目に青葉は鰹の時季
美味しく食べられ、小さな楽しみがある日々…『一病息災』で穏やかに優しく生きたい。
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生の鰹が美味しい季節、早いものでは3月末頃から店頭に並んでいます。
でも、その時期の生鰹は“初鰹”とは呼びません。
“初鰹”と呼ばれるのは、厳密には旧暦の四月朔日(1日)…今年だと5/7日から一週間以内に関東沖で獲れたものだけ。
つまり、実際には初鰹と呼べる期間は極めて短いんです。
だからこそ、この“初鰹”は江戸時代には、とてつもない高級魚でした。
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江戸時代の川柳には、鰹に狂乱する江戸っ子たちの様子がたくさん詠まれています。
「女房を質においても…」と、江戸っ子たちは目の色を変えましたが、その値段はベラボウなものでした。
俎板に、小判一枚、初鰹 とか 初鰹、銭と芥子で、二度泪
因みに、小判一枚で米なら約450kg、いい着物が1枚や2枚は買えたと言います
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それでも見栄っ張りな江戸っ子亭主は「初鰹を食わなきゃ男がすたる」とムリ買いし
井戸端で、見せびらかして、刺身をし
と、長屋中に見せ付けるんです![]()
当然ながら女房はムッとして「そんな金が有るくらいなら」と
その値では、袷が、新しくできる
その小言も、一度や二度では収まらないものですから
初鰹、女房に、小一年いわれ
となるのですね~、ただし、初鰹の一週間さえ我慢すれば
初鰹、俄かに安く、なる魚
と、一気に安値になるのに…誰より早く食べたい江戸っ子のサガ
女房は、怒り心頭で
意地づくで、女房鰹をなめもせず
そんな仏頂面の女房に向かって
その面で、芥子を掻けと亭主言い
初鰹の刺身には芥子だったんです
怒りに任せて掻く芥子は良く効いたことでしょうねぇ
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それにしても、江戸っ子が異常なまでに初鰹に狂喜したのには訳が。
北大路魯山人はその著『料理天国』の《いなせな初鰹》に、こう書いています。
冬から春にかけて、シビ鮪に飽き果てた江戸人、酒の肴に不向きな鮪で辛抱してきてであろう江戸人、肉のいたみやすいメジ鮪に飽き果てた江戸人…が、眼に生新な青葉を見て爽快となり、何がなと望むところへ、サッと外題を取り換え、いなせな縞の衣を付けた軽快な味の持ち主、初鰹君が打って出たからたまらない。
何はおいても、となったのではなかろうか
当時の江戸前は、冬から春先は魚不足で、刺身大好きな江戸っ子は、たいして美味しいと言えないシビマグロやメジマグロで我慢していたようです。
そんな我慢にも飽きた頃、藍縞の衣装で身を包んだ、シャキっと粋でイナセな姿で颯爽と登場するのが“初鰹”。
★待ってました~!!、旨い刺身で旨い酒。
ましてや、頃は新緑の風薫る季節…バッチグーッのタイミング
。
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鰹はサバ科の回遊魚で、常に黒潮の水温が20℃くらいの深海上層部を群游しています。
だから鹿児島では初春、四国沖で春、関東近海は初夏、三陸は夏…その頃が海岸近くに接近して漁期。
つまり、土佐沖では、まだ脂が乗っていないから、鰹節にはピッタリ・・・薬味たっぷりのタタキで食べると美味しいと言うのです。
それが、関東沖だと脂が乗ってきて、鰹節には向きませんが、刺身ならこんな旨い魚は無いとなります。
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薬味たっぷりの鰹のカルパッチョ風、殆ど刺身に近いくらいレアなのが好き。
キュウリと新玉葱の薄切りを皿に敷き、鰹のタタキか刺身を並べて、ニンニクの薄切りを乗せ、茗荷千切り、おろし生姜、葱の小口切りなどを散らす。
オリーブ油に醤油と酢を加え、芥子を溶いて回しかけました。
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ポンポンポンとば~ばさまの軽快な文章の後の…初鰹
ば~ばさま…





いよ
と、手を叩いてしまいました
カツオのカルパッチョ…芸術的ですね
海辺の町近辺の漁業では初鰹祭りがおこなわれます
夫のいた頃は漁港巡りをしましたが…今は、ベランダから眺めるばかりです
それでも何やら活気ついて楽しいです~
次は秋の戻り鰹ですね~
投稿: time | 2016年5月13日 (金) 07時48分
似非江戸っ子婆としては初鰹時季に一度はね〜って事で、昔のようにバカ高じゃ無いので美味しく頂きました…旬を食べるのはチョイ嬉しいものです
投稿: ば~ば | 2016年5月13日 (金) 09時16分
長女が来るのでいろいろのせて食べようと思ってました。
ば~ばさんはおひとりなのに豪華な初がつおですね。
カツオを詠んだ句っていっぱいありますね。
それだけ庶民にとっては嬉しいお味なのね。
義弟は脂ののった戻りガツオの方が好きだと言います。
投稿: けいこ | 2016年5月13日 (金) 12時44分
好きな物はメインも野菜も薬味もドーンと一皿に全部盛り込んでたっぷり、余ったらヅケにしておいて明日昼の丼…洗い物が少ない手抜きよ
投稿: ば~ば | 2016年5月13日 (金) 13時50分
さすが、江戸っ子歯切れがいいねぇ~!
川柳を詠みながら気質を感じました。
関東沖だと調度脂が乗って来て美味しいとか・・東海ではまだ脂が乗りきれていないからかな・・そうかぁ・・いや待てよ、海無し県である我が地方は漁港から離れているから鮮度が落ちてしまうんだぁ~新鮮な魚が食べたいよう~ ‼
それにしても、ば~ばさんの手料理いつ見ても美味しそうですね。
投稿: yasu | 2016年5月13日 (金) 14時27分
流通が発達して山奥の旅館でも刺身が出る現代ですが、それでも鮮度を求めて人々は漁港が近い町に車で買出しに行きますからね〜、江戸っ子ならずとも新鮮な魚は魅力ですから
投稿: ば~ば | 2016年5月13日 (金) 16時18分
ウラヤマシイ限りです。
鰹のタタキは小さい頃からとても好きでした。
高知でニンニクをたっぷり効かせたタタキを食べた何度かの体験をいまだに回想しては、ため息をついています。
投稿: Solar08 | 2016年5月13日 (金) 19時11分
なるほど~
刺身でカルパッチョが美味しいんですね!
そうして食べてみよう~(o^-^o)
投稿: MONA | 2016年5月13日 (金) 20時41分
鰹のカルパッチョ風、美味しそう~!
生姜と茗荷をたっぷり乗せて頂くのが好きです。
それをきりっと冷えた日本酒で^^@
投稿: チーちゃん | 2016年5月13日 (金) 23時18分
時代小説が好きでよく読みますが、初鰹も戻り鰹もよく見ます。
それにしても質に入れてもとは!
江戸っ子って面白い。
投稿: MOM | 2016年5月14日 (土) 00時26分
ドイツには鰹の周遊海流が無いですものね、マグロやサーモンで叩きを是非ね
叩きに薬味いっぱい、芥子オリーブ油が新鮮感覚の相性でした
これは日本酒ね…と言いつつも私はワインでしたが~薬味たっぷりがイイわ
気風がイイと言えば長所ですが、見栄っ張りで気が短い…噺になり易い江戸っ子
投稿: ば~ば | 2016年5月14日 (土) 07時27分