スルメイカでイカ飯
ただ、麦の穂が出る頃に出回る、少し小柄なスルメイカは、軟らかく美味しい。
この時期のスルメイカは「麦イカ」とか「新イカ」と呼ばれる。
スルメイカの漁は、灯火に集まる習性を利用して、漁船には沢山の電灯を付ける。
沖合いに集漁灯を明々とつけた漁船が並んでいるのは、初夏の風物詩。
100種以上もあるイカの種類だが、それぞれに旬がある。
春一番が“蛍烏賊”、次に出るのが“ヤリイカ”、初夏になると“スルメイカ”と“ジンドウイカ(=ヒイカ)”・・・そして秋口は“剣先烏賊”、晩秋は“甲烏賊”・・・etc。
一般的にイカの仲間は神経質で落ち着きが無い(誰かに似ている?)ので、水槽で飼うには適さない。
中でもスルメイカは、特に神経質で、小さな刺激にも敏感に反応し、墨を吐き、反射的に体色まで変える。
墨を吐き、体色を変えると、イカは急速に弱るのだ。
鮮度のいいものは黒味褐色だが、イカは触っただけでも白くなる。
ちょっとの刺激でも体色を変えるのだ。
漁れたてを並べ重ねると褐色は消えて、透明感のある白に黒い胡麻粒状の斑点が出る。これはまだまだ刺身鮮度。
この白さが、やがて不透明になり、ピンクに近い赤になったら、もう生食どころか、加熱しても危ない。
色の表現は微妙で、赤にしろ白にしろ、濃度・彩度・明度・・・みな違う。誤解や勘違いも生じるわけだ。
昨日買ったスルメイカは、褐色が残った抜群の鮮度だったが、家に帰るまでに最初の段階の透明感の白になっていた(上の写真)。
一般に、イカ類は神経質だが、中でもスルメイカは特に神経質で落ち着きが無い。最近は、イカの生簀搬送も多くなり、水槽に入れて客の目の前で生きたイカを料理する店も出来たが、長時間の飼育は出来ない。
新鮮なスルメイカは、刺身やイカ素麺など生食に。
ワタが太っているのは塩辛にも適している。
身の部分は刺身やイカ飯にして、耳や足を塩辛にすると、塩辛も歯応えあるものが出来る。
ワタを使った煮物や炒め物も美味しい。
煮物、焼き物、揚げ物・・・レパートリーは多彩だ。
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もち米をと半々に混ぜた米を、イカの胴の8分目まで詰めて、口を楊子や竹串で閉じ、出汁、醤油、酒で煮ただけのイカ飯。
ほかにオカズがある家庭の晩御飯には、味付けは弁当などの“イカ飯”よりあっさりめがいい。
いい出汁の液を吸って膨らんだご飯が、イカのお腹をパンパンに・・・。
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