死者は己が心中に
美味しく食べられることが健康の証、みんなの『美味しく食べたい』思いが続きますように。
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時間も有り余るほどあるし、書店の店頭で目に付く文庫本を手当たり次第と言っていいくらい買っては読み漁っています。
と言っても、いかにも若い年代層向けに書かれた物は素通りですが~。
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色々なカテゴリーの中では推理小説、中でもトリック推理小説より心理推理小説などを読むことが多いかしら。
エッセイや歴史もの、怪奇もの(怪談?)も題名に釣られて読むこともあります。
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その怪談もの先日に出会った京極夏彦『帷子辻』の最後の下りが強烈に印象的でした。
帷子辻の謂れは、その昔、嵯峨帝の妃・檀林皇后が身罷られた時に、「我が亡骸は弔いも埋葬もせず、辻に打ち捨て野に晒せ」との遺言に沿って捨て置かれた際の、死に装束の経帷子からと。
妃は類まれなる美しさで知られた女性、しかも人一倍信心深い方だったと言われています。
妃の遺志は「万物は縷々変化し永久なるものなど何も無い、人体も虚しきもの。
骸の腐る様、朽ちて果てる様、禽獣に喰われる様をつぶさに衆人に晒さば、色恋に迷って信心を忘れた者たちも世の“無常”を感得するであろう」と。
この旧い故事すら知る者が居なくなった頃の、これも昔、ある与力が愛しい妻と死別。
しかし彼は死んだ妻を手放すことが出来ず、埋葬したくない一心で遺体を盗まれたと偽って隠します。
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別れ難い愛しさから、屍体を愛撫する中で彼の精神は狂い始めてます。
当然、遺体は腐敗して腐汁を流し腐臭を放ち…与力は止むを得ずに腐った骸を帷子辻に捨てて~。
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心まで病んでいく彼は、その後も数人の女性と関わり、愛の証にと死しても愛すことに憑りつかれ殺害して抱き続け~。
「拙者の愛は本物じゃ、どんな姿に変貌しようと真実愛しい」と腐敗した遺体を離さないのです。
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白装束の御行は断言します「死人はモノ、だから腐る、骸はゴミと変わりないのだ。
モノに執着するは妄想、人には魂など無い!、ましてや現世に冥界など無い!
生きた体そのものが魂、生き残った者の心中にこそ冥府はある。
死した者は速やかに、あなたの心中の冥府にお送りせねばならぬ」
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死者は現世には決して戻らないのだから、屍はモノと考え、 送る者の心中に迎えるのが礼儀と説きます。
人は生きてこそ人、魂も冥界も存在しないが、唯一あるとするなら送った者の心中にのみと。
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これは京極夏彦独自の世界観、“現世”と“幽世”の考えですから、異論もあるかとは思います。
でも、私の心からはモヤモヤしていた訳の分からない迷いが消えて、ハッキリ定まった方向が見えた気がしました。
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検索したら、彼は【桑沢デザイン研究所】で学んでいるのですね。
彼の足のつま先にも至りませんが、美大を出て文筆に進んだ私には彼の感性がすんなり入ってきたような気がします。
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他には蒲鉾の蕗の薹味噌、カボチャと鶏肉煮、キュウリ揉み、キャベツなどのサラダ。
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夫の思いに酬いるように、元気に生きて行きます。
どうぞ、変わらずに見守って頂けますようお願いします。
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富士通Azbyclub『プラチナブログ』殿堂(08・5)入り
改訂《ば~ばの食べ物事典》ご参考になれば幸甚。
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コメント
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愛するものが亡くなると、衝撃、怒り、絶望、無力感、そこから、もう一度、愛するものが自分の中に生きていると気づくのだと思います。自分が生きている限りは、亡くなった人は生き続ける。心の中に想い続けている人が死ぬ時が本当の死なのだと思います。
だから、誠実に生き続けなくては・・・
今、私の読んでいる本も面白いです。そのうち、ブログに書くかも~
投稿: MONA | 2012年8月15日 (水) 22時25分
御無沙汰しちゃいました。
怒涛のお盆お客攻撃がやっと終わりました^^
投稿し易い、友人範囲も記事の度に指定できるFACEBOOKばかりに
なってしまっています^^;(子供達の水着など・・・)
その間に大怪我!!!!びっくりしました。
急ぎでもそういう危険なことはもう外注に!!!
または私が行った時にでも全然やりますのでいってくださいね^^
投稿: chika0w0 | 2012年8月16日 (木) 01時41分
ば~ばさん おはよう^^
お怪我の具合いかがでしょう?
暑いから大変そう・・・大事にしてね。
最近、本を読む気がしなかったんだけど
お盆中に2冊読みました。
投稿: チーちゃん | 2012年8月16日 (木) 09時37分
ば〜ば様 お怪我の具合はいかがですか?旅行中でブログを読めずにいた数日間に…大怪我されていて…大丈夫ですか?怪我の様子を読む限り、入院でもおかしくないように思うのですが。足に管が挿してあって自分でガーゼを交換するなんて…かなり酷に感じますが。おまけに肋骨にひびまで…。頭を打たなくてホントによかったです。じ〜じ様が守ってくださったのですね。
生きる者の心中に冥府がある。には、私も納得です。
投稿: よりまる | 2012年8月16日 (木) 10時03分
前にもコメントしたような気がしますが、私は亡骸は着古した洋服と同じものと考えてます。
宗教などに興味はないのですが、子供のころからそういうことを考える変なガキでした(●>艸<):;*.プププ
だから亡くなった本人は使わなくなった身体をどうしようと捨てた洋服に興味がなくなったのと同じなはず。
お墓に納めなければ成仏しないなんてことはないと思います。
でもどうしようとかまわないと思いつつ、コンクリートに囲まれたお墓ではなくて自然に帰りたいとも思いますが。
中国の一部に遺体が腐敗して耐えきれなくなるまで家に置いておくのが供養だと考えている地域があるという話を聞いたことがあるのですが(昔の話かもしれないです)、それは残された者が思いを断ち切るための儀式なんでしょうね。
捨てた洋服に意思はないのですから、それにこだわるのは残されたものの執着ですよね。
肝心な中身は自分の中で元気に生き続けているのだから。
私はここのところ長編小説を読んでますが、登場人物があまりに多すぎて途中で訳が分からなくなってしまいました(●>艸<):;*.プププ
11巻まで読んだのですが、まだ先が長いのでまた最初から読みなおしてます(大笑)
投稿: でんぐりがえる | 2012年8月16日 (木) 14時29分
日が経って、治る気配の箇所と、今頃になって現れる痣…引き攣れ痛や痒みが出てきて治癒前の嬉しい苦痛が始まりました。
寝不足です。
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月曜日までは自分で処置することを了解頂きました、猛暑の中を通院しなくてもいいのはホッ!、ちょっと横になります
投稿: ば~ば | 2012年8月17日 (金) 08時34分