マイワシのビネガー煮
マイワシは“入梅イワシ”と呼ばれて、 梅雨の頃が美味しい時季とされる。
ただ、冬前の今頃も、二度目の漁期と言われる。
鰯の主流は、ニシン目ニシン科のマイワシだが、かつて大衆魚=下魚とまで言われた鰯が、最近では漁獲量の減少で高級魚になりつつある。
ほかに一般的なのはウルメイワシ(潤目鰯)、カタクチイワシなど。
鰯の語源には、幾通りもの説がある。
※陸揚げすると直ぐに弱る=弱い魚=弱し(よわし)の訛化説。
※稚魚が他の魚の餌になる=小さくて弱い=弱し(よわし)の訛化説。
※身分が低い(卑しい)人が食べた=卑しい魚=卑し(いやし)の訛化説。
いろいろあるが、漢字は前者の説から出来ている。
平安時代、身分が高い人は食べないと言われた“鰯”を日常的に食べて、夫との諍いが絶えず、結局“鰯”が原因で離婚したのが、かの紫式部。
イワシを食べていることを咎めた夫の藤原宣孝に、紫式部は反撃の和歌を。
日の本に はやらせ給う いわし水
まいらぬも あらじとぞ想う
<いま一番人気の【石清水八幡宮】に参拝しない人はいないでしょう>と、石(岩)清水とイワシを引っ掛けたもの。
因みに、この清水は、女性の肌をきれいにすると評判だったそうで、「イワシは肌艶を良くするのよ」と言ったも同じ・・・亭主としては、反論出来まい。
また、江戸時代に質素倹約を奨励・実践して、玄米一椀+糠みそ+目刺し一本の生活をしたのは、なんと春日の局。
彼女は当時にしては、健康で長生きした女性としても知られる。
卑しいといわれようと、鰯は美味しくて栄養のある魚。
DHE・APEなどの講釈が無くても、昔から知的な女性は鰯を食べていたのだ。
痛みやすい魚だから、目刺しやつみれ、蒲鉾に加工されることが多いが、鮮度のいいマイワシは刺身が美味しい。
『イワシコ、七へん洗えば、鯛の味』と言われ、人によっては鯛より美味だとも言う。
塩焼き、フライ、酢の物や酢締め、煮付けもいい。
- イワシ(2尾・・・ただし小さければ4尾)の、頭と腸ワタを取り、良く流水で洗って、水気を拭き取る。
- 鍋を濡らしたあと、酢と白ワイン(各50cc)、塩少々、ローリエ(小1枚)を入れて煮立て、1を表上(頭側左で腹手前)に並べ入れる。
- 蓋をして、時々煮汁を魚にかけながら、中火で10分ほど煮る。
- 別鍋に、バターとマヨネーズ、白ワイン(各大1)、醤油とマスタード(各大1/2)、おろしニンニク少々を混ぜ合わせて、一煮してソースを作る。
- 2を皿に盛り、4を流しかけ、万能葱小口切りを散らし、ミニトマトを添える。
《ば~ばの食べ物事典》を作りました。ご参考になれば幸甚。
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