新茶を楽しんだら「静岡焼き」
新茶の季節に、今年もナベショーさんの丹精したお茶を分けて貰った。
『茶初穂を飲むと憎まれる』という諺がある。
初穂とは、元来はその年に初めて実った稲の穂のことだが、他の農作物にも使われることがある。
だから“茶初穂”といえば、当然ながら新茶のことだ。
新茶は貴重で美味しいから、こんな諺が生まれたのだろう。
お茶の本当の旨味は、それぞれに御茶屋がブレンドした物を“蔵出し茶”とか“口切り茶”として売り出す9月だという茶通もいる。
が、そうは言っても、こんな諺があるくらいなのだから、新茶の味わいは貴重に違いない。
お茶は、日本人の生活に欠かせないものだった。
『日常茶飯事』という言葉は、日常(ふだんの日々・毎日)に茶飯(茶を飲み、飯を食べる)、そんな当たり前の事という意味だ。
“水飯事”でもなく、“湯飯事”でもない・・・ましてや“酒飯事”などありえない。
生きていくために食べる。
そんな大事な行為に、お茶がくっ付いているところが重要なのだ。
日本人が三度三度の食事のあとに、お茶を欠かさなかったのは、とても科学的なことだった。
まずは、①過食防止=食事を腹八分で止めても、満腹感が得られる。
次に、②食中毒予防=お茶のタンニンが、解毒作用をする。
そして、③清涼効果=口中が爽やかになる。
また、④虫歯の予防=茶葉のフッ素がが歯を強化し、タンニンが殺菌する。
締めは、⑤清浄作用=茶葉にはサポニンが含まれるが、この成分が石鹸効果で脂肪汚れを落とす。
子供にお茶うがいを奨めるのは、特にこの④と⑤の効果による。
茶祖と呼ばれる栄西の著『喫茶養生記』のはじめに、「茶は養生の仙薬であり、人の寿命を延ばす妙術をそなえたものである」と・・・。
北大路路山人は「料理とは、理(ことわり)を料(はかる)ことなり」、つまり道理を守り、従ってこそ美味しい料理だと。
この言葉を借りれば、栄西曰く「茶とは、生(いのち)を養(やしなう)ものなり」ということだろう。
そんな薬効のある茶葉を、出がらしだからと、捨てるのも勿体無い。
まして、新茶の葉は柔らかい・・・そこで、新茶を二煎ほど楽しんだあとの茶殻で惣菜を作ってみた。
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こんな名の料理は無い。
無いが“茶葉+桜海老+鰹節(けずり)”と、静岡産の素材を組み合わせたので、私が勝手に命名。
茶殻と桜海老、おかか、胡麻、卵、醤油と酒少々、小麦粉適宜を混ぜてフライパンで両面焼く。
微かにほろ苦さはあるが、お茶の香りも残って、桜海老とオカカ、胡麻の香ばしさでけっこういける。
ECO惣菜かな?
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富士通のAzbyClubで「プラチナブログ」に選ばれました
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改訂《ば~ばの食べ物事典》を作りました。ご参考になれば幸甚。
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