『雛祭り』に蛤酒蒸し
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雛の節供には昔から貝が付き物だ。
赤貝、浅蜊、平貝、鳥貝、青柳・・・そして蛤。
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とくに蛤は、幾千万個集めても、元の一対でなければ決してピッタリ合わない。
その神秘性が一夫一婦の鑑とされた。
平安時代の貴族の姫たちが、たくさんの貝殻から合う一対を探し出す【貝あわせ】という遊びに興じたのも、蛤の特性を知ってのこと。
この特性で、蛤は婚礼の席に使われることが多い。
雛祭りは、お内裏様の婚礼とも言われる。
そこで蛤が雛の節供に使われることが多いのだ。
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蛤は、3~4月が旬なので、その点からも春の祝いの膳には“吸い物”として出される。
薄い塩味が蛤の美味しさを一番良く引き出すので、吸い物のほか“酒蒸し”などでも、薄塩味が本格的で、醤油は使わないものだ。
殻焼き、ヌタ、浜鍋やクリーム煮などにもする。
砂出しは、海水程度の塩水に金気の物を入れて一晩置く。
真水では殻を開けず砂を吐かない。
蛤の名は形が栗に似ていて、まるで「浜の栗」のようだと・・・シンプルな造形の美だ。
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日本では、貝塚から沢山の蛤の殻が見つかっている。
縄文時代から愛食されていたようだ。
古い貝塚から出土する貝殻の中でも、蛤は圧倒的に多いことから、古代から親しまれた貝だと分かる。
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