青柳と若布の芥子酢味噌
本日の東京多摩地区は、相変わらず
近頃、やや少なくなった『江戸前』資源の一つで、外洋と内湾の潮が交わる千葉県・富津岬の辺りが主産地だ。
近くに青柳という地名があることからも、ここが昔からの産地だったと思われる。
“青柳”というのは関東での通称で、本名は「馬鹿貝」。
エッ、ウソ~!。馬鹿貝が本名だなんて・・・と思われる方が多いだろうが、ホント。
馬鹿貝は、いつも口(殻)を開けて赤い舌(脚)をダラ~ンと出して、いかにも口許が締まらなく見えるので、其の名が付いた。
というのは俗説で、実は潮の干満や砂地の変化に敏感で、すぐに棲息場所を移動するから“場替え貝”と言われ、それが転訛してバカ貝になった説が有力。
また、殻が脆く壊れ易いので“破壊貝”が転訛したという説もある。
馬珂貝とも書くが、店頭では、通称の“青柳”で売られている。
青柳の舌(脚)は、仄かな甘味があり、サッパリとした味と歯応えで刺身や寿司種にすることが多い。
この脚は赤っぽいのが雌、白っぽいのが雄というが、味は同じだ。
サッと霜降りにしてヌタにしても美味。酢の物にもいける。
豆腐と小鍋に仕立てるのも美味しい。
☆
青柳には貝柱が2個あり、大きい方は「大星」、小さい方は「小星」と呼ばれ、どちらも珍重される。
生で美味しいのは勿論だが、椀種や混ぜ込み飯にも美味しい。
ただし、火の通し加減が難しく、火を通しすぎると硬くなり味を損ねる。
人気なのは掻き揚げで、天婦羅職人としては「アラレ(青柳の貝柱)の掻き揚げ」が上手に揚げられて一人前だそうだ。
刺し身盛りの青柳を買ったので、大根のカツラ剥きも混ぜて使った。
大根のシャキッと、若布の風味、そして青柳のネットリした食感が、芥子酢味噌で一体となり、酒が進みそう。
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《ば~ばの食べ物事典》を作りました。ご参考になれば幸甚。
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