縄の新物が1月ころから出始め、北海道のハウス物が追いかける。
秋に収穫されるジャガ芋は、澱粉含有量が多くホクホクした味が愛されるが、元々の原産地は南アメリカ・ペルーとボリビアに跨るアンデス山地。
高地・低温・荒地などの悪条件でも育つ『お助け芋』として、飢饉対策に奨励された。
寒冷地に強い上に寒冷地ほど澱粉の含有率が多くなり、北海道には打って付けの作物だった。
17世紀頃(約380年前)にオランダ船によりジャカルタ(ジャガタラ)経由で、長崎に持ち込まれたので、ジャガタラ芋が詰まってジャガ芋になった。
16世紀に伝わったヨーロッパでは、当初は芋より花が愛され、とくにマリーアントワネットはコサージュやブーケにして喜んだと言う。
それは、さておき日本では、明治40年頃に、函館在住の川田龍吉男爵がアメリカから取り寄せた“アイリッシュ・コブラ(恐ろしげな品種名だこと)”が広まり『男爵』と呼ばれた。
間もなくイギリスから“メークイン”が入り、この2品種が長いこと中心を占めた。
ジャガ芋にとっては、不当な扱いも受けたのに、どんな土地・気候にもしっかり根を張って堅実に育ったジャガ芋の心根・・・その形や味のように丸っこく穏やか。
人間なら、ジャガ芋のようでありたいし、そんな人と付き合いたいものだ。
肉類や魚介類、ほかの野菜類や乳製品など、何とでも合う優しい根菜だ。
コンビーフ缶なども常備してあれば、寒さや強風など、変わりやすい天気の時期には役立つことが多い。
- ジャガ芋(大1個)は、皮を剥いて2mmほどの厚さに輪切りする。
- 葱(1本)は斜め切り。
- コンビーフ(100g)は解して、おろしニンニク(1/2片分)とナツメッグ少々を混ぜておく。
深めの耐熱容器かグラタン皿の内側にバターを塗り、1~3を交互に2~3段に重ねて入れる。
- 4の上にピザ用チーズ(40g)を乗せて、180℃に熱しておいたオーブンで20分ほどコンガリ焦げ目が付くまで焼く。
※ピザ用のチーズ(☜)は、専用に袋に入ったものでなくても、グリュエール・チーズなどの、とろけるタイプのチーズなら何でもいい。
※どのチーズも無い場合は、マヨネーズを乗せて焼いてみても、グラタン風で美味しいよ。
☆ジャガイモの保
長期保存には、凍らない
(ジャガイモの芽
《ば~ばの食べ物事典》を作りました。ご参考になれば幸甚。
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