大根と豚肉の煮物
☆この3~4日間、満足に家事をしていないから、今夜は簡単で(ま、いいじゃん)美味しい惣菜で、夫にお詫びの気持ち。
さて、まず今日は、これからが旬の大根の話。
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当たり役に恵まれない役者を『大根役者』だとか、太めの足を『大根足』だとか、“大根”は素晴らしい野菜なのに、どうやらその価値が認識されていないようだ。
日本人と大根との付き合いは古く、各地に大根に纏わる伝承話や祭事が残っている。
大根の古名は「淤富泥(おほね)」、大きい根の意だ。
正月・七草に使われる“スズシロ”が大根のことだというのは知られている。
また“鏡草”という別名もあった。これは、大根が神供に用いられた名残でもある。
古代では、白いものは貴重で尊ばれた。
現代では、紙でも布でも白いものは身の回りにいくらでもある。純白だって用意に手に入る(純白を人の心に求めるのは難しいが・・・)。
しかし、古代では、雲・花・雪などの自然以外に、白いものは手に入り難かったのだ。まして純白は。
白が純潔・高潔のしるしと、重視されていた時代だから、大根の白さは神に供えるものとしても最適だったのだ。
『日本書紀』にも書かれている大根は、1600年余の歴史があるわけで、イギリス辺りの大根の400年ほどの歴史とは重みが違う。
日本は、大根遣いの元祖、老舗・・・大根ほど日本的な野菜は思いつかないくらい、和食には欠かせないものだ。
刺し身のツマ、おろし大根、白髪大根・・・和食の器には欠かせないのに、目立たず、有り難味が無い。
まるで、男に取っての妻や母の存在のようだ(違うかな!、男性諸君!!!)
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関東では、美濃早生に代わり、練馬大根系の尻細、理想、秋詰まりが出回っているが、11月末になると都大根が、12月中旬には三浦大根が出てくる。
練馬系の大根は、煮物に適し、三浦系の大根は漬物に適した品種だ。
中部地方には、宮重大根系の総太、白首、青首などがあり、関西地方には白上がり京大根、和歌山大根、横門大根などの他、聖護院大根もある。
また、一般的には冬の大根は総じて甘味が出るのだが、ピリッとした辛味が増す小振りの鏡大根(別名・辛味大根)は、下ろして天婦羅やちり鍋、麺類の薬味にすると美味しさを引き立てる。
いまでは、年中店頭にあるため、あまり有り難味を感じない野菜になっているが、大根が無ければ美味しさ半減・魅力半減の料理は多い。
大根おろしや刺身のツマばかりか、蛸を煮る前の下拵えや、牡蠣の汚れ落としなど裏方としての役割も素晴らしい。タクアンの無い食事は「寂しい」って言うひとだって大勢いる。
脇役ばかりか、風呂吹き大根、鰤大根、船場汁、おでんなど、主役や準主役だってバッチリ。
葉付きで買ったら、葉は刻んで油炒め、塩揉みして菜飯にも。大根の皮のキンピラだって歯応えが良く美味しい。
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大根には、消化を助けるジアスターゼも豊富。
捨てるところが無く、ヘルシーな大根。
もっと尊敬されていい野菜なのだ、見直そう。大根と牛筋・昆布・角コンの煮物は、我が家の定番。
牛筋や昆布などの出汁が出るものと、大根は抜群の相性だ。いい出汁を吸った大根が美味しい。
ブリ大根(☜)、イカ大根(☜)など、魚介と合わせて煮るのも、魚介の味が大根に沁みて、とても美味しくなる嬉しい素材。
- 大根(10cmくらい)は、皮を剥き横にして、斜めに包丁を入れて切り、大根を回しながら同じように、一口大の乱切りする。
- 豚肉(100g)は2cmくらいに切って、醤油と酒(各少々)をまぶしておく。
- 鍋に油(大1)を熱し、生姜(1/2片)の薄切りと葱(10cm)のブツ切りを炒め、香りが出たら2の汁気を切って加え、肉の色が変わるまで炒める。
- 3に1を加えて炒め、全体に油が回ったら、2の汁と、醤油(大1)、砂糖(大2/3)、胡椒少々を入れて軽く炒め、100ccの湯を加えて蓋をして、弱めの中火で約15~20分、大根が柔らかくなるまで煮る。
豚肉は大根の出汁?、そう思うほどジックリ煮込んだ大根の美味しさがたまらなくいい。
大根の葉は、サッと茹でて絞り、細かく刻んで胡麻油で炒める。
醤油と酒で調味、ジャコなど加えて一炒りすれば、いい箸休めになる。
《ば~ばの食べ物事典》を作りました。ご参考になれば幸甚。
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