3年山葵で「泪(なみだ)巻き」
一昨日、ムシコさんとお会いして、ボジョレー・ヌーボーをご一緒した時に、奥多摩の『3年山葵』を頂いた。
奥多摩は、静岡、長野に次いで日本の三大山葵産地だ。
山葵は、清流が無ければ育たないが、環境が良ければ結構増える。
生の山葵の風味は、日本の食に欠かせないものだ。
ただ、チューブ入り、瓶入りなどの練り山葵や、おろし山葵が当たり前のように使われ、山葵の旬や、本当の味が分からない人が多くなっている。
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『3年山葵』と言う言葉がある。
これは、3年経った(育った)山葵がいい、と言う他に、山葵を上手に使い分けるようになるまでには、3年の修業が要ると言う意味。
山葵は、ただ辛ければいい・・・と言うのはNO。
目から鼻に抜ける、のはシャキッとした人間だけでいい。
涙が出て慌てて鼻に手を・・・までいかずに効いている。そんな使い方がプロ流。
上等の山葵を、魚に合わせて量の加減をする、寿司職人の腕はそこに出るそうだ。
刺身を食べるときの山葵も、皿の醤油に溶いてしまうのはNO。
刺身に乗せて使うほうが、魚の味も活きる。因みに山葵の量は、海老<白身<赤味<トロ・・・と、魚介の脂肪分が多くなるほど増やす。
山葵は清流の、12~13度くらいの水温を好むので、伊豆・天城、信州・穂高&木曾福島、東京・多摩川上流あたりが主産地になっている。
アブラナ科の多年草。皮の瘤を落とし、葉の付け根から摩り下ろす。力を入れて回すように下ろし金(鮫皮のおろしが最高)に当てるのがコツ。
おろして保存せず、必要量だけおろしたら、残った分は、濡らした新聞などに包みラップ巻きして冷蔵庫に入れる。
我が家は山葵好き(刺身・寿司好き)なので、出来ればいつも生の山葵を用意していたいが、そうもいかない。
結局は、チューブ入りを買うことになるが、なるべくは国産本山葵(無添加)を選んでいる。
手間無く、いつでも使えるから、山葵マヨネーズなども気軽に作れる。鰯や鯵のフライにもちょっと塗ってから揚げるとイケる。
旬は過ぎたが、山葵の葉を湯通しして刻み、三倍酢や和え物にするのは、季節ならではの、辛味と風味で堪えられない。
私は、生本山葵をおろすか細切りにして、海苔巻きの具にした“泪(なみだ)巻き”が好きなのだが、変?。
☆
細巻きにして、↑左はおろし山葵だけを巻き、↑右は山葵入り干瓢巻きに。
山葵だけ巻いた細巻きは、初めて食べた夫によると「最初は仄かな甘味を感じ、口中に香りが広がる・・・喉を通る時に鼻にツーンと辛さがきますね」とのこと。
葉と根の一部は、酒粕を買って来て、“山葵漬け”を少し作った。
- 酒粕は酒(甘味が欲しい方は酒と味醂)でやや硬めに緩く伸ばして、塩微量で調味しておく。
- 山葵の茎と葉は、細かく刻んで熱湯をかけ回し、水気を切って密封容器に入れておく。
- 山葵の根を少し、微塵切りし、1に混ぜ、2も加え混ぜる。
- 当日より、2~3日後が味が馴染んで美味しいと思う。
ムシコさんありがとう~!
《ば~ばの食べ物事典》を作りました。ご参考になれば幸甚。
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