鰯の頭も信心から
『鰯の頭も信心から』という諺がある。
つまらない物でも、それを信じる人には大事なのだ、ということらしい。
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もともと、節分行事は宮中行事で、平安時代頃から行われている、邪鬼を払う悪霊ばらい「追儺」(ついな)から生まれた。
近代になり、「追儺」の行事が廃れて、節分の夕方に豆ガラやヒイラギに鰯の頭を刺して戸口に掛け、豆撒きをする形に変った。
いずれにしろ、季節の変わり目(節分)には、邪気が生じると考えられていたからだ。
鰯の臭いと、豆ガラのガサガサ鳴る音、ヒイラギの棘が、鬼は大嫌いなんだと言われる。
だからそれらを門口に掛けて、悪鬼を追い払ったのだ。
近年こそ高級魚化してきた鰯だが、昔は下魚として卑しめられていた。
でも~鰯の頭を使うからには、身は食べたんだろう・・・ね。
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とにかく、昔は鰯は何かと卑しめられてきたのだ。
浄瑠璃の『堀川波鼓』の中に、「・・・もったいなや いまいまし 鰯で精進落ちようとしたと・・・」の言葉がある。
折角の精進明けを、鰯のような下等な魚で祝うなんて・・・長い間耐え忍んできた気持ちが報いられない、がっかりだ・・・という意。
また、魚類を絶つと願掛けしたのに、鰯ごときで誓いを破った・・・努力が無駄になったという喩えにも使われる。
☆因みに“精進落ち”とは、精進の期限が明けて平常生活に戻ること。
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鯛や鮎のように、魚として最高の扱いを受けてきたものもあれば、鰊や鰯のように、不遇な扱いを強いられてきたものもある。
単に見た目の優雅さだけでなく、昔は漁獲も多かったので「少数は尊ばれ、多すぎると賤しめられる」・・・の運命にあったのだ。
もっとも、鰊も鰯も特有の生臭みがある。
その点でも、下魚から抜け出せなかったのだろう。
それが、最近では漁獲量の減少で高級魚になりつつある。
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栄養的にも、動脈硬化や心筋梗塞の予防にもつながる、エイコサペンタエン酸が豊富。
必須アミノ酸、カルシウムや鉄分、各種ビタミン・・・。
何より注目されているのが、記憶物質と見られるRNA(リボ核酸)の合成を促進して学習能力を高めるということ。
受験シーズンでもあり、節分は「鰯の頭も信心」すべきだと思うよ!!
- 鰯は頭と腸ワタを取り、良く流水で洗って、水気を拭き取る。
- 鍋を濡らしたあと、酢と白ワインを同量、塩少々、ローリエを入れて煮立て、1を表上(頭側左で腹手前)に並べ入れる。
- 蓋をして、時々煮汁を魚にかけながら、中火で10分ほど煮る。
- 別鍋に、バターとマヨネーズ、白ワイン(各大1)、醤油とマスタード(各大1/2)、おろしニンニク少々を混ぜ合わせて、一煮してソースを作る。
- 2を皿に盛り、4を流しかけ、万能葱小口切りを散らし、ミニトマトを添える。
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