大豆ご飯
昨日は、あちらこちらで「福は内、鬼は外」の声が聞かれた(実際には、TVでの「各地寺社の豆撒き」取材だが)。
東京は大雪で、豆撒きを中止した寺社や家庭が多かったようだ。
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この豆撒きの掛声にもいろいろあるのだ。
津軽の一地域では、昔、鬼に村を救って貰ったという伝説があり、以来「福は内、鬼も内」と豆撒きをするそうだ。
成田山・新勝寺では「福は内、福は内」で、鬼は登場しない。
九鬼氏に因んだ神社は、鬼を追い出すなんてとんでもないと「鬼は内、鬼は内」と呼び込む。
京都の商家は「大荷(おおに)は内」で豆撒き。
私の場合は「福はうち、豆もうち」で、撒くより食べる。
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この豆撒き、または豆打ちと呼ばれる立春前夜の行事は、元は、散米(さんまい)、うちまきと名づけられた神事儀礼から変形したもの。
儀式が民間に伝播していくうちに、節分祭の豆撒き行事として完成されたと思われる。
日本民族にとっては、米や豆はとりわけ重要な作物=二千年来の“民族食”で、和食の土台・根幹だ。
とくに大豆は「畑の牛肉」とも称され、健康食材として世界中に注目されている。
古代人は豆に《魔滅》《霊芽(まめ)》の文字を当て、魔滅=病魔退散&霊芽=生命力強化の祈りを込めた。
日本で最古の医学書『医心方』(平安中期)には、「鬼毒を治し、病みを止め、むくみをおさめ、胃弱や食中毒を除き、五臓を軽くする」と、大豆の素晴らしさを絶賛している。
除災招福を願う、追儺(ついな)鬼追いの儀式と、散米(さんまい)の神事とがミックスして生まれた“節分祭”。
昨夜は豆撒きのあと、年齢分+1個の豆を食べたろうか。
年齢分+1個の数のまめを食べると「無病息災=まめ」に長生き・・・と言われるが、この年齢になると、硬い大豆をそんなに食べたら、かえって病気になりそうだ。
と言うことで、豆撒き用の“打ち豆”は、撒かずに炊き込みご飯に。
- 米(3カップ)は洗って、分量の水加減にしておく。
- 打ち豆(1/3カップ)は、出来ればもう一度香ばしく煎ったほうが香りがいい。
- 1に、昆布(5cmくらい)、酒と醤油(各大1)を加え、2を乗せて普通に炊き上げる。
- 上下を返すように全体をサックリ混ぜる。
※打ち豆は硬くて消化に悪いが、こうして炊くと柔らかくなって美味しく食べられる。
昨日の打ち豆が残っていたら、是非炊き込みご飯を。
《ば~ばの食べ物事典》を作りました。ご参考になれば幸甚。
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