イイダコの煮物
春から初夏には、小さな蛸“イイダコ”を店頭に見ることがある。
日本人は蛸が好き。
特に女性の好物として、江戸時代から『女子の好きな、芋、蛸、南京、蒟蒻、芝居・・・』と挙げられている。
そんな蛸も、西欧ではデビル(悪魔)扱いだ。
同じ軟体動物でも、烏賊以上に嫌われていて、食用なんてとんでもない国が多い。
「蛸の八っさん」などといわれて、日本ではユーモラスな道化師扱いだが、処変われば・・・である。
頭足類とい われるように、頭から足が生えているように見えるが、頭だと思っている部分は実は胴体なのだ。
だから、此処には卵も詰まっている。
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“イイダコ”は、マダコが全長60センチ~になるのに、僅か20センチ前後にしかならない小振りな蛸だ。
そんなに小さくたって、しっかり大人なのだから、メスの胴中(アタマと呼ばれる部位)には米粒のような卵がギッシリ詰まっている。
この卵の粒々感が“イイダコ”の命。
イイダコは飯蛸と書くのも卵の粒々がご飯のようだということからだ。
別名、子持ち蛸、石蛸、一口蛸などとも言うが、やはりイイダコ=飯蛸が一番特徴を現しているようだ。
丸ごと醤油で煮る、ゆでた里芋や大根と焚き合わせる。
飯蛸の ひとかたまりや 皿の蓋 (夏目 漱石)
酒肴には持ってこいで、愛好家は多い。
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- イイダコは塩で良く揉んでから水洗いする。
- イイダコを出汁・醤油・酒で煮る。
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