タイの鶏料理
鶏の話の四回目は、鶏の原産国の一つで、肉料理=鶏料理といってもいいくらいの国、タイだ。
日本の地鶏にはシャモ(軍鶏)の血を引くものが多いが、このシャモの名の由来はシャムから渡来したから。
シャムとは昔のタイの国名・・・映画やミュージカルの『王様と私』の時代だ。
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タイは幾つもの国と陸続きなので、地域によって隣接国の食文化が混じり、首都バンコクなどはまさに食文化クロスオーバーランドになっている。
そこからタイ料理の特徴を探し出すとすれば、まずは辛い。
そして、ナンプラー(魚醤)、レモングラスやパクチー、ニンニクやハッカなど香辛料、ココナツパウダーなども独特だ。
これらのスパイスやハーブ、調味料をクロックという石臼(写真のものより深くて壷状)で引き潰し、各家庭のオリジナルな味を作るのだ。
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世界中で鶏は食用として飼われているが、国ごとの呼び名の違いには民族性が出ている。
英語では雄鳥は“コック”、雌鳥は“ヘン”・・・それが鶏肉になるとすべて“チキン”になる(へ~ン!!)。
フランス語ではもっと細かくて、雄鳥は“コック”、雌鳥は“プール”・・・ただ、雛は成長によって“プッサン”~“コクレ”~“プーレポン”と変わる。
しかも、強制飼育して生育させた雄鳥は“シャポン”、雌鳥は“プーラルド”と呼び、異なった調理法までがそれぞれにあるのだ(さすがフランス?)。
タイも鶏料理の多い国だが、生きた鶏は“ガイ”、鶏肉は“ヌア・ガイ”・・・雄鳥は“ガイ・ティア・プー”、雌鳥は“ガイ・ティア・ミア”・・・覚えやすいかも。
因みに、鶏はインドではアヤム、インドネシアではムルギーという。
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タイで一般的に食べられている鶏料理は“ガイ・ヤーン”という、日本の焼き鶏のようなもの。
どこの市場や通りにも“ガイ・ヤーン屋”が屋台を出している。
家庭でパーティーなど開くときも、これが出る。
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タイでは「ギン・カオ・マイ?」という挨拶がよく交わされる。
これは「ご飯を食べて行きませんか?」ということなのだが、譬えば京都の「ぶぶ漬け(お茶漬け)でも如何どすぅ?」とはまるで違うのだ。
京都では“ご飯時まで居るなんて・・・はよ帰っとくれやす”の意味で言われるのだが、タイではかなり本気。
社交辞令じゃなく、本当に食事に招いてくれる・・・そんなに親しくなくても誘ってくれる。
特別に来客用に作った料理ではない、自分たち用の食事を一緒に分けて食べるのだ。
そんな時に出されるのは、大皿に盛ったタイの鶏肉料理が中心。
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竹串に刺して焼く、焼き鳥はインドネシアやマレーシアが本場だが、南部タイやバンコクではかなり普通に食べられている。
サテは薄く切った肉を竹串で縫うように刺したもの。
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南部タイでは「焼き鳥」と注文するとこれが出てくるくらいポピュラー。
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タイでは主食の米をサラダにも使う。
これは、炒った米を擂鉢で砕いて粉末状にして混ぜてある。
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ケン・チューとは澄んだスープのこと。
タイでは、料理が甘い・辛い・酸っぱいが基本的だが、このスープはあっさり淡白で日本人にも馴染みやすい。
パクチーと炒めニンニクの香りが食欲をそそる。
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