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2008年6月 9日 (月)

池波正太郎が主人公「梅安」に語らせる鰹飯と本当の“タタキ”

Photo夏の江戸の味を代表する

ただ、これが鎌倉時代末期までは、思いっきり“下魚(げざかな)”として軽んじられていたのだ。

『徒然草』(兼好法師)にも

「鎌倉の年寄の申し侍りしは、この魚おのれ等若かりし世までは、はかばかしき人の前に出づること侍らざりき、頭は下部も食わず、切棄て侍りしものなりと申しき・・・」と。

それが江戸時代になり、新緑の時季に鮮やかな姿態・色彩が威勢のいい江戸っ子好みだった上に、“勝男”とも書かれることが彼らの気性にピタッとはまった。

しかも、鰹の味は2~3月頃に九州西南から、土佐を経て紀州沖あたりまでは、脂が乗っていなくて、鰹節には向くが刺身には物足りない。

それが遠州灘から伊豆沖、相模灘に入る頃には、いい脂の乗りになって、江戸っ子が大好きな刺身にして美味しいのだ。

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食通で知られる池波正太郎が書いたニヒルな主人公、仕掛け人・藤枝梅安は江戸の食通だが、梅安の好みは池波正太郎の好みではないかと思われている。

梅安は『殺しの七人』や『梅安蟻地獄』『梅安鰹飯』などで、鰹料理を食べている。

そこには、刺身、タタキ、中落ちの煮物、鰹飯などが出てくる。

小説の中では、料理する役割は、梅安の仲間の彦次郎だが、刺身と中落ち煮物では

「・・・久七が届けてくれた鰹の片身を刺し身にし、溶き芥子を添え、遅い昼食をすませた・・・

彦次郎は中落ちをうまくこなし、酒、醤油、味醂で鹹(から)めに煮付け・・・」(『梅安蟻地獄』より)とある。

刺身と鰹飯では、彦次郎が持ってきた鰹を

「梅安さん、まず、刺身にしようね?」

「むろんだ」

「それから夜になって、鰹(こいつ)の肩の肉を掻き取り、細かにして、鰹飯にしよう」

「それはいいなぁ。よく湯がいて、よく冷まして、布巾に包んで、丁寧に揉みほぐさなくてはいけない」

「分かってるとも」

「薬味は葱だ」

「飯にかける汁は濃い目がいいね」(『梅安鰹飯』より)

いずれも、なかなか美味しそうで食欲をそそる。

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鰹は三枚におろしたあと、片身の中央の血合いを縦に切り、背身と腹身の二本に切り離す。

これを「ふしおろし」と言うが、背身は皮を引き剥ぎ少し厚めに切るが、腹身は銀皮が付いたまま薄めに切るのが定式。

通は、銀皮の付いた腹身を刺身で賞味し、背身はタタキか土佐造りにする。

土佐造りは枯れ松葉や藁で炙って氷水に取るものだが、最近ではこの土佐造りをタタキと思い込んでいる人がいる。

タタキとは、本来「叩いたもの」、焼いただけではまだタタキではないのだ。

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では、本来の「鰹のたたき」とは・・・。

まず酢と水を同量にあわせて塩少量を加えた“塩酢”を用意する。

先の焼き霜降りした鰹を、厚めの刺身(ゲタ造りという)に切って、俎板に平らに並べ、塩酢を付けた手のひらでぺタぺタと叩く。

この叩くことから「たたき」と言われるのだ。

あとは器に並べて、大根おろし、浅葱の微塵きり、おろし生姜や玉葱薄切りなど好みの薬味を乗せ、これを土佐酢かポン酢で食べるのだ。

大根おろしはたっぷりがいいし、浅葱のほかに花穂紫蘇、おろしニンニクもいい。

私の場合は、ニンニクはおろさずに薄切りで存分に乗せている。2129

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鰹のたたきは、いわばビフテキでいうレア。

生焼きなのだが、表面をサッと焼くことで生臭さを消し、食べやすくしているのだ。

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改訂《ば~ばの食べ物事典》を作りました。ご参考になれば幸甚。

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