苺のドラ焼き

本日の東京多摩地区はcloudcloud

memopencil

Dsc03831_1ひと昔前までは、イチゴの旬は初夏だった。

いまではクリスマス前から出回り、正月、そしてバレンタインディーと、真冬の時季が一番店頭に並ぶ。

でも、美味しいのは2~3月。

栽培の抑制・促成などの技術が向上して、7~10月の端境期以外はいつでも食べられる果物になっている。

イチゴは、他の果実と違って、種が外に出ている。

食べている部分は種に栄養を届ける道筋部で、その先端にある、あの粒々が種になる変わった個性を持っている。

さらに、他の果物と違って、木ではなくランナー(蔓)で育てるので、品種改良が楽で、農作物の中で最もバイオテクノロジーが進んだ分野だ。

memopencil

いまや「イチゴ戦争」と言われるくらい、次々と新品種が登場する。

めまぐるしく変わる品種だが、年明けに出回るのは人気の二大品種、西の『とよのか』(九州)と東の『女峰(にょほう)』(関東)。

『とよのか』は大粒で赤味が鮮やか、甘味も強い。

『女峰』は形が整い、甘味と酸味が調和しているが、選ぶのは好みだろう。

贈答品として好評なのは、赤ん坊の拳ほどもある巨大粒の『アイベリー』だが、生産量は少ない。

そのほかは、『とち乙女(栃木)』『紅ほっぺ(静岡)』『甘王』『桃太郎』・・・次々のデビューだ。

イチゴは女性や子供に人気が高いが、それは愛らしい姿、形、色に加えて、サッと洗って直ぐに食べられる簡便性がある。

memocake

苺を使ったスイーツは数え切れないほどある。

でも、この“苺のドラ焼き”は、ちょっと珍しいかなぁ~。17311733

栃木県の【蛸屋菓子店】の製造販売。 

苺の形をしたフンワリしたカステラのような皮に挟まれた、クリームと苺たっぷりの餡子。1734

一口で、苺の香りが口の中に広がる。

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映画《母べぇ》を見て

本日の東京多摩地区はsuncloudsun

heart

昨日はバレンタインディーだったcakeheart01

でも、甘いものを口にしない夫に、いまさらチョコもなぁ~。

Photo_7ということで、シワが増えた老妻の顔を見ているばかりの日々ではつまらなかろうと、話題のmovie映画《母べぇ》に誘った。

夫は、若い頃には“小巻スト”だったそうだが、いつの間にか“小百合スト”に転向。

吉永小百合は、歳を感じさせない美しい女性だから、憧れているheart02壮年男性は多い。

想う女性を大画面で見るのも良かろうと、思いやり深い(?)妻winkからのプレゼントだ。

memo

この映画は、山田洋次監督が描く、「家族」というテーマの集大成的傑作といわれる。

時代は、日中戦争が泥沼化しつつある頃(昭和15~16年)。

話の始まりは、ドイツ文学者・野上滋とその妻・佳代、そしてしっかり者の長女・初子と天真爛漫な次女・照美の4人が貧しくも明るく暮らしている家庭から。

お互いを「父べえ」「母べえ」「初べえ」「照べえ」と呼び合う仲睦まじい家族だったのに、昭和15年2月、父べぇが治安維持法違反で検挙されたのだ。

一家の苦難の日々が始まる。

そこに、父べぇの教え子、山ちゃんこと山崎徹eyeglassが訪ねてくる。

そして、彼は一家の手助けをするのだったが・・・。Photo_5

movie

画面の中には、食事風景が何度も写る。

芋の煮っ転がしと漬物を、家族が分け合いながら食べる・・・手元には味噌汁とご飯だけ。

玄関の横に、小さな鶏小屋chickがあり、朝には産みたての卵をかけたご飯。

アルミの弁当箱には、少しの佃煮と、ご飯の真ん中に梅干一個。

総菜屋で売られていたコロッケさえ、やがて手に入らなくなる中、肉もお菓子もあるところにはあるのだ。

庶民が供出を義務付けられる裏で、供出品を懐に肥る高官たち・・・。

「贅沢は敵」と叫ぶ婦人会の声が、虚しいくらいに警察や官僚たちの宴席は豪勢だ。

book

原作は、長年黒澤明監督のスクリプター(進行記録係)clockpencilとして活躍してきた、野上照代さん(映画の中の次女)が執筆した自叙伝「父へのレクイエム」。

日本が戦争に向かって突き進んでいた暗い時代に、妻として獄中の夫を尊敬し信じ続け、どんな困難を前にしても、いつでも娘たちに精一杯の愛情を注ぐ母べぇ。

そんな母べぇを、吉永小百合が清冽に演じている。

Photo_8そして、子役たちの自然な演技が、何と純真に胸を打つのだろうweep

見どころは、細部にまで行き届いた時代考証の緻密さ、完璧なまでに再現された昭和初期の街並み(オープンセット)など豊富だ。

danger

私の父も、旧制五高で太宰たちの運動に加わり、満州に追われた一人。

幸い無事に引き上げてきたが、同じように運動をしていて、何度も投獄されたA氏や、O氏には格別の思いが深かったようだ。

父の胸の奥の闇が、深酒bottleをすると切ないほど哀しみをもって、子供の私の目にも垣間見えた。

現在、ファシズムは日本では表立って見えはしない・・・しかし、何処かで大きく脹らむのを爪を研いで待ち狙ってはいないだろうかshadow

一部には、ミリタリーに憧憬を抱く人たちもいる。

《父親たちの星条旗》《硫黄島からの手紙》を、続けて観た後も感じたファッショ洗脳の怖さ。

それは国の違いや民族の違いを問わず、まさに殺戮教育。

戦争は狂気、そして人間破壊の凶器なのだ・・・愛する人を悲しませることが起きてはならない。

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大晦日・除夜の鐘

1433 夕方、大晦日もお仕事だったムシコさんが、やっと一段落・・・でホテルのロビーで暫し談笑。

こんなに立派な正月花を頂いた。

電波映像のお蔭で、我々はいま、好きな場所で好きな格好で、全国の有名寺院の除夜の鐘が聞ける。

除夜と言うのは、除日(旧年を取り去る日の夜)という意、つまりは大晦日の夜のことだ。

寺院には、朝夕に鳴らす梵鐘(釣鐘・大鐘)と、集合用に鳴らす喚鐘(小鐘)がある。

本来は朝(暁鐘)、夕(晩鐘)ともに108声を打ち鳴らすのだが、いろいろな問題もあり、通常はどちらも18声に止めている。

Dsc03508 鐘声の108声という数は、人間の煩悩の数と言われる。

なぜ108か・・・人間の六根(眼・鼻・耳・舌・身・意)から生じる感覚(境)に、好・悪・平なる三つの感情が働いた6×3=18の煩悩と、さらに苦・楽(捨)という感情が働き誘発した18×2=36煩悩、それに過去・現在・未来の三世をかけると、現れるのは36×3=108の煩悩になるのだそうだ。

わたしは、数字にはカラキシ弱い。数字に強い方、よろしく。

除夜の鐘は、この夜に限り、夜半から撞くようになった。

108声の煩悩分を撞くのだが、いつの頃からか、107声は旧年中に撞き、最後の一声は新年に撞くのが習いになった。

日頃は精進心が薄い私だが、荘厳な除夜の鐘声には身が引き締まる。

早めに総ての掃除・炊事などを終わらせ、いつもより時間をかけて入浴。

今夜は、ちょっと趣を変えた刺し身などでゆっくり飲み、年越し蕎麦で締めくくる。

魚介三種の変わり刺し身(2人分)967

鰺、帆立、真蛸、海藻などの盛り合わせを、芥子酢味噌で食べる。

ちょっと目先の変った刺し身。

※皆様、良いお年をお迎えくださいね \(^o^)/

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年越し蕎麦

風邪が抜けきっていないのか、ちょっと疲れが出たので、いつものスーパー銭湯“極楽湯”の、ジャグジー風呂に入りに行った。1359_2

いろんな浴槽に入り、サウナにも入ると、どうしても昼からビール (^^ゞ

ツマミに取った、牛蒡のチップスが、ゴッツ美味しかったぁ~。

で、年越し蕎麦のリハーサル(?)で、新蕎麦十割の“おろし蕎麦”。

Photo_3 となると、もう大掃除なんて、やる気無くなるぅ~。

いよいよ明日は大晦日、ジタバタしても一年の締めくくりとなれば、開き直りの根性。

出来なかった掃除や書類整理は、年が明けてから考えよう(と、言って数年も持ち越していたりするが)。

《行事食》という言葉までがあるほどに、年中行事には食べ物が付いて回る。

大晦日の“年越し蕎麦”も、そんな行事食の一つだろう。

京都辺りでは“晦日(つごもり)蕎麦”、東北地方の一部では“運(気)蕎麦”などと言う。

ただ、各地共通しているのは「年越しに蕎麦を食えば運が開く(または長命になる)」と言った俗信。

これには諸説あって、細く長くと蕎麦の形状からきた説。

三角形は邪気を払い縁起がいいと、蕎麦の実の形状から言われる説。1361_2

金銀細工師が、金箔を延ばす時に散らばる金銀粉を寄せ集めるのに蕎麦粉を用いたから、金に縁あるとする説。

鎌倉時代に博多・承久寺で振舞った『世直し蕎麦』が、習いとなったという説。

まだまだ諸説紛々というほど言い伝えはある。

習慣として定着したのは、江戸時代と思われる。

夜遅くまで、何かと多忙な大晦日・・・やっと年内の仕事を終えて、亭主は“年越し蕎麦”を食べながら、仲間と一杯(当時は蕎麦は“蕎麦屋”で食すものだった)の息抜き。

亭主が蕎麦屋にいる間に、女将さんは「ヤレヤレ・・・」と、腰を伸ばして一年が終わる。

蕎麦は「引き立て・打ちたて・茹で立て」と言われるくらいだが、家庭では茹で蕎麦よりは乾麺の方が、風味が損なわれていなくて美味しい。

明日は、早めに家事を終えて、ゆっくり飲み、美味しい蕎麦を食べよう。

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歳飾りのあとは“厚揚げ陶板焼き”

Dsc03512「♪もう幾つ寝るとお正月♪」なんて、はしゃいでいられるのは子供だけ。

家庭では、大掃除、買い物、正月準備・・・と、大人たちは一番忙しい時期だろう。

年末、歳神を迎えて新年を祝うための準備は、どこの地域、どこの家庭でも行われるが、その祭具は、山間部・農村部・漁村・・・と、それぞれに違いがある。

一般的に準備されるものの一つとしては、門松や注連縄などがある。

門松には永遠の命の象徴として、常緑樹が使われ、東京では目出度さを重ねて“松竹梅”を用いる。

これは、決まったものではなく、松だけを使う地方もあれば、愛知や長野のように榊(サカキ)を立てる所もある。

また、歳神を迎える聖地を示すのに注連縄を張るのだが、この注連縄も、入舟を模ったもの、宝舟を模ったもの、放射状に編み広げて翼を広げた鶏形に見せたもの・・・etc、まるで芸術品のような立派なものが沢山ある。

注連飾りに使われる、橙は未熟の青い実が冬になって熟すと黄色くなるのだが、摘まないで木に付けたままにしておくと、春には再び青い色に戻って、やがてまた黄色になる不思議な変化がある。

これを、代々に渡って実が続くという繁栄の意味と、青い色から始まり、また青い色に戻るという回青の意味をとって、縁起がいい果物だとされる。

ユズリハは、新しい葉の芽吹きを待って、旧い葉が落ちる伝承・相続の意味。縁起ものが土地ごとに沢山飾られる。

そんな正月準備には、歳棚もあり、ここには鏡餅に橙や譲り葉、裏白、伊勢海老などを乗せ、地域によっては鯛や海藻、大根や串柿などを供える。

これらは皆、縁起言葉に因んで使われているのだ。

大掃除、歳飾り、おせちの準備・・・こんな時の豆腐や厚揚げは、強力な助っ人だ。

植物性蛋白質など栄養的にすぐれ、ヘルシーなのにボリュームもある。

何より、簡単な料理で美味しく食べられるから嬉しい。

厚揚げは、その持ち味を味わいたいので、料理も調味料もシンプルに・・・そして薬味はたっぷり。

先日、折角陶板焼き用の小(個)鍋を買ったので、こんな時こその活用。

厚揚げの陶板焼き(2人分)1246

器は直火に掛けられるものがいい。

とくに無ければ、フライパンでも。

  1. 1243 厚揚げ(1枚)は横4等分に切り、万能葱(2本)は5cm長さに切る。
  2. 陶板(グラタン皿でも)に胡麻油(大1)を入れて、切った厚揚げを寝かせて並べ、万能葱も入れる。
  3. サッと焼いたら、醤油を回しかけ、おろし生姜(1片分)と削り節(適量)を乗せる。

※すっごくシンプルなのに、けっこう美味しくて、食べでもある。

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クリスマスが近いから

娘婿の転勤で引っ越してしまった孫から、今朝クリスマスプレゼントが届いた。

孫は小学一年生の女の子・・・私の大好きな薔薇の花を折紙で折ってくれたのだ。Photo_3Photo_2Photo 

まだ、小さくか細い指で折っているので、ちょっと形が崩れて見えるが、一年生にしてはかなり器用かなぁ(私の血筋 v(^'^)v)

それと、夫へのプレゼントは、公園で拾ったドングリの人形とドングリの独楽。

娘夫婦からのプレゼントと一緒に箱に入れられてきたが、途中で一部顔の絵の具が剥がれてたようだ。

でも、可愛いでしょ(モアイ像みたいって、思っても言うな!)。Photo_4

可愛いプレゼントをありがとうね。

今月は、いろんな方と集まる機会が多い。

ブログで知り合った方とも、オフのクリスマス会が続いた。

13日は、Laraさんと【豆腐懐石 梅の花】でお食事。

Laraさんは“カリグラフィー”を習っていて、その文字でお手製のクリスマスカード&栞を作ってくれた(可愛いお菓子も頂いた~)。1426

Photo

14日は、すでに何度もオフ会をしている飲み仲間の、マグロ君ムシコさんと“クリスマス会”。

夕飯の準備のついでに、ムシコさんから頂いた山葵で、マグロ君が好物だという“山葵入りの干瓢巻き”も作った。

この干瓢巻きを持って、いつも集まる聖跡桜ヶ丘のカクテル・バー【アンノーン】に。

それぞれにちょっとしたプレゼントを交換。

ここで、深夜2時までいろんなカクテルを飲んで話が弾み、盛り上がった。

マグロ君から頂いた、山形の名物“松葉庵の饂飩”と大きな林檎たち。1423 1421

ムシコさんから頂いた、クリスマスの花“ポインセチア”1418

お二人とも、楽しい“クリスマス会”をありがとう。

あと十日で“クリスマス・イヴ”。Dsc03701

イヴをレストランのディナーで楽しもうと思っている方も多いだろう。

もし、ちょっとマナーや、メニューの読み方、ワインの選び方で、迷っていらっしゃるなら、これを読んで・・・。

ミニ知識が欲しい方もどうぞ。

ワインのラベルを読む

メニューを読んで料理を想像する(中国・イタリア料理)

メニューを読んで料理を想像する(フランス料理・1)

メニューを読んで料理を想像する(フランス料理・2)

ソースの種類は無限にある

フランス料理を楽しむマナー

フルコースの仕上げはデザート

チーズの種類

素敵なクリスマス・イヴをお過ごしください。

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プレゼント出来た~!

私達夫婦は、結婚式なるものをしていない・・・だから、結婚記念日は無い。

なんて、夫の言い分は聞き流して、入籍した日(つまり一緒に暮らし始めた日)を、勝手に記念日にしている。

それは20日なのだが、今月初めから準備していた私の方からのプレゼントが完成。1262

夫には、毎年、「薔薇の花束を、歳の数(半端じゃないよ)だけ頂戴!」と、恐喝まがいの要求をしている。

が、40年一緒にいて、ただ一度・・・大きな病気を克服した○年前のこの日だけ、歳の数の赤い薔薇を抱えて来ただけ。

あとは、ほとんどナ~ンも無い。

「買いたい時に、買いたい物を、相談も無く買って来るんですから、年中プレゼントしているようなものでしょ」

そう言われると、頭を下げるしかないんだけど~。

1280_2 あ、今年は、先日衝動買いした着物の代金を、大きく援助してもらったんだっけね <(_ _)>

私からは、毎年、ナンチャッテ・ペア風の手編みセーター。

一見、ペアに見えるけれど、編み模様が全然違うのだ。

夫にだけじゃなく、自分用もってところが (^_-)-☆ 私なんだね。

ついでに、孫代理(プリモ・プエルという、お喋り人形・・・孫が生まれたときに娘が「いつも会えないREINAの代わりに」って買ってくれた)の二代目にも編んで、あったかいクリスマスをプレゼント。

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鈴木その子先生とご飯

「白い肌」「その子ダイエット」などで、知られた鈴木その子先生が亡くなられたのは、6年前の今日。

2001年の12月5日だったから、今日は【七回忌】だと思う。1186

その前年の5月27日(土)に、両国国技館でお会いした時には、美しいお姿でみんなの注目を集めていらしたので、信じられない思いだった。

その日の国技館では、元小結《舞の海・引退断髪式》が行われた。

舞の海さんとは、ちょっとした知り合いなので“枡席”を取って伺ったが、その枡が故・鈴木その子先生と隣同士だったのだ。

美しい方でしょ~!!

とても気さくに話をしてくださり、途中からは先生のお連れは、私の枡に移られて、私はベッタリご一緒していた。

休憩の時には、私より十歳ほども年長の先生に、その真っ白なお肌の秘密や、美しさの保持方法などを伺ったり、ダイエットのこともズバリお尋ねして、直接話していただいた。

先生、プライベート写真の公開をお許しください。

1157「○○さんは、ダイエットの必要ないと思いますよ。かなり痩せていらっしゃる(当時はです)から、この先は健康的に維持されたら・・・」って、先生、維持できませんでした~。

先生のお食事は、白米が主で、一汁一菜(煮豆や佃煮がお好きだとか)を守っていらっしゃるそうでした。

その点では、私は食べすぎ・・・まして先生のように、脂どころか油も摂らないなんて考えられなかったしね。

「ご飯は、三度しっかり食べたほうがいいんですよ」とも伺ったが、「お酒はいけません」ってことなので、ハナから守れませんと返事して先生に笑われた。

そして毎朝、いい昆布を浄水に一晩浸けておいた“昆布水”を飲まれるとのことだった。

これなら実行できそう・・・と遣り始めたが、半年ほどして寒くなってきたら・・・(>_<)でした。

帰り際に、「今度新しくなる銀座のビルに遊びにいらっしゃいね」と、お誘いを頂いた。

社名も《トキノ》から《ソノコ》に変更し、大きな船出の寸前の訃報だった。

先生がいらっしゃらないビルにお邪魔しても、つまらないし寂しいばかりだから、結局は一度も行っていない。

師走に入ると、毎年のように思い出される先生だ。

その子先生が奨めていた白いご飯1271

地球温暖化の影響で、近年は北海道米が美味しくなっているそうだ。

そこで、北海道のはね330さんが、美味しかったと言っていた“ななつぼし”を買ってみた。

最近、人気が出ている米だそうだ。

1273値段は、いつも買う“魚沼コシヒカリ”の半値だが、味は七~八割がたそれに近いと思う。

何も入れず、浄水だけで炊いてみた白いご飯・・・先生のご命日ですから。

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私は“銀座の女王”?

テレビや雑誌でご活躍の、食文化史研究家・永山久夫先生をご存知だろうか。

古代食の中でも、豆(特に納豆)の文化については、かなり拘りをお持ちで、《納豆道場主》なる肩書きを自ら付けておられるくらいウルサイ先生だ。1223_3

因みに、私はその道場の“免許皆伝書”を頂いているのだが~。

私は、基本的にご存命の方のエピソードは書かないようにしている。

でも、納豆や古代食のことに触れたら、永山久夫先生を避けてはいられません。

昨日は、納豆のことを書いたので、納豆先生とも言うべき先生をご紹介しないと~。

先生は、食文化史の権威でもいらっしゃるが、ご一緒すると本当に愉快なお話を聞かせてくださる。

何度かお食事や、飲みに誘っていただいたが、ある時、飲んでいたカウンターのナプキンに何やら走り書きをされて、「家に帰ったら読んでね、ラヴレターだからね」と。

いとも秘密めかして、私のスーツのポケットにそれを突っ込み、悪戯っ子のように笑われた。

先生、秘密のレター(?)を公開することを、お許しください。

先生は、常々達筆過ぎて(?)、解読困難な原稿も多かったのだが、このナプキン・ラヴレターも判読に時間がかかった。1179

銀座の女王さま ○○さんは  柳の枝のようにしなやかなのです  

愛するヒサオより」と書かれてあると思う。

嬉しいラヴレターだったのだが、なんだか“女王さま”と言われると、違う職業のイメージかなぁ・・・と少し困惑したのだ。

先生は、たくさんの著書をお持ちだが、どの著書でも、教えておられるのは基本的な十訓。1180_2

その十訓を書いてくださった。

私は、大半が守れていないかも。

皆様はいかが・・・?

シラフで、真面目に書かれると、こんな素敵な平安美女をスラスラッと描き上げるのだ。

文字だってキッチリ・・・読みやす~い。

「先生、今度は飲んでない時に、ちゃんとした紙に似顔入りのお手紙をを書いてくださいな」とお願いしたままになっているが・・・。

先生の十訓に従って、明日も納豆の料理にしようかなぁ?。

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淡谷のり子先生との思い出

今日は“自分が自分じゃないんです”・・・寝てませ~ん。

この歳で徹夜、しかも今夜も眠れないかも・・・久し振りの、纏まった仕事。

編集者冥利に尽きるのだが、キツイと思いつつも、私の最期の大仕事だと頑張り全開!!

Photoさて、それとは関係ないのだが、 いま、青森の《近代文学館》で、故・淡谷のり子先生の兄上、故・淡谷悠蔵先生の「生誕110年企画展」が開かれている。

淡谷悠蔵先生は、かつての社会党の名議員だったが、我が父(自民党)にも大先輩として、党派を超えて、親しく教えを下さった方だ。

因みに悠蔵先生の経歴を、ザッとご紹介すると・・・。

1897(明治30)年、青森町寺町(現・青森市)に生まれた。

1918(大正7)年、トルストイの人道主義に共鳴し、新城村(現青森市)で農業を始め、農民運動に深く関わる一方、短歌雑誌「黎明」総合文芸誌「座標」を創刊、多くの小説・評論・戯曲を発表し、県内の文学活動に大きな影響を与えた。

農民運動、社会主義運動、地方文学活動、政治家としての活動、と多岐にわたる98年間の生涯を通じて「苦学一生」の精神を貫き、自伝的長編小説『野の記録』を始めとする多くの著作を残した、政治にも文学にも大きな足跡を残された方だ。

今回の展示は、淡谷悠蔵・生誕110年という節目の年にあたり、その生涯と業績を概観するもの。

私は、悠蔵先生と父とのご縁で、淡谷のり子先生に、取材をお願いしたことがある。

それを快くお引き受け頂き、以来数度、お電話でご都合を伺って、大田区上池台のご自宅にお邪魔させていただいたのだ。1156_2

先生、ご一緒のプライベート写真を公開することを、お許しください。

「別れのブルース」「雨のブルース」などのヒット曲を持つ歌手淡谷のり子(本名淡谷のり)先生も、お兄様と同様に、正義の主義主張を貫く精神力のある方だった。

津軽のジョッパリ(強情張り)精神に支えられた、反骨精神や強固なプロ意識は、世代を超えて多くの人の共感を呼んだことを記憶されておられるだろう。1160

歌謡界のご意見番として毒舌も振るったが、言葉の裏には温かさがあった。1159

98年10月、青森市から女性で初の名誉市民に選ばれ笑顔を見せたが、それがほとんど最後のお顔見せだった。

口癖は「歌と一緒に死んでいきたい」、その言葉通りの人生だった。

お歳を召しても、歌手の魂は熱く、渋谷の【ジャンジャン】で歌っていらしたが、楽屋ではお一人で立ち歩くことも困難だったのに、いったんステージに上がると、背筋をシャキッと伸ばして、スッと立って通る声で歌われた。

あの頃、流行っていた、下北沢マルシェ【I(あい)】(本田劇場ビル内)の“虹色のゼリー”を、ご自宅や楽屋に持参すると「自然の野菜や果物の色だからキレイね、美味しい」と喜んで食べてくださった。

1999年の9月22日、92歳で、東京都大田区の自宅で死去された。

妹のとし子さんと、1人娘の奈々子さんご夫妻と同居されていたが、いつでもにこやかで穏やか、あったかいご家族だったのは忘れられない。

先日、母の葬儀のあと、墓苑も近くだったのでお墓にお参りしてきたが、しばらくは先生のあったかいお人柄と、思い出が私の胸を熱くしていた。

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青森はネブタだ

8月の2~7日、青森は東北最大の祭り《ネブタ》で賑わう。

この5日間の観光客だけで380万人を超えるというからビックリ。

去年は、所要で6月末に青森に行ったが、準備中の、まだ色付けされていないネブタを見ることが出来た。Dsc01280 Dsc01279Dsc01281

このネブタは、元々は七夕祭りだったという。

だるさを覚える、暑い日の眠気を、川や海に“眠(ねぶり)流し”として流し、精を出して働こう・・・そんな風習。

起源には諸説あるが、津軽藩祖・為信が文禄年間に作らせた大灯篭から、との説。

平安時代に、坂上田村麻呂が蝦夷征伐で使った、兵を隠し敵をおびき寄せた大人形から、との説など。Dsc01887

とくに後者の説には、ネブタの違いにも触れている。

大きな扇型武者絵灯篭を、勇ましい掛声で引き歩く『弘前ネプタ』は出陣。

超大型組み人形灯篭を引き回し、周囲を踊り跳ねて練り歩く『青森ネブタ』は凱旋を意味するといわれる。Photo_4

それだけに、付き物の太鼓や笛の囃しも、弘前は豪壮に格調高く、青森は賑やかで華やかだ。

青森のネブタ囃しは浮き立つリズム感が、サンバにも似て、海外のカーニバルでも大人気。

この時期の青森は、美味しい物たくさんだ。

まずは、陸奥湾の帆立と平目、大間のマグロなど刺し身盛り合わせ、そして烏賊のテッポウ焼き。Dsc01259_3 Dsc01302_4

水蛸のカルパッチョにマダコの唐揚げ。Dsc01303_2 Dsc01305

山菜ミズの水物と、ヒメタケの煮物。Dsc01300 Dsc01301

そして、青森なら、田子のニンニク丸揚げとホヤ水物。Dsc01258Dsc01307

他にも、鯨のベーコンや海胆・・・今年は母の容態が思わしくなく、 ネブタ見物には行けなかったが、垂涎の味ばかりが思い出される。Dsc01248_2 Dsc01257_2

台風5号が、日本海を回って、東北・北海道に再上陸しそうだ。

豪雨が予想される祭り中日。

どうぞ、無事に終了して欲しいといのるばかり。

北国の短い夏を爆発させるようなエネルギッシュな祭り・・・それが終わると秋風が吹く。

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私の詩たち

私の詩集は、三集あり、二冊出版されてます。

それらの中で、出版準備中は、発表できませんが、第一集・第二集から選んで、テーマ別に纏めて見ました。

その(1)・・・家族(家族、夫、娘、息子、母、ほか)

その(2)・・・心(思い、願い、愛、ほか)

その(3)・・・その他(病気、介護、仕事、ほか)

*****************************************************

《その(1)・・・家族(家族、夫、娘、息子、母、ほか)

家族

【赤い糸】

生まれる前から結ばれているという  縁(えにし)の赤い糸

.

もつれた糸を手繰り寄せ  切れた糸を繋ぎ直す

.

太くても脆い糸  細くても強い糸

糸は心が紡ぐのか  赤の色は血潮が染めるのか

.

長すぎる糸は  いつまでも  その結ばれた先が見えません

.

愛という字の裏側が見えません

.

母の母の

そのまた母の母の ずっと先が見えません

.

孫の孫の

そのまた孫の孫の ずっと先も見えません

.

.

.

【回復期】

「そろそろお粥になったかい?」

ベットの傍らに寄るなり  夫が聞く

米粒が数えられるほどの薄いお粥  3日前から始まった流動食

味の付いていないスープでさえ 美味しいと思った一匙の重み

.

「ねぇ お通じ ちゃんとあった?」

耳元に唇を付けるように  娘が問う

人差し指と中指とでVサイン

手術前の浣腸から一週間  順調に回復していく喜び

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「ヘイ! おふくろさん 眠れたかい?」

病室に入ってくるなり  息子が聞く

やっと体が動かせるようになった朝

術後10日での熟睡  手足を伸ばせるようになった心地よさ

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“持病”になった病との付き合いは これから何年続くのだろう

それでも この家族の優しさと 回復の喜びがあるから

私は頑張っていける

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【鯨の群れる海に】

目の前の沖合いに  鯨の親子が戯れる浜

マウイ島カアナパリビーチ  

ザトウクジラが  数メートルの巨体を海上に躍らせ

見事な尾鰭を翻して海面に身をくねらす

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空も水も風もみな蒼い  マウイ・ノ・オイ(マウイは最高)

死んだらこの海に散骨してくれ、と

聞いたことも無いほど明るい声で  夫が話しかける

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飛行機嫌いで  一度も海外旅行に付き合ったことが無いのに

欝が続く私の気を晴らそうと  自分から誘ってくれたハワイへの旅

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あちこちと回って  すっかり気に入ったのがこの浜

老後はここに永住しましょうかと  私も夢のような返事をする

散骨で撒いた骨が  

鯨の子育てを見守り  子鯨のオモチャになるだろうか

夫と私は顔を見合わせ  

秘かな笑みを交わす

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ちょっと足を伸ばして  ラハイナでショッピング

バニヤンの大樹が枝を広げ  枝から蔓のように根が降りて

それが幹に変わって  また枝と根を増やしている

一本の樹が周りに子を育て  さらに無数の孫を増やして

みんな連なっている  そんな木蔭を散歩する日々

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時には車でハレアカラ火山国立公園に行こう

十数年でやっと花を付け  咲くと直ぐに枯れて命を終えるという

幻の銀剣草に逢いに行くのもいい

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親と子と孫と  しっかり繋がって大樹になるか

溶岩に根を張り  強風に晒され

孤独に小さな花を咲かして枯れるか

鯨が群れる海に包まれて  マウイ島の命はそれぞれに輝く

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アロ~ハ

現地の青年たちが背後で声をかけ 

自転車に乗ったまま  手を振って通り過ぎる

アロ~ハ

近い将来に  きっとあなたたちの住むこの島、この浜に

再び訪れることが出来ますように・・・夫も私も同じ思いで

少し日焼けした皺の多い手を  千切れるほど振り続ける

いつの日か

この鯨の集まるラハイナ沖の海水に溶け込みたい

振り続ける私達の手に  共通の願いが握られた

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【伊豆の旅】

岩を砕く波の飛沫が  風に巻き上げられて

覗きこむ前髪を濡らす  伊豆城が崎の断崖

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どれだけの足が通ったのか

踏み固められた 急勾配の山道は

中年夫婦の辿ってきた道にも似て

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季節を外した晩夏の夕暮れ

行き交う人もまばらになって・・・

労わりあえる時がきたのでしょうか

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私の髪を拭く  日焼けした夫の腕にも

薄やかに波のしぶきのヴェール

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黄昏色に  キラリ キラリ

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【寂しい家】

二月始めの凍てつく夕方

夫はひとり  新任地の札幌に赴いた

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寒いから イヤ   遠いから イヤ

そんな我儘を言って すぐに着いて行かなかった私

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夫を見送った駅前の花屋に

春を告げる 色とりどりのスウィトピー

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店にあるだけ 両手に抱えきれないほど買って

玄関に  食卓に  寝室に・・・

家中いっぱいに飾るスウィトピー

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花に埋もれると  寂しさが家中に・・・重く

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【チビママ】

中学校に入った時から  家事の大半を代わってくれた娘

「お仕事中は 家のこと忘れてていいよ」と  おとなでした

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「徹夜は身体を壊すわよ」なんて

まるで 母親が娘を気遣うように

そっと煎れてくれる珈琲の湯気は 喉より眼に熱くて・・・

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受験勉強の参考書を片手に  支度しておいてくれる夕飯は

どんな名店の どんな立派な食事より

心満たして  美味しかった

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ふざけて  チビママって呼んだりしたけれど

精一杯の感謝でした

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【娘が嫁ぐ日に】

花嫁の父は  娘を手放す寂しさに悲しみの涙を流し

花嫁の母は  娘の幸せに共感して嬉しい涙を流す

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ずっとそう思い、そう信じていた

それなのに  あなたが嫁ぐ日が近づくほどに

私の胸に広がっていく寂寥感と虚無感

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「Mさんを私にいただきたく お願いに上がりました」

誠実な人柄そのままの  しっかりした口調の挨拶

.

あなたには想いを寄せるひと(男性)が居ると気付いてから

この言葉を聞く日を心待ちにしていた

それはあなたが生まれてからの二十数年

楽しみにしてきた私の夢が叶う日

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色白で小柄なあなたは  さぞ可憐な花嫁姿を見せてくれるはず

あれやこれやと思い描いてきたその日だもの

あなたの嫁ぐ幸せを無条件に喜べると  疑うことなど無かった

.

「やはり白無垢で綿帽子がいいと思うの」

衣装選びをするあなたの笑顔は  幼いあの日のまま

私の膝に甘えたあの時の眼  輝いている

.

日取りも決まった  式場も決まった  招待客のリストも出来た

あなたは幸せいっぱいの未来を語り続ける

.

喜びの顔を作る母は  一つ決まる度に  

あなたと繋いだ指を一本ずつ離すように  寂しい涙を抑える

あなたの存在がどんなに大きなものだったか

私は自分が押さえ込んだ涙の量に知らされる

.

あなたが素晴らしいひと(男性)と巡り会い愛し合って結婚する

その幸せを一番願っていたのに

一緒に喜びたいあなたの幸せが私の背に重い

.

あなたが嫁ぎ行く日

父は遣り切れない寂しさを噛み締めるだろう

そして----------------------私も

.

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息子

【雨】

昼間の好天気を  引っくり返して大粒の夕立

窓を叩く雨に  私の刻が 過ぎた日に戻っていく

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母であることに鍵をかけ  

家を出た足は  毎日 時間と競争していた

.

突然振り出した雨が 

傘の迎えも無く ずぶ濡れで 重くなったランドセルに

肩を落としながら学校から帰る  小さな息子の涙に思えて

私も 傘を差さずに歩いた日

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いまなら 傘を届けてもやれるのに

十四歳になった息子は  もうそれを望みはしない

.

私は 追憶の中で 迎えに走る

.

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【母

久し振りに訪ねて来てくれたというのに・・・

まだ 十日も滞在するというのに・・・

来たその日から  帰りの支度を考えている母

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近所に預けてきた植木鉢と 言葉を話すインコが

そんなに 気にかかるのか

ゆっくり聞いてほしい話が 山ほどあるのに・・・

.

曇り一つ無く磨かれた台所に

「水周りの掃除で 女の値打ちが分かるのよ」と

小言交じりにも手を休めない 六十歳台半ばの母の後姿が

母が帰ったあとも はっきり残って映る

.

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【母の心】

花曇りに吹き散る桜の花弁模様

秋月の野に乱れ咲く白菊の群れ模様

どちらも

その季節のほんの数日だけ着る 和服の絵柄

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「どうせ 普段は洋服ばかりでしょうから」と

せめて年に一度かニ度の遊びを

嫁ぐ娘の箪笥に忍ばせた  母の心

.

あれから二十数回余の季節を繰り返し

なのに・・・

しつけの糸もまだそのまま

母が願った“心の贅沢”さえ忘れている

.

もしや・・・

絵柄の木は とうに枯れ  花々も朽ち果ててしまっているかと

そんな怖さから

今年も たとう紙は開けず  そっと当てた手に母を感じている

.

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【藍色撫子花の団扇】

ハタリ  ハタリ

藍色撫子花の団扇が揺れる  早くお休み・・・と

ハタリ  ハタリ

もう 眠ったか・・・と

ハタリ  ハタリ

遠いかなたの日  私に母さんの添い寝

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ハタリ  ハタリ

藍色撫子花の団扇が揺れる  元気にお育ち・・・と

ハタリ  ハタリ

おまえはいい子だ・・・と

ハタリ  ハタリ

幼い日の夢うつつ  私と母さんが二人

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ハタリ  ハタリ

久し振りに クーラーを止めて

酒屋が置いていった  お中元の団扇を使ってみる

.

ハタリ  ハタリ

ひとり涼んで横になる  夏の夕べ  

ハタリ  ハタリ

ふるさとの風が揺れ  母さんの匂いが揺れ

藍色撫子花の絵柄が懐かしい

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亡き父

【戻りの無い道】

三日も続いて 雪は地を走り 風は梢に哭いていた

街はすっかりその姿を変え

聳え立つ吹き溜まりが 造形の総てをかき消していた

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十二月十二日

故郷は山の神の日

人々は息を潜めて地吹雪が過ぎ行くのを待つ

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そんな日に  招かれた結婚式は昼からで

父は朝風呂で身を清め  紋服に威儀を正して

消されかけた道を探り 踏み固めつつ出かけた

.

雪は知っているか  風は見ていたか

戻り道を見失い  探しあぐねて凍えた父を

山の神に連れて行かれた その先を

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十二月十二日

故郷の山の神は荒れる

道も戸口も  雪と氷に塗りこめて

怯える人々の 呼び合う声さえかき消してしまう

.

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《その(2)・・・心(思い、願い、愛、ほか)》

思い

【イヴ】

手のひらに乗せて見る林檎  ハートの形

濡れたような紅い艶は  ときめきの鼓動さえ伝えるようだ

熟れた果実の香りは  堕散る前の危険な予感

甘酸っぱい汁の滴りが  私の唇を誘惑する

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いまの私  とても林檎を齧れない

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明日の私  きっとイヴには戻れない

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【思い】

人は言う  「思いは姿、形に表れる」と

思いを  思いのままの色や形に表せたら、いい・・・

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思いを伝えたい時  言葉の足りないもどかしさ

表情の乏しい情けなさ

私の 何を以って  この思いのたけを表せるのだろう

.

人は言う  「思いは理性で抑えられる」と

思いは  思いのままで煙や風のように流れて消えれば、いい・・・

.

思いが残っている時

心に溜まる澱みの重さ

私の 何を押さえ込んで  何も聞こえない真空の淵に

この思いの影が剥がれ落ちていくのか

.

人は言う  「思いはその人それなり」と

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【好き嫌い】

色なら原色  花なら薔薇  酒・・・バーボンか

歌ならジャズ  人・・・人はいろいろ

.

はっきりしているのが好き  中途半端は嫌い

そう言い切って 突っ張ってきたのに

でも  人・・・人は分からない

.

私だって内心では  

淡い色が似合う女性に憧れ  控えめにそっと生きていたい

フリージアや雛菊も可愛いと思うし  たまには日本酒もいい

しんみり演歌を聴くのも悪くはないと思う

だから  人・・・人は見えない

.

どんな時でも  幾つになっても

人の好き嫌いだけは  口に出せない

人の好き嫌いだけは  決められない

.

人  人はさまざま     人は・・・

.

.

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【考えない葦】

あなたは誰?  と聞かれれば

母です  妻です  私です  とは答えられる

.

あなたは何?  と問われれば

女です  とは答えられても  人間です と答えられるか

.

知恵があるから人間で

考えることが生きていることだという

だからこそ「人間は考える葦である」と  先人は言った

.

考えない葦は  人間どころか葦にもなれない

一本取り残されれば

風に折られ  流され  枯れていくだけの、草

.

知恵を持たなければ  助け合うことも知らず

上手く生き延びる術も無く

しなやかに風を避けることも出来ないままに  傷み朽ちいく

.

考えることを忘れたら  人間であることを忘れたら

葦にもなれない  

.

ただの草

.

.

.

【私の味】

塩焼き  煮つけ  天婦羅  フライ  唐揚げ  

蒸し物  酢の物  マリネ  ムニエル・・・etc

.

一つの素材も調理次第  包丁ひとつ  火加減ひとつ

使うスパイスや調味料で

同じ素材とは思えないほど  料理されて変化をみせる

.

私を料理したのは誰?

スパイスは仕事だろうか  調味料は友だちかもしれない

.

私の味は  甘いか辛いか  それとも苦いか

少なくても  上出来の料理とは思えない

.

私を料理したのは  いったい誰

.

.

.

【嗜好】

年ごとに薄い味付けが好きになる

シンプルな料理が望ましい

肉よりは魚  そして野菜へと嗜好が移り変わっていく

.

濃厚な味 脂気の多い料理 胃に溜まる重いものも

好んで食べていた かつての頃は

私の感情は剥き出しに顔に表れていた

喜怒哀楽のうねりが いつも胸を掻き乱していた

.

嗜好の変化は 私自身の変化か

いまは  感情をあからさまに表すことが少ない

胸の波立ちもコントロールできる

.

薄味で シンプルな料理ほど 

下拵えに時間がかかり  調理に熟練が要るという

それだけに深い味わいになると

.

この頃 

淡白に暮らせるようになったのは 嗜好の変化につれてか

それとも  それなりの年季だろうか

.

.

.

【苛立ち】

痩せて萎びた胸肉だけれど あばらの隙間まで削いでミンチ

心臓に集まるなけなしの血を ありったけ加えて

溜め込んでいる涙で塩味をつけよう

.

握り拳を叩きつけるように 力任せに練り上げたら

細く脆くなっているだろう腸に詰めて  しばらく弱火でボイル

.

出来たソーセージは

ぴかぴかに磨き上げた 真っ白な洋皿に盛って

舌がいつまでもヒリつくほどの 思い切り辛いマスタードを添えて

あなたの食卓に

.

言葉は信じられないと言うのなら

私を丸ごと食べてみればいい

.

・・・こんな腹立たしさも  ときには ある

.

.

.

【空虚な心】

街は原色の夏  ゆらりと眩暈が私を揺する

身を射る熱い陽射しを避けて メトロの階段を下りると

そこは偽りの街

.

うつろな広がりが いまの私には良く似合うだろう

.

街は輝きの季節  ふわりと眩暈が私を包む

心を裂く強い陽光を逃げて メトロの片隅を歩くと

そこは空しい街

.

作られた華やかさが いまの私には相応しいだろう

.

何も無い夏を繰り返し  何も聞こえない真空の淀みに

空っぽの私だけが取り残されていく

.

.

.

.

願い

【花のこころ】

人は なぜ花を贈るのか

人は なぜ花を飾るのか

.

誰にでも 花を愛でるこころがある

.

暗く黒い土の中に  生命を育み

しっかり踏ん張って  芽を吹き  葉を広げ

見えないところで  花を支え  花を守る

・・・根

.

花は 美しく咲くことで応える

.

人は そこに真心を見る

人は そこに誠実を感じる

.

人は 花に  自分の心を託すのだ

.

.

.

【春は来る】

春はすぐそこ

重い上着は脱ぎ捨てて  出かけておいでよ

部屋に鍵をかけて 閉じ籠もっていては

萌える春草の香りも 届きはしない

.

春はすぐそこ

黒い着物はもう仕舞って  外に出ようよ

窓のカーテンを引いたままでは

明るい日差しも 頬を暖めることは出来ない

.

春が来ている

湿ったベッドから抜け出して  深呼吸をしようよ

心を塞いでいたら 体まで締め付けられ

明日を運んでくる春風も 素通りしてしまう

.

話そう  謳おう  春を迎えようよ

.

季節は必ず巡り変わるもの

どんなに冬が長くても  凍りの緩む時はきっと来る

あなただけに春が来ないなんて  そんなことは無いのだから

.

春は来る

あなたの春も  ほら来るわ

.

春はそこまで来てるのよ

.

.

.

【自分へのエール】

唾液にまみれた思い出の歌  手垢に汚れた懐かしい場面

擦り切れて形もぼやけた  果たせなかった夢

.

そんなものを捨てきれずに居るのは

味の無くなったガムを  何時までも吐き出せずにいるのと同じ

口寂しさを紛らわしているだけの行為

まやかしの快感に酔って  真実が見えなくなってる

.

それらは 魔法使いの呪縛だ

早く、早く気付け  呪縛の中の居心地よさは偽物だと

早く、早く逃げ出せ  魔法使いに気力を吸い取られきる前に

.

心を慰める  口馴れた歌

自分に都合よく 脚色した思い出

世間知らずの頃のまま抱えている 甘えた夢

.

そんなものから抜け出せないのは

ぬるま湯で体がふやけても  何時までも立ち上がれないのと同じ

.

魔法使いの呪縛は

先を見ることや進むことを止めさせて  生きながらの廃人を作る

.

早く、早く気付け

早く、早く逃げ出せ

.

気付いた時には  昨日までの甘い言葉は石礫に変わるだろう

.

怖れるな  泥の堆積と茂った藪が見通しを遮り

棘が行く手を阻むだろうが 這い蹲って進むのだ

.

頭を上げるな  身を起こすな

魔法使いが諦めて 手を引くまでは  静かに潜行するのだ

長い時を費やしても  その道は光差す野へと続く

.

今を変える勇気さえあれば  きっと闇は夜明けに通じる

.

覚悟の足を踏み出す自分へ  自分からのエール

.

.

.

【遊びに来てね】

春になったら  遊びに来てね

駅から右に 角を三つ

そこから先は 桜並木の花トンネルが、ご案内

.

花が咲く頃  遊びに来てね

駅から見える 時計台

それを目印に 降り頻る花弁の下を、歩いてね

.

暖かな日に  遊びに来てね

駅から近い公園前  石に躓かないで

その日はたんと 花の宴のご馳走作って、ロンドを踊ろう

.

.

.

【見失ったもの】

不注意に手を放して 

落として割ってしまった  あなたの心

.

砕けて散った心は  

拾い集めて継いでみても  もう元には戻らない

小さな欠片の一つか二つ  きっと見失っているから

.

穴の開いたあなたの心を  両手にしっかり包みながら

見失った欠片を探し続けている

自分への問いかけのように  ・・・・いま

.

.

.

【羽化】

心が身体を離れて  心があなたの許に飛んでいく

からっぽの私の抜け殻

.

今朝  庭の木の幹に見つけた蝉の抜け殻

フワフワと風に揺れ  カサコソと壊れそうに哀しい

.

飛び立った蝉は  羽いっぱいに陽をはじいて

木から木へ  短い命を啼いているのだろうか

.

飛び去った心よ

せめて あなたの住む街にいき  思い切り啼くがいい

.

.

.

【冬の薔薇】

冬枯れの中  裸になった薔薇の枝先に

赤い大輪の薔薇ひとつ

色暗く  花弁捩れて  数日の命燃やす

.

木枯らしの中  細い枝にしがみつき

かすかな陽射しに面伏せて

艶無く  花芯凍えて  さらになお命悶える

.

冬枯れの薔薇よ  

なぜ  時を外れてまで咲こうとするか  

あわれな薔薇よ

なぜ  散ることをそうも惜しむのか

.

.

.

【雪魔よ、雪女よ】

なにが不満なのだ

戸を叩き 樹木を哭かせ  地を駆けて暴れ狂う雪魔よ

やっとお前が眠りに就いた暁  世界はすっかり姿を変えてしまう

お前が荒れる夜  私の心も穏やかではいられないことを

お前は知っているか

.

なにが辛いのだ

屋根を軋ませ 樹木をへし折り 道を潰して涙を降らす雪女よ

やっとお前の心が晴れる宵  世界は何一つ見えなくなっている

お前が泣き続けた朝  私の心も掻き毟られていることを

お前は知っているか

.

夜通し吹き荒れる雪魔よ

朝から悶え泣く雪女よ

お前たちが 感情を叩きつける時

泣くことも 狂うことも出来ず

じっと耐える者がいることを知っているか

.

.

.

【とぎれ言葉】

旅立ちの日  遅い春の 風のホーム

「俺・・・」

言いかけて眼を伏せた、あいつ

.

   何が 言いたかったの

   何を 伝えようとしたの

.

ほんの一瞬のふたりきり

みんなが それぞれの別れを持って集まり

それきり聞けなかった言葉の続き

.

二人の間に“恋”があったわけでなく

特別の約束など  もちろん何も無い

.

なのに  あの時のあいつの迷いが

過ぎ去った電車のあとに  線路脇で揺れていた紫大根花の

微妙な震えが  心の隅に引っかかって 時折揺れる

.

二度と会わない  二度と会えない

一つ年下のあいつの  途切れ言葉

.

.

.

【揃いのぐい飲み】

ろくろが回る  土が回る

ちょっと歪んだぐい飲みができる

あなたのと  私のと・・・ふたつ

.

飲みながら語り明かすつもりで作ったはずが

窯から出したその日には  使える当てが無くなって・・・

.

相手人の居なくなった揃いのぐい飲みは

割ってしまうには悲しくて

しまい込むのも寂しくて

.

だから  いつも並べて酒を注ぐ

眩暈とともに沈む闇で  帰ってきて、と酒を飲む

.

.

.

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《その他・・・病気、介護、仕事、ほか》

病気

【拾っているもの】

ニトロの小粒が 下で溶けて  

心臓を刺していた錐が一本ずつ抜けていく

今日もまた ささやかな命を拾った

.

静まってきた眼を起こせば

不安と不審の視線が幾つか  ホッとしたように急ぎ去る

帰宅電車が 唸り通る地下鉄ホーム

どの人の背にも 疲労の影が貼りつき

無言の表情は 一日の戦いのあとの空しさ

.

それでも 思いやりのカケラは

先を急ぐ足に蹴飛ばされもせず  私の足許に転がり残る

.

命を拾うたびに 一緒に拾い上げるもの

それは 人々が落としていった  やさしさ・・・だろう

.

.

.

【退院のち】

もみの木が  夕べの嵐で折れた

青々と茂っていた若木のはずが 

何時の魔にか蝕まれていたらしい

風の強さに耐え切れず

ボキッ、と 根元から折れた

入院を控えた朝のこと

.

不吉     いやだ

.

病院に向かう足が鈍る

よりによって こんな朝に

.

もみの木が  折れたことを忘れかけたころ

退院できた

折れた後はきれいに片付けられ  埋め戻されて跡形も無い

.

縁起    こじつけ

.

何にでも神経質になっていた入院前

何でも笑い話にできる退院後

.

空が すもものように 軽く匂って

.

.

.

【気がかり】

近頃  過ぎた刻を振り返ることが多くなった

その刻に居た場所  出会った人達  起きたことがら

こでまりの花のデリケートな揺れなどまで

無性に懐かしく 手繰り寄せている

.

遣り残していたこと  言い忘れていること

途切れたままで けじめのついていない思い出が

胸の中でわだかまる  喉の奥で難渋する

.

病があればこその 気がかりと思いつつ

懐か